柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」
【PDFは自由に編集できる!】PDFファイルのテキストや画像を追加・編集する方法
元ファイルが手元にないピンチのときでも安心
2023年5月30日 06:55
PDFは単に閲覧するためだけのファイルではなく、テキストや画像を追加したり、編集したりすることもできる。
このことを知らないと、PDFの内容を修正したくなったときに、WordやPowerPointなどの元ファイルを探しまわる必要がある。元ファイルを上司や取引先が持っている場合、依頼するのも面倒だ。サクッと自分で編集できれば手間がかからない。
要素の追加であれば、フリーソフトで対応できることも多い。ただし編集する際は、基本的に有料のソフトが必要になる。
今回は、フリーソフト「Foxit PDF Reader」と、有償ソフトは「PDF-XChange Editor」と「Acrobat Pro」の操作方法を例に、PDFファイルのテキストや画像を追加・編集する方法を紹介する。
テキストを追加するだけならフリーソフトでも対応できる
プレゼン資料を読み返していて「わかりにくいところがあるので説明を追加したい!」、「今日の日付を入れ忘れた!」という場合には、テキストを追加しよう。
「Foxit PDF Reader」なら、[注釈]タブの[タイプライター]機能で、任意の場所にテキストを追加できる。文字のフォントやサイズなどの設定は右の画面で行えるので操作しやすい。
文字装飾だけでなく、文字の配置も[フォーマット]タブで調整可能。追加したテキストを選択して縦方向や横方向の中央に一発で揃えてくれるのだ。複数のテキストを追加した場合は整列させたり、均等配置したりすることができる。マウスで動かして中央に置こうとすると、微妙にずれて気持ちが悪いので、配置機能を活用しよう。
「PDF-XChange Editor」でPDFのテキストを編集する方法
テキストの追加だけでなく、編集も行ってみよう。
「PDF-XChange Editor」の場合は[ホーム]タブの[編集]をクリックして[テキスト]を選択する。
すると、テキストを編集できるようになるので、削除するなり、置換するなり、自由に修正しよう。入力したテキストがテキストボックス内に収まらなくても問題なし。ボックスサイズも調整できる。
もちろん、文字を追加することも可能だ。[ホーム]タブの[追加]から[テキストを追加]をクリックし、任意の部分に入力できる。
編集時はフォントやサイズなどを自動的に合わせてくれるが、追加する場合は基本設定の状態で入力される。フォントやサイズ、色などを変更する場合は、右クリックメニューから[プロパティ]画面を開く必要がある。
また、画像の差し替えや編集も行える。[編集]メニューから[イメージ]をクリックし、画像の右クリックメニューから[イメージを差し替え]を選択。画像を指定すれば、簡単に変更できる。
同様に、右クリックメニューから[イメージ編集]を行うと、内部編集機能やインストールしている画像編集アプリに読み込み、編集できる。編集後、上書き保存するとPDFに反映されるので、手間がかからないのがありがたい。
「Acrobat Pro」でPDFのテキストを編集する方法
もちろん「Acrobat Pro」なら、PDFの編集もばっちり行える。[PDFを編集]ツールを開いて[編集]をクリック。これだけで、テキストも画像も編集モードに入る。
テキストの差し替えも、テキストボックスの位置やサイズの調整も簡単だ。右ペインに形式の設定やオブジェクトの位置調整ツールが表示されているので、迷わず操作できるのがありがたい。
[テキストを追加]をクリックすれば、新たにテキストを追加できる。もちろん場所の調整も可能だが、その際にガイドラインが表示されるのが便利。目当ての場所にぴったりと揃えて配置できるのだ。
画像を差し替える場合は、右クリックメニューから[画像を置換]を選択する。反転やトリミング程度の作業であれば、この右クリックメニューからできてしまうのも便利だ。
有償ソフトである「Acrobat Pro」が凄いのは、紙資料をスキャンしたPDFの文字も編集できること。スキャンして作成したPDFの見た目は、文章に見えても形式は画像となっていることがある。その場合、OCR(光学文字認識)処理して、テキストデータを埋め込むことで、キーワード検索に対応させることはできる。しかし通常、画像の文字を編集するなら、画像編集アプリが必要になる。
それに対して「Acrobat Pro」では、スキャンで取り込んだ紙資料の傾きを修正し、OCRもかけて検索可能にした上、文書そのものを編集可能なテキストと画像に変換してくれるのだ。
説明会に参加したときにもらった紙資料を、会社に持って帰って上司に報告したり、稟議書を書く際に中身を流用したいときなどに活躍してくれることだろう。
さらに、スライドの中の画像もパーツとして置き換えられるようになっているので、削除・移動したり、差し替えたりできる。
文字を修正する場合、元のフォントと似たフォントを使ってくれるようになっている。とはいえ、同じものとは限らない。もし違和感があるなら、そのテキストボックス全体を似たフォントに置き換えてしまうといいだろう。
以上が、PDFファイルのテキストや画像を追加・編集する方法となる。
PDFは「ドキュメントの最終生成物で、編集できない」と思っている人が多い。たしかに、どのプラットフォームでも同じように表示できるし、パスワードでセキュリティをかければ編集を禁止することもできる。しかし、通常のPDFは今回紹介したように、対応しているソフトを使えば「自由に編集できる」のだ。いざというときに自分だけで修正対応できるよう、時間のあるときに試してみることをおすすめする。
次回は、2つのPDFファイルを比較して異なる箇所を見つける方法を紹介する。バージョンの違うファイルを目視で見比べて間違い探しをするのは至難の業。とはいえ、契約書などはしっかりチェックしないとリスキーだ。そんなとき、PDF比較機能を活用すれば、短時間で見落としなく変更点を確認できるのだ。
著者プロフィール:柳谷 智宣
IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。
・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/