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Google、次世代AI「PaLM 2」を発表 ~25以上の自社製品に搭載へ

多言語対応、推論、コーディングの3点を強化した最先端の大規模言語モデル

Google、次世代言語モデル「PaLM 2」を発表

 米Googleは5月10日(現地時間)、次世代言語モデル「PaLM 2」を発表した。3月から少数の開発者グループでプレビューが行われていたが、同日より一般の開発者にも開放される。エンタープライズ環境向けに「Vertex AI」での提供も行われる。

 「PaLM 2」は、多言語対応、推論、コーディングの3点を強化した最先端の大規模言語モデル。より高性能であるにもかかわらず、従来のモデルよりも高速で効率的になっているという。

  • 多言語対応(Multilinguality):100以上の言語にまたがる多言語テキストを学習させることで、これまで難しいとされていたイディオムや詩、ナゾナゾといった要素まで理解・生成・翻訳できるように。「Mastery」(熟練レベル)の言語能力試験にも合格できる力量を備える
  • 推論(Reasoning):科学論文や数式を含むWebページなども学習させることで、論理、常識的な推論、数学の能力が向上
  • コーディング(Coding):一般公開されている大量のソースコードで事前学習。「Python」や「JavaScript」などの一般的なプログラミング言語はもちろん、「Prolog」、「Fortran」、「Verilog」といったニッチなプログラミング言語のコードも生成できる

 「PaLM 2」は4つのサイズで提供される予定。小さなものから順に「Gecko」、「Otter」、「Bison」、「Unicorn」と呼ばれており、さまざまなニーズに対応する。とくに「Gecko」は非常に軽量で、ストレージに余裕がない・非力なモバイルデバイスでも動作し、クラウドに接続できないオフライン環境でも自然なやりとりが可能であるという。

 同社は今後、「PaLM 2」を25以上の製品に搭載する考え。「Bard」をはじめ、「Gmail」や「Google Workspace」はもちろん、医学分野への応用を目指した「Med-PaLM 2」や、セキュリティのユースケースに特化して訓練した「Sec-PaLM」といった派生モデルも提供する。

医学分野への応用を目指した「Med-PaLM 2」

 また、テキスト以外にもさまざまなデータを入力ソースとして利用した「マルチモーダル」な次期モデル「Gemini」の開発にすでに着手しているとのこと。テキストの学習だけでは不可能なより高度な認識や判断が行えるようになることが期待される。