レビュー

ボイチェンツールで自然に聞こえるようにするコツがつかめない! 努力不要の方法は?

普通に話すだけで自然な発声の声に変換できるAIボイスチェンジャーアプリ「リアボVC」

「リアボVC」v34

 昨今、ボイスチェンジャーアプリの需要が急速に高まっています。

 例えば、ゲーム配信では、別の性別になりきった配信や、普段とは異なる声でのキャラクター演出が可能です。これはエンターテイメント性の向上だけでなく、プライバシー保護の観点からも注目のポイントです。

 また、Discordやゲーム内ボイスチャットでのコミュニケーションが当たり前になる中、普段の声を変えてコミュニケーションを楽しみたいというニーズもあります。

 興味深いのは、メタバース空間での活用です。男性が女性アバターを使用したり、女性が男性アバターを使用したりすることも少なくありません。その時に、アバターの性別に合わせた声で話したいという需要が生まれています。こうした背景から、窓の杜でもボイスチェンジャーアプリを何度か取り上げており、読者から大きな反響をいただいてきました。

 しかし、これまでのボイスチェンジャーアプリは、発声者の声に直接エフェクトをかけたり、AIで音声を変換したりする方式でした。そのため、ボイスチェンジ後の声は発声者のベースに引っ張られ、自然な形で別の性別になりきるような声を作るためには、発声者側の工夫や努力が求められます。

 そこで今回はボイスチェンジャーアプリでありながら、従来とは全く異なるアプローチを採用した「リアボVC」をご紹介します。

従来のボイスチェンジャーとはアプローチが異なる音声生成

 「リアボVC」は、入力された音声を一度テキストに変換し、そのテキストをAI音声生成技術で別の声として発声する仕組みを採用した無料ボイスチェンジャーアプリです。そのため、普通に話すだけで、自然な発声で指定した別の声に変換してくれます。

 この技術の核となるのが「Style-Bert-VITS2(SBV2)」です。SBV2は、テキストから非常に感情豊かな音声を生成できるテクノロジーで、「VOICEVOX」などの既存のTTS(Text-to-Speech)技術と比較しても、より自然で表現力豊かな音声を生成できます。

 これは初心者にとって非常に大きなメリットです。発声者側は適切にテキストに変換されるような発音を心がけるだけで良いのです。

発声すると音声を認識し、音声生成AIで登録されている女性の声で発声されます

インターフェースは直感的で使いやすい!

 それでは、実際に「リアボVC」を使ってみます。

 このアプリはBOOTHから無料のダウンロードツールを使ってダウンロードします。なお、BOOTHのページの説明欄にはアーカイブへの直リンクも用意されているので、そちらを利用することも可能です。音声合成モデルを同梱しているため、サイズがかなり大きめ(10GB以上)なので、ファイルを保存する場所は気をつけてください。

 動作環境はWindows10/11で、GeForce RTX 2060以上のグラフィックボードを搭載したゲーミングPCが推奨となっています。

BOOTHから、本アプリのダウンロード用のHTMLファイルがダウンロードできます

 ファイルを解凍したあとのディレクトリにある起動用ファイルからアプリを起動します。UIは非常に直感的で、初見でも操作方法が理解しやすい設計です。まず利用前に、入力用のマイクの設定と出力先デバイスの設定をします。マイクには普段利用しているマイクを設定してください。出力先デバイスは工夫が必要で、普段使っているスピーカーなどを設定すると、自分にだけ変換後の声が聞こえるようになってしまいます。

 「リアボVC」を使って配信や通話などをする場合は、出力先として「VB-CABLE」などの仮想オーディオデバイスを設定し、その出力先を各種アプリの音声入力に設定する必要があります。詳細な設定はここでは省略しますが、「リアボVC」には設定方法について記載されているマニュアルが用意されているので、そちらを参照してください。

「リアボVC」には仮想オーディオデバイスのインストール方法などの解説も用意されています

 変換精度は非常に高く、従来のボイスチェンジャーと比較しても格段に自然な仕上がりとなっています。発声者の話し方や発音に関係なく、一定の品質を保った音声変換が可能です。現在は女性声のモデルが10種類用意されており、それぞれの写真をクリックするだけで簡単に音声を切り替えることができます。

 実際に本アプリを使ってボイスチェンジしてみました。区切りながら話したため、音声に間隔が開いている部分がありますが、変換精度に注目してください。



 「リアボVC」の最大の強みは、発声者が特別な技術や工夫を必要とせずに、自然な声の変換を実現できることです。従来のボイスチェンジャーで挫折してしまった初心者にとって、これは画期的な進歩といえるでしょう。

 遅延や長文認識の課題はあるものの、AI音声生成技術の応用という新しいアプローチは、ボイスチェンジャーアプリの未来を示唆する革新的な取り組みです。ぜひ、全く別人の声を出せる本アプリを試してみてください。

ソフトウェア情報

「リアボVC」
【著作権者】
ぽいロード 氏
【対応OS】
Windows 10/11
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
34