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Mozilla、「Manifest V3」対応拡張機能の受け付けを開始へ ~「Firefox 109」で正式対応

「Google Chrome」や「Microsoft Edge」と異なる点も

公式ブログ「Mozilla Add-ons Community Blog」

 Mozillaは11月17日(米国時間、以下同)、「Manifest V3」(MV3)対応の「Firefox」拡張機能を11月21より「addons.mozilla.org」(AMO)で受け付けると発表した。アドオン開発者はMV3拡張機能をAMOへアップロードし、署名してもらうことが可能で、Nightly版「Firefox」で拡張機能の動作をテストできる。

 「Manifest V3」は新しい拡張機能の仕様で、APIの簡素化と統合、セキュリティとプライバシー保護の強化、モバイルプラットフォームへの対応改善などのメリットがある。「Firefox」だけでなく、「Google Chrome」や「Microsoft Edge」などでもサポートされる。

 一方、MV3に関しては広告ブロッカーなどの拡張機能が開発しにくくなるのではないかとの懸念もある。これは「Chrome」や「Edge」が「Web Request」のブロックに代え、「Declarative Net Request」(DNR)と呼ばれる仕組みを導入したため。「Web Request」による通信を拡張機能が自由にブロックできてしまうと、拡張機能が何をしているのかがユーザーにわかりにくく、万が一の悪用を防ぐのも難しい。しかし、あらかじめ(Declarative:宣言的に)ブロックルールを登録しておくDNRならば透明性が高く、拡張機能からユーザーデータを保護するのが容易で、パフォーマンスの最適化もWebブラウザー側で行えるというのがその理由だ。

 しかし、「Firefox」では広告ブロッカーなどの拡張機能にも配慮してか「Web Request」のブロックが引き続きサポートされる。とはいえ、DNRのメリットも少なくないので、将来的にDNR互換の機能を実装する予定。

 また、「Firefox」のMV3はバックグラウンドスクリプトの仕組みとして「Event Pages」を提供しているが、これは「Chrome」や「Edge」で採用されているサービスワーカーとは異なる。この点に関しても、将来的にサービスワーカーへ対応することで互換性を確保していく考えだ。

 加えて、MV3拡張機能の導入に当たっては、「Unified Extensions」と呼ばれる新しいユーザーインターフェイスが導入される。これはツールボタンのポップアップから簡単に閲覧サイトに対するMV3拡張機能のアクセス権を確認・変更(許可・取り消し)できるようにするもの。MV2拡張機能もこのポップアップにリストアップされるが、仕組み上アクセス権の変更までは行えない。これもMV3拡張機能の柔軟性を示すものといえるだろう。

MV3拡張機能とともに新たに導入される「Unified Extensions」

 なお、MV3拡張機能のサポートは「Firefox 109」(2023年1月17日)とともに一般リリースされる見込み。しかし、MV2がすぐに廃止されるわけではない。2023年中はMV3の評価を継続し、そのうえでMV2の非推奨化と終了のプロセスを事前に公表するとしている。