石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

8Kの高解像度ゲームも動画キャプチャーできる「GeForce Experience」が便利

ただしフルスクリーン限定。Windows標準機能とは住み分けした形に

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

「GeForce Experience」のホームページ

Windows標準の動画キャプチャーでダメならNVIDIAで

 前回はWindowsの標準機能でゲーム画面を動画キャプチャーする方法を紹介した。使い勝手がよく環境を問わないのはメリットだが、解像度が1080pまでという制約がある。最近はWQHDや4Kといった高解像度の環境でゲームをプレイする人も多いだけに、この点はとても惜しい。

 代わりの動画キャプチャー機能としておすすめしたいのが、NVIDIAが提供するユーティリティソフト「GeForce Experience」に付属するもの。GeForce GTXやRTXといったNVIDIA製のGPUは必要だが、高解像度の動画キャプチャーが可能だ。今回はこちらの使い方を解説していく。

やはりショートカット1つで録画可能

 先述のとおり、本機能を利用するには「GeForce Experience」が必要になる。普通はGeForce用のドライバーと一緒にインストールされるが、インストールされていない場合はNVIDIAの公式サイトから「GeForce Experience」を含むドライバーをダウンロードするといい。

 「GeForce Experience」をインストールして起動したら、画面右上にある設定アイコンをクリック。[全般]タブの中にある[ゲーム内のオーバーレイ]を有効にする。これで下準備は完了だ。

「GeForce Experience」の設定画面。[ゲーム内のオーバーレイ]を有効にすればキャプチャーが使える

 この状態で[Alt]+[F9]キーを押せばキャプチャーが開始される。終了する時も同じく[Alt]+[F9]キー。Windows標準機能と同じく、こちらもショートカットキー1つで録画できる。

録画設定はきめ細やか

 続いて設定を確認しよう。先述の[ゲーム内のオーバーレイ]の項目にある[設定]をクリックすると、録画に関する設定がオーバーレイ表示される。ここでは画面キャプチャーに関係する項目を説明していく。

オーバーレイ表示された設定画面

録画

 キャプチャーに関するフォルダーを指定する。[一時ファイル]はキャプチャー中の作業用ファイルの場所、[ビデオ]はキャプチャーされた動画の出力先となる。

[録画] の設定画面

ビデオ キャプチャー

 キャプチャーする動画の品質を設定する。[クオリティ]の設定で[低]、[中]、[高]の3段階がプリセットされているほか、解像度やフレームレート、ビットレートを手動で設定できる[カスタム]も選べる。

 [解像度] は最大で[8K 4320p]まで用意されている。基本的には[ゲーム内]を選んでおけばゲーム画面のサイズに合わせて録画できる。[フレームレート]は[30fps]または[60fps]。[ビットレート]はプリセットの[高]で50Mbpsとなっており、筆者はこの設定を利用している。

[ビデオ キャプチャ]の設定画面
解像度は8Kまで選べる。通常は[ゲーム内]を選ぶのがいい

HUD レイアウト

 各種情報を常時オーバーレイ表示しておくための設定。録画に関するものは[ステータス インジケータ]の項目で、四隅のいずれかに表示しておくようにすると、録画中は緑のマークが画面に表示されるようになる。Windows標準機能とは異なり、録画時間は表示してくれない。

[HUD レイアウト] の設定画面。この状態だと右上に録画のマークが表示される

 このほか、[オーディオ]で音量調整も可能。また「GeForce Experience」ではゲームを自動録画して、保存したいシーンをさかのぼって録画ファイルに出力する[インスタントリプレイ]や、ゲーム画面をストリーミング配信する[ブロードキャスト ライブ]なども搭載している。

[オーディオ]の設定画面
[ブロードキャスト ライブ]の設定画面

 なお[Alt]+[Z]キーを押せば、設定画面をいつでもオーバーレイ表示で呼び出せる。

NVIDIA製GPUは必要だが、より柔軟なキャプチャー設定が可能

「ディアブロ IV」を4Kでプレイし、本機能のプリセット画質[高]で録画したもの。Windows標準機能とは違い、解像度は4Kのまま撮影できる

 Windows標準機能と比較すると、高解像度をそのまま録画できるのが最大のメリット。画質も自在に調整できるので、納得できる画質に設定できる。

 またゲーム画面だけでなく、デスクトップ全体もキャプチャーできる。Windows標準機能では特定のウインドウだけをキャプチャーするものだったが、本機能はフルスクリーンのキャプチャーのみ対応している。

 逆に言うと、本機能ではウインドウモードのゲームだけのキャプチャーはできない。特別な手順を踏めばできるという情報もあるのだが、筆者の環境ではうまくいかなかった。もっとも、ウインドウモードのゲームはフルスクリーンより小さな画面をキャプチャーしたいはずなので、それならWindows標準の機能で問題ないことが多いはずだ。

 デメリットとしてはそこだけで、Windows標準機能と使い分けても求める結果が得られないのはレアケースだろう。偶然だと思うが、うまく用途が分かれており、両方まとめて覚えておくと重宝する。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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