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広告ブロッカーに影響? ~ Microsoftが「Edge」で“Manifest V3”対応のテストを開始
「Chrome」と歩調を合わせ、プライバシーとセキュリティ、パフォーマンスを強化
2020年10月19日 06:45
米Microsoftは10月14日(現地時間)、“Manifest V3”を「Microsoft Edge」でサポートする方針を発表した。“Manifest V3”は「Google Chrome」で採用が予定されている拡張機能の新仕様。プライバシーとセキュリティ、パフォーマンスの強化が図られている。同社は「Chrome」と歩調を合わせることで、開発者の負担を減らしたい考えだ。
“Manifest V3”で注目されているのは、これまで広く用いられてきた“Web Request API”が新しい“Declarative Net Request API”へ置き換えられることだ。
既存の“Web Request API”は自由度が高く、通信のリクエストやレスポンスを柔軟に改変できるというメリットがある。とくに広告ブロッカー系の拡張機能にとってなくてはならない機能だ。
一方で、“Web Request API”には悪意ある拡張機能にデータを簡単に盗まれてしまうという重大な欠点がある。ストアに提出する際、不審な処理がないかのチェックは行われるが、漏れなく検出できるわけではない。また、拡張機能が処理を長期間ブロックしてしまうため、Webブラウザー側でパフォーマンスを改善するのが難しい。
新しい“Declarative Net Request API”はこの問題を解決するため、拡張機能が行いたい処理をあらかじめルールとして登録し、Webブラウザーがそれを代行する(宣言的)。自由度は低下するものの、リクエストやレスポンスの処理は拡張機能ではなくWebブラウザー側で行われるため透明性が高い。また、データを保護したり、パフォーマンスチューニングを行うのも比較的容易だ。ストアでの審査にかかるコストも削減される。
GoogleやMicrosoftは、これらの変更により拡張機能の機能が損なわれることはないとしているが、やはり広告ブロッカー系の拡張機能には大きな影響が出るものと思われる。“Declarative Net Request API”をはじめとする“Manifest V3”の一部機能は“Beta”チャネルと“Stable”チャネル(安定版)でテストできるので、拡張機能の開発者には早期のテストをお願いしたい。