柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」

【1つのPDFで複数ファイルを保管したい!】関連資料をまとめて管理するなら「PDFポートフォリオ」が便利

データの散逸を防止できる上、ZIPファイルと違って内容の更新も簡単

 本連載「柳谷智宣の『実は色々できるPDFの活用法』」では、無料・有料のPDFツールを活用し、ビジネスシーンで活躍しそうなPDFのテクニックを解説していく。今までは、もらったPDFを閲覧することしかしたことがない、という人にぜひ読んでいただきたい。
今回はPDFポートフォリオで関連資料をまとめて保管する方法をご紹介する

 プロジェクトで使っているファイルや終了しても保存しなければならない資料群をどのように保管しているだろうか。ZIPファイルに圧縮して保存するのであれば管理は楽だが、データの閲覧や編集が必要になると面倒だ。解凍したファイルの取り扱いやバージョンの把握が難しくなるためだ。

 そんなときに活躍するのがPDFだ。何でもかんでもPDF形式に保存して結合しよう、というのではない。PDFポートフォリオ機能を利用すれば、画像やCAD図面、PowerPoint、テキスト文書など、さまざまなファイル形式の複数ファイルを1つにまとめて管理できるのだ。今回は、PDFポートフォリオの活用法について紹介する。

AcrobatでPDFポートフォリオを作成する

 Acrobatの新規ファイル作成時に[複数のファイル]を選択し、[PDFポートフォリオを作成]にチェックして[次へ]をクリックする。PDFポートフォリオの作成ウィンドウが開くので、[ファイルを追加]メニューから任意のファイルを登録すればよい。フォルダーごと追加したり、Webページを追加することも可能だ。通常のファイルであれば、ドラッグ&ドロップしてもよい。

[複数のファイル]を選択して[PDFポートフォリオを作成]にチェックする
ドラッグ&ドロップもしくは[ファイルを追加]メニューからファイルを登録する

 なお、PDFポートフォリオの作成には「Acrobat」が必要になるが、閲覧したり、ファイルを取り出したりするだけなら「Adobe Reader」でも対応している。

Acrobat

  • Acrobat Pro:月額1,980円(税込)
  • Acrobat Standard:月額1,518円(税込)

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Acrobat reader

  • Acrobat reader:無料

「Acrobat reader」をダウンロード

「Acrobat reader」を窓の杜からダウンロード

 ファイルを追加すると、サムネイルが表示されるのでドラッグして場所を入れ替えたり、右クリックメニューから削除したりできる。ファイルの追加が終わったら[作成]をクリックし、PDFポートフォリオを保存すればよい。

ファイルを追加したら[作成]をクリック
ファイル名を付けて保存する

 PDFポートフォリオの拡張子も「.pdf」だが、プレビューアイコンには文書イメージではなく、「Adobe Readerを今すぐダウンロード」といった画像が表示される。

PDFポートフォリオを作成できた

 ここまでであれば、ZIPファイルに圧縮しているのとあまり変わらない手順だが、PDFポートフォリオにすることでその後の管理・活用が楽になるのだ。

 PDFポートフォリオを開くと、登録したファイルの一覧が表示される。ファイルをダブルクリックするか、右クリックメニューから「元のアプリケーションでファイルを開く」をクリックすると、関連付けられているアプリでファイルが開かれる。PDFであればAcrobatの別タブとして表示される。

PDFポートフォリオを開いた画面。ファイル一覧が表示される
ファイルを開くときの確認画面。常に許可する設定も可能
ファイルを表示できた

 そのアプリで編集し、上書き保存するとPDFポートフォリオの内容も更新される。ここがPDFポートフォリオの便利なところだ。1つのPDFファイルをフォルダーのように扱うことで、データの散逸を防止できる。常に最新のデータにアクセスできるのも楽。もちろん、スマホ用の「Acrobat reader」アプリでも表示できる。

ファイルを編集した結果も反映される
スマホアプリの「Acrobat reader」でもPDFポートフォリオを表示できる

 URLをコンテンツとして追加することもできる。[ファイルを追加]メニューから[Webページを追加]をクリックし、ファイル名とURLを入力すればよい。動画共有サイトなどの動画埋め込みタグを追加することも可能だ。

「Webコンテンツを追加」画面でURLを入力する
URLが追加されるのでダブルクリックする
ブラウザーが開き、Webページが表示される

 ファイルや各種コンテンツの追加も右クリックメニューから行える。フォルダーを作成してPDFポートフォリオ内のファイルを整理することもできる。

 外部に提出するなど、ファイル単体が必要になったなら、右クリックメニューから[ポートフォリオから抽出]をクリックして取り出すことができる。

ファイルの右クリックメニューからコンテンツの追加や抽出ができる

PDF-XChange EditorでPDFポートフォリオを作成する

 「PDF-XChange Editor」では、[ファイル]メニューから[新規ドキュメント]-[PDFポートフォリオ]をクリック。作成画面が開くので、ファイルやフォルダを登録して[OK]をクリックすれば、PDFポートフォリオが作成される。

PDF-XChange Editor

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 「ポートフォリオ」タブを開くと、ツールバーにレイアウト変更やファイル・フォルダの追加・抽出ボタンが並んでおり、直感的に操作できる。

PDF-XChange Editorで[新規ドキュメント]-[PDFポートフォリオ]をクリックする
ファイルやフォルダを登録して[OK]をクリックする
PDFポートフォリオを作成できた

 多数のファイルをPDFポートフォリオで保管する場合、フォルダで整理することもできる。[フォルダを追加]で既存のフォルダごと登録することもできるし、[フォルダ作成]でPDFポートフォリオ内にフォルダを作成し、自分で追加することもできる。

[フォルダ作成]をクリックしてフォルダ名を入力する
PDFポートフォリオ内のファイルをドラッグ&ドロップで移動できる
ファイルを「領収書」フォルダに移動できた

PDFelementでPDFポートフォリオを作成する

 「PDFelement」の場合、[ファイル]メニューから[作成]-[PDFポートフォリオ]をクリック。ファイルメニューがないときは、まず空白のPDFを作成すればメニューが現れる。

PDFelement

  • 標準版 永続ライセンス 5,980円(税込)
  • プロ版 永続ライセンス 9,980円(税込)

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 PDFポートフォリオの作成画面で、[ファイルを追加]もしくは[フォルダを追加]をクリックし、ファイルやフォルダを追加する。ただし、ドラッグ&ドロップでは登録できないので注意すること。

[ファイル]メニューから[作成]-[PDFポートフォリオ]をクリックする
[ファイルを追加]をクリックしてファイルを追加する
PDFポートフォリオを作成できた

 以上、PDFポートフォリオで関連資料をまとめて保管する方法となる。複数ファイルを1つのPDFファイルにまとめられる上、対応アプリで開けば普通にアクセスできるPDFポートフォリオはぜひ活用したい。特に、終わったプロジェクトや決算といった、ほとんどアクセスしないが取っておかなければならないデータの保管におすすめだ。

著者プロフィール:柳谷 智宣

IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。

・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/

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