レビュー
自然な訳文が人気、ちょっと新しくなった「DeepL」AI翻訳アプリの使い方
アイコンとショートカットキーでコンパクトな翻訳ポップアップを召喚、無効化も可能
2024年8月28日 06:45
Windows版「DeepL」デスクトップアプリに翻訳ポップアップウィンドウが導入されたようだ。同じくして設定画面などが新しくなっているので、改めてこのアプリを紹介しよう。
本ソフトは、ドイツのDeepL社がディープラーニング(深層学習)を軸に開発した自然言語向けの人工知能(AI)システム「DeepL」のWindows向けクライアントアプリだ。
「DeepL」自体はWebブラウザーさえあればオンラインでも使えるが、専用のクライアントアプリならば、テキストの選択操作やキーボードショートカットと連動してすばやく呼び出せるので便利。各種Webブラウザーに対応した拡張機能も用意されているが、Windowsデスクトップで利用するのであればWindows版アプリがもっとも使いやすく、汎用性も高い。Webコンテンツだけでなく、「メモ帳」をはじめとする他のアプリ、なんならOSの編集可能要素(テキストボックスなど)でも使える。
基本機能は無料となっているので、ぜひ活用していただきたい翻訳アプリだ。
呼び出し方は2パターン
「DeepL」デスクトップアプリをインストールするとOSのスタートアップに登録され、デバイスの起動時に自動で実行、タスクトレイに常駐する。
この状態であれば、2つの方法ですばやく「DeepL」による翻訳を開始可能だ。
- テキストを選択して[Ctrl]+[C]キーを押し、続けてもう一回[C]キーを押す
- テキストを選択すると現れる「DeepL」アイコンをクリックする
キーボード操作に慣れているのであれば、前者のキーボードショートカットがおすすめ。その場合、「DeepL」アイコンが煩わしく感じられるだろうが、これは設定画面で無効化できる。キーボードショートカットもこの設定画面で自由に変更が可能。
キーボード操作に慣れていないのであれば、「DeepL」アイコンを活用しよう。クリックすれば、翻訳ポップアップウィンドウが現れる。アプリによってはこのポップアップが出てこない場合があるが、その場合はメインウィンドウ(後述)を開いて、翻訳したいテキストをコピー&ペーストするしかない。
なお、アプリによっては「DeepL」アイコンが邪魔だったり、不要なこともあるだろう。その場合は「DeepL」アイコンへマウスオーバー(上へカーソルを移動)させればよい。当該アプリでは「DeepL」アイコンを表示しないようにすることができる。
翻訳ポップアップウィンドウ
翻訳ポップアップウィンドウは比較的最近になって導入されたユーザーインターフェイス要素で、選択したテキストの近くに翻訳結果をコンパクトに表示する。ポップアップ左下にある[コピー]ボタンを押せば、翻訳されたテキストがクリップボードへコピーされ、他のアプリへ貼り付けられる。
[コピー]の右隣りにある[置き換え]ボタンは、テキストボックスなどの編集可能要素で利用する。たとえば「Gmail」でメールを作成する際、「こんにちは。暑い日が続きますが、お加減はいかがですか」などと入力してこれを選択し、「DeepL」デスクトップアプリで英語へ翻訳する。翻訳に問題がなければ[置き換え]ボタンをクリック。すると、選択テキストが翻訳テキストに置き換えられるため、英文メールも簡単に書ける。
もう一つの[DeepL で編集]ボタンは、従来からある「DeepL」デスクトップアプリのメインウィンドウを開くボタンだ。
メインウィンドウ
メインウィンドウは、翻訳ポップアップだけでは難しい作業を行うところで、前述したように翻訳ポップアップの[DeepL で編集]ボタンで開くことが可能。タスクトレイアイコンからも呼び出せる。
メインウィンドウは左右に分割されており、左側にテキストをコピーすると、右側に翻訳結果が表示される。翻訳テキストの単語を選択すると、他の翻訳候補や単語の意味を確認可能。右下の[コピー]ボタンを押すと、翻訳テキストをクリップボードへコピーできる。
そのほかにも翻訳するテキストを音声入力したり(日本語未対応)、テキストを音声で読み上げたり、履歴にアクセスしたり、お気に入りに追加して翻訳を再利用することが可能。文字の大きさや読み上げの速度も調整できる。いずれも翻訳ポップアップではまかないきれない機能だ。こうした機能を利用することが多いのであれば、設定画面で翻訳ポップアップを無効化し、直接メインウィンドウを開くようにしたほうがよいだろう。
そのほかの機能
ほかにも、「DeepL」デスクトップアプリでは以下の機能が利用できる。
- 「DeepL Write」:AIを活用した文章作成支援サービス。日本語未対応
- 画像を翻訳:画像ファイルをアップロードしたり、スクリーンの一部をキャプチャーして翻訳。日本語認識の品質は「それなり」といったところだ
- ファイルの翻訳:Office文書やPDFドキュメントをアップロードしてまるごと翻訳。翻訳済みのファイルがダウンロードされる
- 保存済み翻訳の再利用:翻訳を最大で365日間保存し、あとから再利用できる。よく使うものはお気に入り(ブックマーク)に追加することも可能。有償版「Pro」向け
なお、「DeepL」の無料ライセンスはエンドツーエンド暗号化(E2EE)に未対応。クラウドに送られた翻訳テキストも即時削除されず、一定期間サーバーに残る。そのため、業務利用に適していない。有償の「DeepL Pro」を契約すべきだ。
「DeepL Pro」の価格は、最安の「Starter」で月額1,150円(税込み、年払いの場合)より。無償版で提供されている基本機能に加え、以下の機能が解放される。
- より高いセキュリティ
- テキストの入力文字数制限がない
- 1名あたり1カ月あたり5ファイルを翻訳可能。編集もできる
- 10MBまでのファイルアップロード
- 1用語集あたり5,000の用語ペアを登録
- チーム管理
「DeepL Pro」は30日間無償で試用できるので、これを機会に試してみてもよいだろう。