柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」
【スマホでもPDFを扱いたい!】スマホのPDFアプリで紙資料のPDF化から編集、クラウド保存までを行う方法
スマホ版「Acrobat Reader」も使いこなそう
2023年10月17日 11:00
PDFをがっつり編集するなら、もちろん大画面のPCで作業するほうが効率がよい。PDFの閲覧だけであれば、スマホの標準機能でも無料アプリでもOK。とはいえ、スマホしか手元にない状態で、PDFを作成したり、編集しなければいけないこともあるだろう。そこで今回は、スマホのPDFアプリで紙資料のPDF化から編集、クラウド保存などを行う方法をご紹介しよう。
定番がやっぱり安心!「Adobe Acrobat Reader」
スマホ向けにも「Adobe Acrobat Reader」がリリースされており、もちろん無料でダウンロードできる。PCと同じAdobe アカウントでログインすればよい。
「Adobe Acrobat Reader」iOS版 ダウンロード
「Adobe Acrobat Reader」Android版 ダウンロード
紙の資料を出先でPDF化するなら「Adobe Acrobat Reader」の[+]をタップし、続けて[新しいスキャン]をタップ。「Adobe Scan」アプリが開くので、紙資料を撮影する。「Adobe Scan」も無料で利用できるので、インストールしておこう。
書類の撮影時に少々影が入っても、斜めになっても問題なし。撮影後に書類の領域を選択するが、「自動検出」をONにしていれば、自動的に処理してくれる。正確に切り出すためにも、資料を置く場所は紙と異なる色のところにしておくといいだろう。
また必要に応じて、画面を回転させたり、画質を調整したら、[スキャンを続行]をタップして次のページを撮影する。すべての撮影が終わったら[PDFを保存]をタップしよう。自動的にAdobeクラウドストレージに、PDFがアップロードされて「Acrobat Reader」で読み込めるようになる。
PDFにコメントを入れたり、フリーハンドで描画したりすることも可能だ。画面をタッチすると、下部にメニューが表示されるので、まずは[コメント]をタップ。コメントを入れたい部分をもう一度タップすると入力画面が開く。コメントの位置は後で調整することもできる。コメントを入力し、飛行機アイコンをタップすると投稿できる。
同様に「ハイライト」で文字を蛍光マーカーで引いたように目立たせたり、「描画」で線を書き込んだりできる。テキストを入力することも可能だ。ただし、テキストは文字サイズと色の調整しか行えず、フォントを変更したり、太字・斜体などにすることはできない。
[その他のツール]をタップすると、PDFの編集や書き出し、結合、圧縮、整理などのツールが表示される。ただし、無料アカウントだとこれらの機能は利用できない。すべての機能を利用するには「Acrobat Pro」などの有償プランの契約が必要になる。
有償プランで追加されるものの中で一番便利な機能が「PDFを編集」だ。PDF内のテキストを直接編集できる。テキストを新たに追加するのではなく、削除して上書きできるので、誤字・脱字を見つけたときなどに活躍してくれるだろう。
右上の[…]をタップすると、各種メニューが開く。ここから[パスワードを設定]をタップすれば、閲覧制限をかけることができる。[書き出し形式]ではWordやExcel、PowerPoint形式に変換可能で、[PDFを圧縮]では画質を落としてファイルサイズをコンパクトにできる。
作業が完了したら[共有]アイコンをタップしよう。メールアドレスやメッセージを入力し、送信できる。ビジネスチャットなどでURLを共有するなら、左下の[リンクを取得]をタップし、リンクを生成できる。共有された人がURLを開くと、AcrobatのWebサイトが開き、PDFが表示される。Adobe アカウントを持っていない人でも、閲覧だけでなくコメントを投稿することもできる。
大容量のPDFファイルもクラウド経由でやり取りするので、添付ファイルのように通信量が増えてしまう心配はない。
これで、出張先のホテルで資料をデジタル化し、かさばる書類を廃棄することができる。プレゼンに向かう移動中に誤字・脱字を発見したときも、サクッと修正すればよい。
無料でもいろいろできる高機能PDFアプリ「iLovePDF」
「iLovePDF」は、画像の向きの変換やPDFの結合をはじめ、WordやExcel、PowerPointファイルの変換など、「Acrobat Reader」の無料プランでは利用できない機能にも対応しているのが特徴。PDFテキストの直接編集は有料プランの契約が必要だが、相当部分を無料で試せるのはありがたい。
紙資料をPDF化するなら[スキャナー]タブを開いて[スキャン開始]をタップ。撮影したら、領域を選択して「スキャンを保持」をタップ。続けて書類を撮影し、終了したら[保存]をタップする。撮影した画像からテキストを抽出したり、共有したりできるのがユニークだ。
[PDFに変換]をタップすると、確認画面が開くのだが、ここで画像の回転や印刷の向き、ページサイズ、画像の順序などの設定を行うことができる。直感的に使えるUIなので、初見でも迷わず操作できるだろう。
また「iLovePDF」は、テキストや画像の追加、直線やフリーハンドの描写、コメントやスタンプの追加、URLの埋め込みなど多数の機能を搭載している。PDFから画像やオフィス文書への変換から、PDFの回転や並べ替え、分割、削除なども行える。さらにファイルサイズの圧縮や透かしの追加までできるのは便利だ。もちろんパスワードでPDFを保護することも可能だ。
無料アカウントでは、1日に実行できる変換処理の回数が制限されていたり、PDFの直接編集やOCR処理したWord文書の生成、PDFからPDF/Aへの変換が行えないといった制限がある。
iOS版の「iLovePDF」は「iCloud」にファイルを保存できるが、有料プランだと「Googleドライブ」や「Dropbox」「OneDrive」などのクラウドストレージにもアクセスできるようになるので便利だ。
ちなみに公式サイトの価格設定では、有料プラン(プレミアムプラン)は年間請求で月額525円、1年間で6,300円と、月額請求の場合の月額930円から4割ほど安くなる。7日間のトライアルも可能なので、一度フル機能を試してみることをお勧めする。ただし、有料プランの価格設定は、iOS版であれば月額580円、Android版であれば月額660円、と異なっている。価格の詳細は各プラットフォーム上で確認していただきたい。
以上、スマホのPDFアプリで紙資料のPDF化から編集、クラウド保存を行う方法となる。有償プランの契約が必要になるものの、スマホでもデスクトップアプリと同じPDF編集機能を利用できることは知っておきたい。スマホで本格的なPDF作業を行いたい人はチェックしておこう。
著者プロフィール:柳谷 智宣
IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。
・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/