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好きな楽曲をカラオケ音源に! 「Audacity」でボーカルパートを取り除くワザ
2017年10月19日 06:00
これまで何度か紹介をしている「Audacity」には、さまざまな機能が備わっています。その中で今回は、ボーカルが入っている普通の楽曲をもとにして、簡単にカラオケ音源を作る方法を紹介しましょう。
「Audacity」を使ってカラオケ音源を作成する
楽曲の中から、ボーカルを取り除く方法はいくつかあります。代表的なのは「センターキャンセル」と呼ばれる手法ですが、トラックを複製して、位相を反転させて、モノトラックにして……など、たくさんの工程が必要になります。そのため、こういった方法は、ある程度の知識がないと難しいのが実情です。しかし「Audacity」には予めセンターを取り除くことのできる機能が入っているので、それを使いカラオケ音源を作ってみましょう。
まず、ボーカルを取り除きたい音源を読み込みます。
次に、[エフェクト]メニューから[Vocal Remover]を選択します。
すると、[Vocal Remover]の設定画面が表示されます。
ボーカルパートをカットする場合は、[Remove vocals or view Help]をクリックし[Remove vocals]を選択します。
次に[Removal choice]を[Remove frequency band]に選択することで、センターの音から指定した周波数帯域を取り除くことができます。
そして、周波数帯域を[frequency band from/to (Hz)]で入力、指定します。低音域は200~300、高音域は2000~8000ぐらいの範囲で設定すると綺麗にボーカルをカットできます。
設定が完了したら[OK]ボタンを押します。
エフェクトが適用された音源をやり直したい場合は、メニューから[編集]→[Vocal Removerの取り消し]を選択する事で、エフェクトを適用する前に戻ることができます。
ちなみに、[Vocal Remover]の設定画面にある[Removal choice]の[Simple (entire spectrum)]を選択すると、周波数帯域の設定に関係なくセンターの音をカットできます。センターにドラムなどの楽器が鳴っていない場合は、この設定でも綺麗にボーカルをカットすることができます。
[Retain frequency band]を選択するとセンターの音から指定した周波数帯域以外の音をカットできます。たとえば、ボーカルパートのみ抽出したい時などに使用します。
以上の手順をたどっていくことで、だれでも簡単にWAVEやMP3などの音源からカラオケを作りだすことが可能です。ただし、こうして作ったカラオケの著作権や原盤権などは、もちろんもとの音源の権利者にあるので、むやみにネットにアップしたりするのは禁物です。その点は十分に注意した上で、個人的に楽しむレベルにとどめるようにしてください。
藤本 健
リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。著書に「コンプリートDTMガイドブック」(リットーミュージック)、「できる初音ミク&鏡音リン・レン」(インプレスジャパン)、「MASTER OF SONAR」(BNN新社)などがある。またブログ型ニュースサイトDTMステーションを運営するほか、All AboutではDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも務めている。Twitterは@kenfujimoto。