やじうまの杜

オープンソースアプリの販売を禁止? Microsoft Storeのポリシー改定が物議を醸す【7月20日追記】

ポリシー改訂で問題の条文からOSSまたはフリーソフトウェア関連の文言を削除

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「Microsoft Store」に新しいポリシーが追加され、7月16日から適用される

 「Microsoft Store」に新しいポリシーが追加され、7月16日から適用されるそうです。

 内容はポリシーの変更履歴にまとめられているのですが、その一節が物議をかもしています。

Update to 10.8.7 to prohibit charging fees in the Store for open-source or other software that is generally available for free and restrict irrationally high pricing.

(10.8.7をアップデートし、一般に無料で入手できるオープンソースやその他のソフトウェアに対してStoreで料金を徴収することを禁止し、不合理に高い価格設定を制限します)

Change history for Microsoft Store Policies - UWP applicationsより引用

 というのも、「Krita」や「WinSCP」といった一部のオープンソースプロジェクトでは、公式のバイナリが「Microsoft Store」で有償販売されています。お金を払いたくなければずっと「試用」し続けることができるため、実質的には無償なのですが、「気に入ったら購入して、開発を支援してほしい」という意図から、「Microsoft Store」の決済インフラで気軽に「寄付」(実際は「購入」)できるようにしているわけです。

「Krita」や「WinSCP」といったオープンソースアプリは公式バイナリが「Microsoft Store」で有償販売されている

 しかし、今回のポリシー改定はこうしたやり方を禁止するようにも読めます。

 「Microsoft Store」の中の人によると、今回のポリシー変更はあくまでも最近「Microsoft Store」で増えている著名オープンソースアプリを騙った詐欺アプリを排除することを意図したものであり、オープンソースプロジェクトのマネタイズを阻害する意図はないとのこと。

 ようやく詐欺アプリに本腰を入れてくれるのはありがたいのですが、新しいポリシーには解釈の余地が多く、文言が正確ではないことは確かです。中の人もそれを認めており、できるだけ早く改善するとしています。

[2022年7月20日編集部追記] 7月18日付で「Microsoft Store」の新しいポリシーがv7.16.1へ更新され、問題となっている「10.8.7」からオープンソースまたはフリーソフトウェアに関連する文言が削除された。改定後の文言は以下の通り。

10.8.7

In cases where you determine the pricing for your product or in-app purchases, all pricing, including sales or discounting, for your digital products or services must:

  • Comply with all applicable laws, regulations and regulatory guidelines, including without limitation, the Federal Trade CommissionGuides Against Deceptive Pricing.
  • Not be priced irrationally high relative to the features and functionality provided by your product.

Microsoft Store Policies - UWP applicationsより引用