貼り付けたコードの言語をAIが自動で推測 ～「Visual Studio Code」の2021年8月更新

「Visual Studio Code」v1.60

　米Microsoftは9月2日（現地時間）、コードエディター「Visual Studio Code」の2021年8月アップデート（v1.60）を正式リリースした。今月のリリースの目玉は、エディターに貼り付けたコードのプログラミング言語を自動検出できる機能だ。わざわざ言語を指定しなくても構文色分け（シンタックスハイライト）が機能するため、ソースコードを読むのが楽になる。

　この自動言語検出機能は前回のリリースで実験的に導入されていたが、今回のリリースでデフォルト有効化された。実験導入では無題のドキュメントでのみ利用できるようになっていたが、最新版ではその他のケースでも動作するように拡張されており、ノートブックでも言語ピッカーで自動検出を選ぶだけで機能する。内部的には機械学習ライブラリ「Tensorflow.js」やソースコードから言語を特定するモデル「Guesslang」が用いられており、処理はすべてローカルで完結しているという。

ノートブックでも言語ピッカーで自動検出を選ぶだけでシンタックスハイライト

　「Visual Studio Code」は多くのプログラミング言語に対応しており、コードの閲覧や記述を支援する拡張機能がそろっているが、なかにはそれを知らずに使っている開発者もいるという。今回導入された自動言語検出機能は、そうした開発者が言語専用の拡張機能を導入するきっかけになるだろう。また、新規ドキュメントをスクラッチパッドとして利用する開発者にとっても役立つだろう。

　ワークベンチ関連では、そのほかにもブラケット（括弧）のペアを色分けする機能が実装された。すでに同様の機能を持つ拡張機能は存在するが、それよりもパフォーマンスに優れ、巨大なドキュメントを編集した際もすばやく反映されるという。また、色は最大で6種類が選択可能。オートコンプリートの候補をインラインで表示する機能や、アップデートされたピークビューなども便利。設定エディターにもシンタックスハイライトが導入され、コードフェンスで囲まれたコードを色分け表示できるようになった。

ラケット（括弧）のペアを色分け。巨大なドキュメントでも高速に動作

オートコンプリートの候補をインラインで表示

アップデートされたピークビュー

　統合ターミナル関係では、グリフのレンダリングが改善された。罫線を描画する際につなぎ目がなくなったり、特定のフォントで下線をレンダリングする際のズレがなくなる。ウィンドウをリロードした際に接続を復帰する処理も高速化された。

GPUレンダリングの際にピクセルパーフェクト（pixel-perfect）なカスタムグリフを利用。罫線を描画する際につなぎ目がなくなったり、特定のフォントで下線をレンダリングする際のズレがなくなる

　開発関連では、「Typescript 4.4」を搭載。デバッグセッション中に変数の内容を監視するウォッチ機能で、変数の内容を設定する機能が導入された。この機能は今のところオプトインする必要があり、JavaScriptとC#、C++拡張機能でしかサポートされていないが、次第にサポートする言語は増えていくものと思われる。

　そのほかにも、Windows 11への対応が強化された。最新のインストーラーでは［サポートされているファイルの種類のエディターとして、Code を登録する］オプションが既定で有効化されており、その対応ファイル一覧も見直されている。対応するファイルで右クリックメニューを利用すると、新しい［プログラムから開く］（Open with）コマンドの上の方に「Visual Studio Code」が追加され、簡単にファイルを閲覧できる。

最新のインストーラーでは［サポートされているファイルの種類のエディターとして、Code を登録する］オプションが既定で有効化

　また、「Visual Studio Code」がWindows 11の「Microsoft Stor」から入手できるようになった点にも注目したい。ここから入手できるインストーラーは公式サイトからダウンロードできるインストーラーと同じで、アップデートもこれまでと同様、アプリ内で管理される。

　「Visual Studio Code」は、Windows/macOS/Linuxで動作する高機能なコードエディター。JavaScript、TypeScript、Node.jsを組み込みでサポートし、強力なコーディング支援・デバッグ・統合ターミナル機能を提供するほか、言語サーバー対応の拡張機能を追加することで、幅広いプログラミング言語に対応できるのが特徴。現在、本ソフトの公式サイトから無償でダウンロードできる。すでに利用している場合は、自動更新機能を用いてアップデートすることも可能だ。