石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
22年続くMMORPG「ファイナルファンタジーXI」の復帰キャンペーンに隠された重要な1ステップ
「いつかヴァナ・ディールへ帰りたい」と思っている方は事前確認を忘れずに
2024年9月5日 06:55
無料でゲームに復帰できるキャンペーンが時々実施されている
今年で22周年を迎えたMMORPG「ファイナルファンタジーXI」。筆者は2001年末から始まったPlayStation 2でのβテスト時代から、2007年11月発売の拡張パック「アルタナの新兵」が発売されるくらいまでの、およそ6年ほどプレイしていた。
発売してしばらくはサーバー内でトップレベルの進行だったが、だんだん仕事が忙しくなり、所属していたエンドコンテンツ向けのグループからも大幅に攻略が遅れてしまった。長く一緒にプレイしていた友人と遊ぶ機会をほぼ失ったことで、プレイを止めることにした。
とはいえ、ゲームに飽きたわけではない。楽しい思い出もいっぱいあるし、キャラクターにも思い入れがある。いつかまたプレイできる日が来たらいいなと思う気持ちは、心の底にくすぶっている。
本作では、筆者のような人を期間限定で無料プレイとさせてくれるキャンペーンが、時々実施されている。直近では8月23日から9月2日まで実施され、本稿が掲載される頃には終了しているのだが、今後もまた実施されるはずだ。
筆者も久々にプレイしてみようと思いつつ、なかなかタイミングが合わなかったのだが、今回ようやく短時間の復帰がかなった。その内容をレポートしようと思うのだが、意外な注意点があったので、参加手順を確認しておきたい。
復帰するために超えるべきハードル
キャンペーンの正式名称は、「ウェルカムバックキャンペーン」という。「スクウェア・エニックス アカウント」に登録すると送られてくる案内メールを受け取っていれば情報が流れてくるので、気になる方は登録してみるといい。キャンペーンの詳細はホームページで確認していただきたい。
このキャンペーンを利用するには、いくつかの条件がある。重要なのは下記の一文だ。
・「プレイオンラインID」を「スクウェア・エニックス アカウント」へ移行している
筆者と同様、本作をサービス当初にプレイしていた方は、「何それ?」と思うはず。以前は本作の利用に「プレイオンラインID」を使用していたが、現在は「スクウェア・エニックス アカウント」に移行する必要がある。セキュリティ強化のための対策だそうだ。
この手続きはオンラインでできる。手続きもそう難しくはない。筆者も移行手続きを行った上、キャンペーンに参加しようとした。
しかし、どうもうまくいかない。なぜだろうと思いつつキャンペーンの情報を下の方まで見ていくと、「対象外となるサービスアカウントについて」という項目がある。そこにあるのがこの一文。
・2024年8月20日(火)23:59時点で「スクウェア・エニックス アカウント」へ移行してない
キャンペーンの開始は8月23日なので、その3日前までに「プレイオンラインID」を「スクウェア・エニックス アカウント」へ移行しておく必要がある、ということだ。キャンペーンが始まってから参加しようと思っても、移行手続きを済ませていないと参加できない。
……というわけでプレイできなかったのが、4年半前の筆者である。当時ちゃんとツイートを残していた。筆者の場合、「プレイオンラインID」のパスワードを思い出せなかったため、その確認にも時間がかかったので、キャンペーン対象外と知った時は大変がっかりした。
FF11のウェルカムバックキャンペーンやってるので久々に覗いてみようと思ったら、スクエニアカウントへの移行に必要なPOLパスワード忘れてて、サポートに聞いて判明して手続きしたけどゲームに入れず。スクエニアカウントへの移行を2月24日までに済ませてないと対象外だった。む。
— 石田賀津男/Katsuo Ishida (@wis_Arle)March 2, 2020
そして今回は、既に移行を済ませた状態なので、晴れてキャンペーンを利用できる状況となった。この4年半の間にも何度もキャンペーンは実施されていたと思うが、利用する余裕がなかったようだ。
十数年ぶりのログインでてんやわんや
何はともあれ十数年ぶりのヴァナ・ディール(本作の世界の名前)である。クライアントを起動すると、640×480ドットで描かれたPlayOnlineのウインドウが表示された。映像も音楽も、22年前のままだ。今でもこれを使っているのはすごいと思う。
