柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」

【PDFファイル内のページを直接動かしたい!】PDFのページを入れ替えたり削除して整理する方法

PDFのページ整理は無料ツールでも意外とできる!

 本連載「柳谷智宣の『実は色々できるPDFの活用法』」では、無料・有料のPDFツールを活用し、ビジネスシーンで活躍しそうなPDFのテクニックを解説していく。今までは、もらったPDFを閲覧することしかしたことがない、という人にぜひ読んでいただきたい。
今回はPDFのページを整理する方法をご紹介する

 プレゼン前に資料を見返していたら、説明の順番を変えたくなったという場合、どうすればよいだろうか? PowerPointで元ファイルを開いて編集し、再度PDF出力してもいいのだが、もっと簡単な方法がある。PDFツールを使ってPDFファイルのページを直接動かしてしまえばいいのだ。元ファイルがなくても手軽に対処できるのでおすすめ。

 ほかにも、ページを削除したり、抽出したり、ページ番号を付け替えたりと、ページを整理したいシチュエーションは多い。そこで、今回はPDFを整理する方法を紹介する。

 まずは「CubePDF Utility」での操作方法をチェックしてみよう。オープンソースソフトウェアとして開発されているので個人・法人を問わず無料で利用でき、商用利用も含めて利用制限がない。公式ホームページを開き、[最新版をダウンロード]をクリックして「CubePDF Utility」をインストールしよう。なお、窓の杜ライブラリからもダウンロード可能だ。

「CubePDF Utility」のホームページから[最新版をダウンロード]をクリックすると、インストールファイルをダウンロードできる

「CubePDF Utility」でPDFのページ操作を行う

 「CubePDF Utility」にPDFを読み込むとサムネイルの一覧が表示されるので、入れ替えたいスライドを探そう。あとはドラッグ&ドロップして任意の場所に移動させればよい。複数ページを選択した状態でドラッグし、まとめて動かすこともできる。ツールバーの[前へ]や[後へ]をクリックしてもいい。

PDFのページをドラッグして順番を入れ替えられる。

 不要なページがあるなら、サムネイルを選択した状態で、ツールバーの[削除]をクリック。メニューが開くので[選択ページを削除]をクリックしよう。[範囲を指定して削除]をクリックすると、ダイアログが開き、ページ数を数字で指定して削除できる。

不要なページを選択して[削除]アイコンから削除できる

 紙資料をスキャンしたり、複数の書類を同時にPDFに変換したりすると、縦横が回転していることがある。そんなときはページの向きを変換してあげよう。PDFビューワーによっては、表示のみを回転する機能もあるが、どうせならPDFのデータそのものの向きを変えて上書き保存しておいた方が便利だ。

 回転させたいページを選択し、[右90度]もしくは[左90度]のアイコンをクリックすれば、即サムネイルが回転する。2回クリックすれば、180度回転となる。問題がなければ[保存]をクリックすればよい。

ツールバーの[右90度]をクリックすると瞬時に回転する

 資料の一部を別で使いたいときや保存したいときなど、PDFから任意のページを抽出することもできる。必要なページを選択し、ツールメニューから[抽出]-[選択ページを抽出]をクリックすればよい。ファイルの保存画面が表示されるので、保存フォルダーとファイル名を指定する。

ページを選択して「抽出」-「選択ページを抽出」をクリックする
ファイルを保存する
3ページ分だけのPDFを新規作成できた

 抽出するページ以外を削除して[名前を付けて保存]をしても同じことができる。しかし、いつもの癖で上書き保存してしまうと、元のファイルがなくなってしまうので要注意。抽出するなら、抽出機能を使った方がいいだろう。

「Acrobat Pro」を使って高度なPDFのページ整理を行う

 有料サービスの「Acrobat Pro」を利用すれば、さらに高度なページ整理を行うことができる。例えば、両面印刷の資料をスキャンしたときなど、偶数もしくは奇数ページの縦横が回転してしまうことがある。

 数ページの資料であれば、複数選択して回転処理すればいいが、100ページもあると選択するのが億劫になる。そんなとき、「Acrobat Pro」なら特定のページをまとめて選択できるので、一気に変更できるのが便利だ。「偶数」や「奇数」だけでなく、「縦長」や「横長」のページをまとめて選択できるのが賢い。選択した後は、右クリックメニューから回転させれば完了だ。

「ページを整理」メニューを開き、[ページ範囲を入力]のプルダウンメニューから[偶数ページ]を選択する
偶数ページが一気に選択されるので、右クリックメニューから回転させる

 ページ数の多いPDFを複数回の授業で使うために分割することもできる。ツールメニューから[分割]を選び、ツールバーのプルダウンメニューから分割方法を選択する。

「分割」ツールのツールバーから「次で分割」のプルダウンメニューを選択する

 ページ数で指定するほか、ファイルサイズや上レベルのしおりで分割することもできる。[出力オプション]をクリックすれば、分割したファイルを保存するフォルダーや分割ファイルにつけるファイル名などの設定を行える。とりあえず、初期設定のままでも問題ない。

「出力オプション」で保存場所やファイル名の設定を行う

 逆に複数のPDFを結合することもできる。分割したPDFを元に戻したり、プロジェクトで利用していた複数のPDFを保存用としてまとめておく、といった使い方が可能だ。

 [ツール]から[ファイルを結合]を選ぶと、ファイルの登録画面になるので、結合したいファイルをドラッグ&ドロップする。[結合]をクリックすれば、ファイルが結合されて「バインダー」というファイル名のPDFが生成される。

「ツール」から「ファイルを結合」をクリックする
結合したいPDFファイルをドラッグ&ドロップする

 結合するPDFに表紙が必要であれば、[表紙を作成]をクリック。「Adobe Express」が起動し、デザインすることもできる。これはAdobeならではの機能だ。

[表紙を作成]をクリックするとエディター画面が開く
「オプション」ではファイルサイズなどの設定ができる。
ファイルが結合され、「バインダー○.pdf」というファイル名のPDFが作成された。

 ページを整理していると、PDFに設定していたページ数が飛んだり入れ替ったりすることがある。整理が終わったら、最後にページ数を更新しておこう。

 「PDFを編集」ツールを開き、ツールバーの[ヘッダーとフッター]をクリック。さらに[更新]をクリックすると、「ヘッダーとフッターを更新」ウィンドウが開くので、同じ設定でいいなら、そのまま[OK]をクリックしよう。これでページ数が振り直されるので、保存すればよい。

ツールバーの[ヘッダーとフッター]-[更新]をクリックする
[OK]をクリックするとページ数が振り直される

 以上が、PDFのページを入れ替えたり削除して整理する方法となる。PDFのページ整理は無料ソフトでも意外とできるので、コストをかけたくない、という人でも活用してほしい。とはいえ、やはり有料ソフトの方が便利機能を搭載していることが多い。

 次回は、勝手にPDFを印刷したり編集できないようにする方法について紹介する。“PDFを第三者と共有する際、閲覧はしてほしいが修正はされたくない”といった使い方ができるのだ。PDFの重要機能の1つなので、ぜひ使いこなせるようになってほしい。

著者プロフィール:柳谷 智宣

IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を執筆しており、PDFファイルも日常的に利用している。メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。

・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/

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