柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」
【1つのPDFで複数ファイルを保管したい!】関連資料をまとめて管理するなら「PDFポートフォリオ」が便利
データの散逸を防止できる上、ZIPファイルと違って内容の更新も簡単
2023年11月7日 08:30
プロジェクトで使っているファイルや終了しても保存しなければならない資料群をどのように保管しているだろうか。ZIPファイルに圧縮して保存するのであれば管理は楽だが、データの閲覧や編集が必要になると面倒だ。解凍したファイルの取り扱いやバージョンの把握が難しくなるためだ。
そんなときに活躍するのがPDFだ。何でもかんでもPDF形式に保存して結合しよう、というのではない。PDFポートフォリオ機能を利用すれば、画像やCAD図面、PowerPoint、テキスト文書など、さまざまなファイル形式の複数ファイルを1つにまとめて管理できるのだ。今回は、PDFポートフォリオの活用法について紹介する。
AcrobatでPDFポートフォリオを作成する
Acrobatの新規ファイル作成時に[複数のファイル]を選択し、[PDFポートフォリオを作成]にチェックして[次へ]をクリックする。PDFポートフォリオの作成ウィンドウが開くので、[ファイルを追加]メニューから任意のファイルを登録すればよい。フォルダーごと追加したり、Webページを追加することも可能だ。通常のファイルであれば、ドラッグ&ドロップしてもよい。
なお、PDFポートフォリオの作成には「Acrobat」が必要になるが、閲覧したり、ファイルを取り出したりするだけなら「Adobe Reader」でも対応している。
Acrobat reader
- Acrobat reader:無料
ファイルを追加すると、サムネイルが表示されるのでドラッグして場所を入れ替えたり、右クリックメニューから削除したりできる。ファイルの追加が終わったら[作成]をクリックし、PDFポートフォリオを保存すればよい。
PDFポートフォリオの拡張子も「.pdf」だが、プレビューアイコンには文書イメージではなく、「Adobe Readerを今すぐダウンロード」といった画像が表示される。
ここまでであれば、ZIPファイルに圧縮しているのとあまり変わらない手順だが、PDFポートフォリオにすることでその後の管理・活用が楽になるのだ。
PDFポートフォリオを開くと、登録したファイルの一覧が表示される。ファイルをダブルクリックするか、右クリックメニューから「元のアプリケーションでファイルを開く」をクリックすると、関連付けられているアプリでファイルが開かれる。PDFであればAcrobatの別タブとして表示される。
そのアプリで編集し、上書き保存するとPDFポートフォリオの内容も更新される。ここがPDFポートフォリオの便利なところだ。1つのPDFファイルをフォルダーのように扱うことで、データの散逸を防止できる。常に最新のデータにアクセスできるのも楽。もちろん、スマホ用の「Acrobat reader」アプリでも表示できる。
URLをコンテンツとして追加することもできる。[ファイルを追加]メニューから[Webページを追加]をクリックし、ファイル名とURLを入力すればよい。動画共有サイトなどの動画埋め込みタグを追加することも可能だ。
ファイルや各種コンテンツの追加も右クリックメニューから行える。フォルダーを作成してPDFポートフォリオ内のファイルを整理することもできる。
外部に提出するなど、ファイル単体が必要になったなら、右クリックメニューから[ポートフォリオから抽出]をクリックして取り出すことができる。
PDF-XChange EditorでPDFポートフォリオを作成する
「PDF-XChange Editor」では、[ファイル]メニューから[新規ドキュメント]-[PDFポートフォリオ]をクリック。作成画面が開くので、ファイルやフォルダを登録して[OK]をクリックすれば、PDFポートフォリオが作成される。
PDF-XChange Editor
- PDF-XChange Editor:13,500円(税込)
「ポートフォリオ」タブを開くと、ツールバーにレイアウト変更やファイル・フォルダの追加・抽出ボタンが並んでおり、直感的に操作できる。
多数のファイルをPDFポートフォリオで保管する場合、フォルダで整理することもできる。[フォルダを追加]で既存のフォルダごと登録することもできるし、[フォルダ作成]でPDFポートフォリオ内にフォルダを作成し、自分で追加することもできる。
PDFelementでPDFポートフォリオを作成する
「PDFelement」の場合、[ファイル]メニューから[作成]-[PDFポートフォリオ]をクリック。ファイルメニューがないときは、まず空白のPDFを作成すればメニューが現れる。
PDFelement
- 標準版 永続ライセンス 5,980円(税込)
- プロ版 永続ライセンス 9,980円(税込)
PDFポートフォリオの作成画面で、[ファイルを追加]もしくは[フォルダを追加]をクリックし、ファイルやフォルダを追加する。ただし、ドラッグ&ドロップでは登録できないので注意すること。
以上、PDFポートフォリオで関連資料をまとめて保管する方法となる。複数ファイルを1つのPDFファイルにまとめられる上、対応アプリで開けば普通にアクセスできるPDFポートフォリオはぜひ活用したい。特に、終わったプロジェクトや決算といった、ほとんどアクセスしないが取っておかなければならないデータの保管におすすめだ。
著者プロフィール:柳谷 智宣
IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。
・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/