クライアントのアップデートを済ませたら、ついにゲームが起動。キャラクター選択に移ると、3人のキャラクターが無事に残っていた。本作は長期間プレイしないとデータが削除されるという話だったが、筆者は削除されていなかったようだ。なお、キャラクターが削除されている場合でも、「キャラクター復活サービス」を利用すれば元に戻せる可能性がある。
では筆者のメインキャラクターであるエルヴァーン♀、白髪オールバックでプレイ。懐かしのモグハウスにキャラクターが出現した。懐かしいなあ……という感覚が湧いてこないのは、装備が違うせいだろう。筆者のメインジョブは「ナイト」だったが、最後は「吟遊詩人」のレベル上げをしていたようだ。
早速「ナイト」にジョブチェンジし、最も記憶に残っているナイト専用のAF2装備(当時のほぼ最強装備)に着替える。装備品はどこかにしまってあるはず、と金庫などを探してみる。聞いたこともないアイテムスロットが増えていたりもしたが、目的の装備品はモグロッカーに収納されていた。
「モグロッカーの使用条件を満たしていません」
なんでや! モグロッカーに収められたアイテムのリストは見えるが、取り出しができない。Webで検索してみると、「アトルガン青銅貨」というアイテムをNPCに渡すことで使用可能となるらしい。全く覚えていない。
「アトルガン青銅貨」を持っていないか探したが、どこにもなかった。では入手方法はと調べてみると、「皇国軍戦績」を20点消費して交換してもらえるらしい。わからないことを検索すると、新たなわからないことが出てくる。
とりあえず交換してくれるというNPCのもとへ向かってみたところ、「あなたの皇国軍戦績は50127点です」と言う。昔の筆者がちゃんと貯めていたらしい。
これでようやくモグロッカーが使用可能となり、筆者の記憶に刻まれたキャラが姿を現した。女性キャラと思えないイケメンな風格がとても気に入っており、ずっと一緒にプレイしていた友達から「女性キャラだったの!?」と驚かれたことが何度もある。
十数年ぶりのプレイはわからないことばかり
まだ操作もおぼつかない中、外に出て戦闘をしてみることに。アトルガン地域の外の敵がどのくらいの強さだったのか全然覚えていないのだが、こちとらレベルは最大(当時は)の75だし、街の近くなら何とかなるだろう。
街の外に出ると、近くで戦っているパーティを発見。「シャントットII」という知らない魔法を使っていて驚いた。有名NPCを召喚するものなのだろうか? 軽く調べてみたが詳しいことはわからない。
少し離れた場所にいた「Lesser Colibri」という鳥のモンスターを攻撃。受けるダメージは小さく、問題なく戦えそうだ。敵のおおよそのレベルを確認する方法もあったと思うが、もちろん忘れている。
順調に攻撃を重ねてTP(技を使うのに必要なポイント)を貯めて、片手剣の技「スウィフトブレード」を発動。命中率の低いエルヴァーンではとても重宝する技で、3連撃の見た目も美しい。ダメージは1,025。……ええ、そんな大ダメージ出た記憶がない。ゲームシステムもずいぶん変わっているようだ。
戦いを終えて街に戻るべく、帰還アイテム「デジョンカジェル」を使用(もちろん使い方を思い出すのに一苦労した)。すると移動先は故郷のサンドリア王国であった。プレイ当時の見た目と音楽がそのままで、ヴァナ・ディールに帰ってきたんだなという気持ちが強くなった。
以上で久々の復帰プレイは終了。さすがにほとんど全てを忘れている。もし改めてプレイするなら、レベル1のジョブを選んで、最初からプレイしているつもりで遊ぶのがよさそうだなと思った。まだプレイしたことがないジョブもいくつもある。
ちなみに解像度がずっと640×480ドットのままプレイしてしまったが、もちろん変更可能。「FINAL FANTASY XI Config」という別のアプリで変更でき、3,840×2,140ドットの4K解像度にも対応できた。
この状態だと画面が4:3の比率を横伸ばしした状態になる。ゲーム内のオプションで「背景表示のスクリーン領域」を4:3から16:9に変更することで、適切な表示になる。4Kの高解像度で見るヴァナ・ディールは、昔と同じに見えてどこか違う、不思議な趣がある。
映像やシステムに古臭さがあることは否めないが、22年前に登場したゲームだと言われたら、逆に立派過ぎて驚くと思う。ゲームとしては操作方法から覚え直しになる方も多いかもしれないが、ゲーム内容の進化を味わいつつ改めてプレイしてみるのも楽しいのではないかと思う。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。