柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」

【PDFに変換したい!】WordやExcel、Webページを手軽にPDFに変換する方法

仮想プリンター機能を使えば簡単!

本連載は“意外と色々なことができる”PDFの活用法をご紹介する

~連載開始のご挨拶~

 本連載「柳谷智宣の『実は色々できるPDFの活用法』」では、PDFの活用法を紹介する。PDFファイルを目にする機会は多いと思うが、どんなファイル形式なのかご存じだろうか。PDFは別にファイルの最終形態というわけではなく、他のファイル形式と同様に編集することも可能。PDFツールを使えば、意外と色々なことができるのだ。

 そこで、無料・有料のPDFツールを活用し、ビジネスシーンで活躍しそうなテクニックを解説していく。今までは、もらったPDFを閲覧することしかしたことがない、という人にぜひ読んでいただきたい。

WordやExcel、WebページをPDFに変換する方法

 メーカーのホームページに載っているマニュアルや国が公開している白書などは、PDFファイルになっていることが多い。PDFはAdobe社が開発したファイルフォーマットで、異なるプラットフォーム環境でも同じように表示できるのが特徴だ。

 ビジネスでやりとりする文書が、人によって見え方が異なるとトラブルの原因になる。そのため、紙の印刷物のように扱えるPDFは、文書を共有する際に活用されることが多い。そこで第1回目となる今回は、文書ファイルやさまざまな形式のファイルをPDFに変換したり、表示する方法を紹介する。

Windows 11に標準搭載されている仮想プリンター機能を利用する

 オフィス文書やWebページ、画像などをPDF文書にするなら、Windows 11標準の仮想プリンター機能を利用するのが手軽だ。紙に印刷するような手順で、プリンターを選択する際に「Microsoft Print to PDF」を選べばよいのだ。そのまま印刷すると、紙で出力されず、その文書の内容がPDFファイルで保存できる。

 例えば、Word文書の場合、[ファイル]メニューから[印刷]をクリックし、[プリンター]のプルダウンメニューから[Microsoft Print to PDF]を選択する。

Wordの「印刷」画面で[プリンター]のプルダウンメニューから[Microsoft Print to PDF]をクリック

 「設定」欄でPDF化するページを設定できる。もちろんすべてのページをPDF化するなら[ドキュメント全体]のままでOK。用紙サイズなどの設定を変更することも可能だ。

 設定が完了したら[印刷]ボタンをクリック。ダイアログが開くので、ファイル名と保存場所を指定し、[保存]をクリックするとPDFファイルが作成される。

ファイル名と保存場所を指定して[保存]をクリック
PDFファイルが保存された

 印刷機能を利用できるソフトであれば、同様の操作で[Microsoft Print to PDF]を選べばよい。「ペイント」などのお絵かきソフトからでも、Webブラウザーで表示しているWebページからでもPDFを作成することができる。

 ソフトによっては独自にPDF作成機能を備えていることもある。例えば、「Microsoft Edge」や「Google Chrome」は[PDFとして保存]を選択しても、PDFで保存できる。

「Edge」の印刷メニューを開いたところ。[PDFに保存]でも[Microsoft Print to PDF]でもOK
「ペイント」ソフトからでも、仮想プリンター機能を使ってPDFを作成できる

作成したPDFファイルを閲覧する

 PDFファイルをダブルクリックすれば、関連付けられているソフトが開く。初期状態だと「Edge」で表示することになるが、PDFを閲覧するなら、PDFソフトをインストールしておくことをおすすめする。PDFの規格を策定したAdobeがリリースしている「Acrobat Reader」が一押しだ。フリーソフトなので、無料で利用できる。

 「Acrobat Reader」もWindowsやMac、iOS、Androidなど、マルチプラットフォームでソフトを公開しており、端末を選ばず利用できるのが便利だ。

PDFファイルをダブルクリックすると、EdgeブラウザーでPDFが表示される
PDFソフト「Acrobat Reader」をダウンロードし、インストールする
PDFファイルの関連付けを「Acrobat Reader」にする
PDFファイルのアイコンが変更され、ダブルクリックすると「Acrobat Reader」で表示されるようになる

Macもプリント機能で[PDFとして保存]を使えばPDFに変換できる

 MacもWindows同様、印刷時に[PDFとして保存]を選択すれば、PDFファイルに変換できる。

 ただし、プリンターとして選択するのではなく、画面下の[PDF]ボタンを押すか、隣の矢印ボタンを押して[PDFとして保存]をクリックすると、PDFファイルの保存ダイアログが開く。ファイル名や保存場所を選択して[保存]をクリックすれば、PDFファイルが作成される。

メニューから[プリント]を開く
[PDFとして保存]をクリックする
ファイル名と保存場所を選択して[保存]をクリックする
オフィス文書をPDFファイルに変換できた

 「Pages」や「Word」などのオフィスツールだけでなく、「プレビュー」など印刷可能なソフトなら、PDFを作成できる。

複数のファイルをPDFにまとめて変換する

 手持ちのファイルをまとめてPDF化したいということもあるが、残念ながらWindows 11の標準機能やフリーソフトの「Acrobat Reader」では、複数のファイルを一気にPDFに変換することができない。ただし、画像のみであれば、複数の画像をまとめて印刷する機能を備えているので、その画面から[Microsoft Print to PDF]を選び、PDFにまとめることができる。

 そのほかのファイル形式の場合、有料の「Acrobat」を使う手がある。複数のファイルを選択した状態で、右クリックメニューの[ファイルをAcrobatで統合]をクリックすれば、1つのPDFファイルに変換できる。元ファイルの形式が、PDFだけでなく、Wordや画像、テキストファイルなどバラバラの状態でもまとめて変換できるのが便利だ。

 ちなみに、複数のファイルを選択した状態で、右クリックメニューから[Adobe PDFに変換]をクリックすれば、個別のファイルそれぞれを一気にPDFファイルに変換できる。1つにまとめたくない場合に利用しよう。

右クリックメニューから[ファイルをAcrobatで統合]をクリックする
変換するファイルを確認して[統合]をクリック
複数ファイルをまとめてPDFに変換できた

 Macの場合は、PDFファイル同士であれば「プレビュー」で結合することができる。PDFのプレビュー画面を開いている状態で、別のPDFファイルをドラッグ&ドロップし、保存すればよい。

Macの場合、「プレビュー」上に追加したいPDFファイルをドラッグ&ドロップする
複数のPDFファイルを結合できた

 以上が、WordやExcel、WebページをPDFに変換する方法の紹介となる。印刷機能を利用して、PDFファイルに変換するのが基本だ。さらに有料の高機能なツールを使うと、色々な方法でPDFを作成できるようになる。

 次回は「PDFをWordやPowerPointに戻したり画像で出力する方法」について紹介する。PDFは最終出力のためのファイルフォーマットという誤解が広がっているが、実はPDFからWordなどへ変換することも可能なのだ。

著者プロフィール:柳谷 智宣

IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。

・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/