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PDFリーダーを大幅強化、漏洩パスワードの警告にも対応した「Microsoft Edge 86」
開発者向けの機能改善やエンタープライズ向けの管理機能も
2020年10月12日 07:00
米Microsoftは10月9日(現地時間、以下同)、「Microsoft Edge」の最新安定(Stable)版v86.0.622.38を公開した。メジャーバージョンアップとなる今回のアップデートには、セキュリティやプライバシー保護の強化、PDFドキュメントの閲覧、開発者向けの機能改善、エンタープライズ向けの管理機能などが含まれている。
「Microsoft Edge 86」ではPDFリーダーが大きく改善。PDFドキュメントのナビゲートに役立つ目次がサポートされたほか、スクリーンの小さなデバイスでもPDFリーダーのすべての機能にアクセスできるようになった。デジタルペンでハイライトを書き込んだり、長いPDFファイルでもスムーズにスクロールできるようになったのもうれしい改善だ。
セキュリティ面では、ログイン情報の流出データベースと照合して、パスワードの漏洩が判明した場合に警告を発する機能が追加された。このような機能は「Google Chrome」や「Firefox」にも搭載されており、好評を博しているが、ようやく「Edge」にも導入された格好だ。
そのほかにも、アドオンライブラリの検索でオートコンプリートが利用できるようになった。ダウンロードシェルフやダウンロードマネージャーの右クリックには、ダウンロードしたファイルを除去するコマンドが追加されている。
また、以前に発表されたコレクション機能への“Pinterest”統合も最新版の「Edge」で利用可能。新規タブページにお気に入りの写真をアップロードして壁紙として利用する機能もサポートされている。
開発者が注意すべき変更点としては、“SameSite Cookie”の取り扱いが改められた点を挙げたい。「Google Chrome」ではすでに導入されているが、セキュリティとプライバシー向上のためデフォルトで“SameSite=Lax”として処理されるようになったので、サードパーティのリソースが正しく機能しなくなる可能性がある。
また、Webアプリケーションをオフラインで動作させるために利用されていた“HTML5 Application Cache API”が「Edge 86」から削除される。実験的機能をテストする仕組み“OriginTrial”を利用することで「Edge 90」まで延命することもできるが、できるだけ早い“Service Worker”への移行をお勧めする。
エンタープライズ向けには、「Microsoft Edge」のアップデートで社内デバイスやアプリと互換性問題が生じた場合に、管理者が正常なバージョンでロールバックする機能や、あらかじめ管理者が許可したWebサイトでユーザーが「Internet Explorer」モードによるテストを行えるようにする機能、社内全体で設定の同期を強制するポリシーなどが導入された。また、Windows 10でサポートされていたプロファイルの自動切り替え機能が旧OSへも拡充され、あらたにWindows 7やWindows 8.1でも利用できるようになった。
本バージョンでは「Chromium」がv86.0.4240.75へとアップデートされ、CVE番号ベースで19件の脆弱性が修正された。最大深刻度は4段階中上から2番目の“High”と評価されている。
「Chromium」ベースの「Microsoft Edge」はWindows/Macに対応しており、現在公式サイトから無償でダウンロード可能。すでに新しい「Microsoft Edge」を利用中の場合は、自動で更新されるため何もする必要はない。手動で更新したい場合は、画面左上のメニュー(“…”アイコン)から[ヘルプとフィードバック]-[Microsoft Edge について]画面(edge://settings/help)へアクセスするとよい。すぐにアップデートを受け取れない場合もあるので、その場合は時間をおいて再度試してみてほしい。