柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」
【PDFファイル内のページを直接動かしたい!】PDFのページを入れ替えたり削除して整理する方法
PDFのページ整理は無料ツールでも意外とできる!
2023年3月28日 07:00
プレゼン前に資料を見返していたら、説明の順番を変えたくなったという場合、どうすればよいだろうか? PowerPointで元ファイルを開いて編集し、再度PDF出力してもいいのだが、もっと簡単な方法がある。PDFツールを使ってPDFファイルのページを直接動かしてしまえばいいのだ。元ファイルがなくても手軽に対処できるのでおすすめ。
ほかにも、ページを削除したり、抽出したり、ページ番号を付け替えたりと、ページを整理したいシチュエーションは多い。そこで、今回はPDFを整理する方法を紹介する。
まずは「CubePDF Utility」での操作方法をチェックしてみよう。オープンソースソフトウェアとして開発されているので個人・法人を問わず無料で利用でき、商用利用も含めて利用制限がない。公式ホームページを開き、[最新版をダウンロード]をクリックして「CubePDF Utility」をインストールしよう。なお、窓の杜ライブラリからもダウンロード可能だ。
「CubePDF Utility」でPDFのページ操作を行う
「CubePDF Utility」にPDFを読み込むとサムネイルの一覧が表示されるので、入れ替えたいスライドを探そう。あとはドラッグ&ドロップして任意の場所に移動させればよい。複数ページを選択した状態でドラッグし、まとめて動かすこともできる。ツールバーの[前へ]や[後へ]をクリックしてもいい。
不要なページがあるなら、サムネイルを選択した状態で、ツールバーの[削除]をクリック。メニューが開くので[選択ページを削除]をクリックしよう。[範囲を指定して削除]をクリックすると、ダイアログが開き、ページ数を数字で指定して削除できる。
紙資料をスキャンしたり、複数の書類を同時にPDFに変換したりすると、縦横が回転していることがある。そんなときはページの向きを変換してあげよう。PDFビューワーによっては、表示のみを回転する機能もあるが、どうせならPDFのデータそのものの向きを変えて上書き保存しておいた方が便利だ。
回転させたいページを選択し、[右90度]もしくは[左90度]のアイコンをクリックすれば、即サムネイルが回転する。2回クリックすれば、180度回転となる。問題がなければ[保存]をクリックすればよい。
資料の一部を別で使いたいときや保存したいときなど、PDFから任意のページを抽出することもできる。必要なページを選択し、ツールメニューから[抽出]-[選択ページを抽出]をクリックすればよい。ファイルの保存画面が表示されるので、保存フォルダーとファイル名を指定する。
抽出するページ以外を削除して[名前を付けて保存]をしても同じことができる。しかし、いつもの癖で上書き保存してしまうと、元のファイルがなくなってしまうので要注意。抽出するなら、抽出機能を使った方がいいだろう。
「Acrobat Pro」を使って高度なPDFのページ整理を行う
有料サービスの「Acrobat Pro」を利用すれば、さらに高度なページ整理を行うことができる。例えば、両面印刷の資料をスキャンしたときなど、偶数もしくは奇数ページの縦横が回転してしまうことがある。
数ページの資料であれば、複数選択して回転処理すればいいが、100ページもあると選択するのが億劫になる。そんなとき、「Acrobat Pro」なら特定のページをまとめて選択できるので、一気に変更できるのが便利だ。「偶数」や「奇数」だけでなく、「縦長」や「横長」のページをまとめて選択できるのが賢い。選択した後は、右クリックメニューから回転させれば完了だ。
ページ数の多いPDFを複数回の授業で使うために分割することもできる。ツールメニューから[分割]を選び、ツールバーのプルダウンメニューから分割方法を選択する。
ページ数で指定するほか、ファイルサイズや上レベルのしおりで分割することもできる。[出力オプション]をクリックすれば、分割したファイルを保存するフォルダーや分割ファイルにつけるファイル名などの設定を行える。とりあえず、初期設定のままでも問題ない。
逆に複数のPDFを結合することもできる。分割したPDFを元に戻したり、プロジェクトで利用していた複数のPDFを保存用としてまとめておく、といった使い方が可能だ。
[ツール]から[ファイルを結合]を選ぶと、ファイルの登録画面になるので、結合したいファイルをドラッグ&ドロップする。[結合]をクリックすれば、ファイルが結合されて「バインダー」というファイル名のPDFが生成される。
結合するPDFに表紙が必要であれば、[表紙を作成]をクリック。「Adobe Express」が起動し、デザインすることもできる。これはAdobeならではの機能だ。
ページを整理していると、PDFに設定していたページ数が飛んだり入れ替ったりすることがある。整理が終わったら、最後にページ数を更新しておこう。
「PDFを編集」ツールを開き、ツールバーの[ヘッダーとフッター]をクリック。さらに[更新]をクリックすると、「ヘッダーとフッターを更新」ウィンドウが開くので、同じ設定でいいなら、そのまま[OK]をクリックしよう。これでページ数が振り直されるので、保存すればよい。
以上が、PDFのページを入れ替えたり削除して整理する方法となる。PDFのページ整理は無料ソフトでも意外とできるので、コストをかけたくない、という人でも活用してほしい。とはいえ、やはり有料ソフトの方が便利機能を搭載していることが多い。
次回は、勝手にPDFを印刷したり編集できないようにする方法について紹介する。“PDFを第三者と共有する際、閲覧はしてほしいが修正はされたくない”といった使い方ができるのだ。PDFの重要機能の1つなので、ぜひ使いこなせるようになってほしい。
著者プロフィール:柳谷 智宣
IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。
・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/