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新しい「Outlook」アプリはCOMアドインに非対応 ~Webアドインへの移行を
組織の管理者は利用中のCOMアドインを特定し、代替策の検討を
2023年10月23日 10:35
Windows版「Microsoft Outlook」アプリがリニューアルされ、Web版とコードが統一される。これによりWeb版と一貫した操作性が得られるほか、アプリそのものがシンプルになり、拡張性と安定性が改善されるというメリットが得られる。初心者から上級者までをカバーしたシンプルかつ高機能なアプリになると期待されており、Windows 11標準の「メール」も新しい「Outlook」アプリへと置き換えられる予定だ。しかし、注意しなければならない点もいくつかある。
米Microsoftが10月18日(現地時間)、公式コミュニティサイト「Microsoft Community Hub」へ掲載した記事によると、新しい「Outlook」アプリはWebアドインを引き続きサポートするものの、COMアドインは利用できない。
「COM」(Component Object Model)は、ソフトウェアの部品(コンポーネント)を他のアプリから利用できるようにする仕組み。たとえば「Word」ドキュメントに「Excel」テーブルを埋め込んだりといった非常に高度な機能を提供する。しかし、仕組み自体は前世紀からある古く・複雑なもので、「Outlook」アプリでクラッシュなど安定性にかかわる問題を引き起こす原因にもなっている。
一方のWebアドインは比較的新しい技術で、クラッシュしてもその影響が外部に及ばないようにするサンドボックス環境を備えるなど、安定性と堅牢性を兼ね備える。開発にはWeb標準技術が応用できるため、アドイン開発の生産性も高い。ローカルよりオンラインの連携が重視される最近の技術トレンドにも合致している。COMアドインと比べるとできることは制限されるが、多くのアドインはWebアドインで代替できるため、置き換えで大きな問題は起こらないだろう。
とはいえ、古くから「Outlook」アプリを使っている組織では、COMアドインに依存した機能がいまだ残っている可能性もある。そのため、組織の管理者はそれを特定し、代替策を検討する必要があるだろう。
- インストールされているCOMアドインを確認する:「Microsoft 365」アプリの管理センターにある正常性ダッシュボードが利用可能
- ミッションクリティカルなCOMアドインを特定する:インストールされているが使われていないCOMアドインは削除し、業務に不可欠なアドインを特定する
- アドイン発行元の代替策を確認する:COMアドインの提供元が後継のWebアドインをリリースしている場合があるので、それをチェックして評価する。ファーストパーティーによる提供がなくても、「Microsoft AppSource」でサードパーティーアプリが提供されている場合がある
- 業務プロセスの変更を検討する:どうしてもCOMアドインをWebアドインで代替できない場合は、そのCOMアドインを利用しなくてもよいように業務プロセスを変更する。たとえば古いミーティングアドインは、「Teams」ミーティングで代用できる可能性がある
どうしてもニーズとマッチしない場合は、Webアドインを自社で開発することも可能。最近の事例としては、AIを用いた翻訳サービス「DeepL」が自社のAPIで「Office」アドインを開発した例がある。