いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】コピーすれどもペーストできず! 再コピー不要の便利技

「クリップボード」で履歴を呼び出せます

点線が消えてしまったらコピペし直し?

 セル範囲をコピー&ペーストして、表の形式を整える作業はよくあります。慣れた操作だと思いますが、たまにデータを貼り付けられなくて戸惑うことがありませんか?

 コピーしたセル範囲には“点線”が表示され、[Ctrl]+[V]キーで貼り付けできるはずですが、なぜか反応がない状態です。

セル範囲をコピーしました。コピーしたセル範囲には“点線”が表示されています(①)
シートを切り替えて、貼り付けようとしたら反応がありません(②)
コピーしたはずのセル範囲を確認したら“点線”が消えて(③)いました……

 コピーしたはずのセル範囲を確認してみると“点線”は消えていて、おかしいと思いつつ、作業をやり直した経験があるのではないでしょうか。

 コピペし直しは不要です。貼り付け前に文字入力などの操作を挟むと、“点線”は消えてしまってコピーできないように思えますが、実は“クリップボード”に履歴が残っています。

Windowsクリップボードを呼び出す[Windows]+[V]キー

 Windowsの機能「クリップボードの履歴」を使うと、エクセルのコピペも捗ります。いつもの[Ctrl]+[V]キーではなく、[Windows]+[V]キーを押してみてください。コピーした履歴が一覧で表示されて、選択したデータを貼り付けられます。

 エクセルだけでなく、ワードやパワーポイントでも同様。Webブラウザーやメモ帳など、“クリップボード”に記録されたデータなら履歴に保存されています。

貼り付け先のセルを選択しておきます(④)。[Windows]+[V]キーを押すと(⑤)、クリップボードが表示されます。貼り付けたい履歴(⑥)を選択します
Windowsクリップボードの履歴からデータを貼り付けられました(⑦)

 なお、[Windows]+[V]キーを初めて押した場合は[有効にする]をクリックして、有効にできます。また、[設定]アプリから「クリップボード」と検索しても設定可能です。すぐ下の項目[他デバイスとの同期]は、複数のパソコンでクリップボードを同期するためのスイッチです。同一のMicrosoftアカウントでログインしている端末でクリップボードの履歴を共有できます。

[Windows]+[V]キーを初めて押した場合は[有効にする](⑧)をクリックしてください
Windowsの[設定]アプリから設定することも可能です。[クリップボードの履歴]のスイッチをONにします。なお、[他デバイスとの同期]のスイッチをONにすると、同一のMicrosoftアカウントでログインしている端末でクリップボードを同期できます

連続コピー後に選択貼り付け可能

 例えば、元の表から必要な行を残したい場合、表全体をコピーして不要な行を削除する、もしくは、必要な行のみをくり返しコピペすることが多いでしょう。

必要な行を残して表を整えたい場合の操作を考えてみましょう

 クリップボードを利用する場合、必要な行をくり返しコピーしておき、貼り付け時に選択することが可能になります。コピーしたセル範囲の“点線”が消えてしまっても記憶されているので安心してください。

必要な行を選択してコピーします(⑨)
くり返し必要な行をコピーします(⑩)。最初にコピーしたセル範囲の“点線”は消えてしまいますが、気にしなくて大丈夫です
同様にコピーします(⑪)
貼り付け先のセル(⑫)を選択して、[Windows]+[V]キーを押します(⑬)。クリップボードの履歴が一覧で表示されるので、必要なデータを選択します(⑭)
選択したデータが貼り付けられました(⑮)
ほかのデータも同様に貼り付けられます(⑯)
クリップボードの履歴からデータを貼り付けられました(⑰)

 この例では、[Ctrl]キーを押しながら離れたセル範囲を選択してコピーする方法も可能ですが、[Ctrl]キーを押しながらのドラッグ操作は失敗しがちです。貼り付け時に一覧からデータを選べるメリットはあるのではないでしょうか。

 なお、不要な履歴は個別に削除できます。また、[ピン留めする]を選択した場合は、パソコンを再起動しても内容が保持されます。自分のメールアドレスなど、よく貼り付けるデータのメモ代わりに保存しておくのも便利です。

[…]から[削除]で個別に削除できます。[ピン留めする]を選択した履歴は、パソコンを再起動しても保持されます

Officeクリップボードもある

 エクセルのほか、ワードやパワポでクリップボードを共有できる“Officeクリップボード”もあります。画面左側に固定表示されるので、いちいちWindows標準のクリップボード履歴を呼び出すのが面倒なら、こちらもおすすめです。

[ホーム]タブ(⑱)の[クリップボード](⑲)をクリックすると、Officeクリップボード(⑳)が表示されます。履歴を選択して貼り付け可能です

 [オプション]からOfficeクリップボードの設定変更も可能です。データを複数コピーした時や[Ctrl]+[C]キーを2回押した時に、Officeクリップボードを自動的に表示できます。

[オプション]からOfficeクリップボードの設定を変更できます

標準機能でコピー&ペーストの効率アップ

 クリップボード履歴を利用している人は少ない印象です。このセル範囲はさっきコピーしたな?と思った時に使ってみてください。何気なく使っているコピー&ペーストも標準機能で効率化が期待できますよ。