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「Thunderbird 78」が正式リリース ~v68系統に代わる新版、アドオン互換性に注意

多くの新機能が導入。Windows版ではタスクトレイへの最小化がサポート

「Thunderbird」v78.0

 オープンソースのメールソフト「Thunderbird」の最新版「Thunderbird 78.0」が、7月17日(米国時間)に正式リリースされた。「Thunderbird 68」系統からのメジャーバージョンアップで、ベースが「Firefox ESR 78」ベースとなったほか、多くの新機能が導入されている。

 「Thunderbird」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、Windows版はWindows 7/8/10/Server 2008 R2に対応する。「Thunderbird 68」系統からの自動更新は今のところ提供されておらず、利用したい場合は“thunderbird.net”からダウンロードしてインストールする必要がある。

アカウント管理

 「Thunderbird 78.0」では、アカウント設定を一元管理できる“Account Hub”が新設された。インストール後の初期画面やアカウントのセットアップ画面のデザインにも手が加えられているようだ。

アカウントのセットアップ画面

受信トレイ

 日頃利用する[受信トレイ]画面にもさまざまな改善が施されている。まず目につくのはフォルダーペインのアイコンが変更されたことだろう。モノクロになった新しいアイコンは色がカスタマイズできるようになっており、重要なフォルダーは見やすく赤色にするといった運用も可能。

色のカスタマイズが可能なフォルダーアイコン

 リストビューには[メッセージ選択]カラムが新設された。ヘッダーの右クリックメニューからこれを有効化すれば、メールを選択するためのチェックボックスを利用できる。メールをまとめて削除したり、アーカイブする際に役立つだろう。

リストビューには[メッセージ選択]カラムが新設

 ツールバーに搭載されたグローバル検索メニューは、別タブページに検索結果を表示する。“クイックフィルター”ほどの気軽さはないが、サイドパネルで絞り込みが行えるので、大量のメールから目的のメールを探し出すときには重宝するだろう。グローバル検索の結果タブ右上にある[結果をリスト表示]オプションをクリックすると、検索結果がさらに別タブでリストビューに表示され、“クイックフィルター”による絞り込みが可能となる。

ツールバーに搭載されたグローバル検索メニューは、別タブページに検索結果を表示

メールの新規作成

 一方、メールの新規作成画面では宛先アドレスフィールド(To/Cc/Bcc)がアップデート。従来のように1行1アドレスではなく、複数のアドレスを1行に記述できるようになった。この新しいデザインは、今後も改善されていく予定だ。

宛先アドレスフィールドは一行に

その他の改善

 そのほかにも、「Thunderbird 78.0」ではアドオンマネージャーでテーマをプレビューできるようになった。エンタープライズポリシーの強化、カレンダーやチャットの改善も行われている。

 また、Windows版ではタスクトレイへ最小化する機能がサポートされた。長年要望の多かった機能だけに、歓迎するユーザーは多いのではないだろうか。

Windows版ではタスクトレイへ最小化する機能がサポート

互換性に注意

 「Thunderbird 78」系統ではレガシーアドオンの対応が打ち切られ、“MailExtensions”準拠のアドオンのみがサポートされる。そのため、長年使っていたアドオンのいくつかが利用できなくなるかもしれない。

「Thunderbird 78」系統ではレガシーアドオンの対応が打ち切られ、“MailExtensions”準拠のアドオンのみがサポートされる

 とくにデジタル署名または暗号化されたメールを扱うための定番アドオン「Enigmail」が今のところ機能しない点には注意したい。「Thunderbird」は「OpenPGP」を標準でサポートする方針だが、その作業はまだ完了していない。

 そのほかにも、“TLS 1.0/1.1”の無効化やグラフィックスハードウェアアクセラレーションのデフォルト有効化も互換性に影響する可能性がある。また、アドレス帳の形式が「SQLite」データベースとなり、移行時に自動でデータ変換が行われる。データのバックアップも入念に行っておいた方がよいだろう。

 なお、システム要件は以下の通り。Linuxで最小ランタイム要件が変更されている。

  • Windows:Windows 7以降
  • Mac:macOS 10.9以降
  • Linux:GTK+ 3.14以降

セキュリティ関連の修正

 「Thunderbird 78.0」で修正されたセキュリティ問題は、CVE番号ベースで14件。深刻度の内訳は、Mozillaの基準で4段階中上から2番目の“High”が7件、上から3番目の“Moderate”が5件、最も低い“low”が2件。「Thunderbird」は初期設定でJavaScriptが無効になっているため、「Firefox」ほどリスクは高くないが、有効にしている場合は十分に注意したい。