やじうまの杜
Twitterからの脱出先は「次世代メタバースSNS」? 近頃話題の「Bondee」を体験
3D版「アメーバピグ」? 三人称視点、デフォルメキャラでちょいユルなコミュニケーション
2023年2月17日 17:05
巷では、Twitterの代替を探す動きがあります。大学生である私の周りでも、写真が中心のSNSである「Instagram」や「SnapChat」ではなく、文章が中心のSNSである「Twitter」を重宝している人は多く、万が一「Twitter」が使えなくなったときのために、代替となるSNSはないか、という話がしばしば出るようになってます。
そんなときに、新しいものに敏感な大学の友人から「次世代メタバース」をうたう「Bondee」を教えてもらいました。「Twitter」の代替になるかという点はさておき、せっかくなので使い始めてみることにしました。
どことなく「アメーバピグ」を思い出させる世界観
「Bondee」は、シンガポール発のMetadream社が提供しており、2022年11月からスマートフォンアプリを公開しています。
「メタバース」と称してはいるものの、パッと見は、昔よく利用していた「アメーバピグ」が3Dになったような感じ。ユーザーは自分の分身となる3Dアバターを作成できますが、そのデザインはニンテンドーの「Mii」に近い印象です。
メタバース=3次元の仮想空間と考えれば、確かに3Dのキャラクターや空間ではあるのだけど……。一人称視点の世界で、もっと頭身の高いリアルなアバターが登場するのが、一般的なメタバースのイメージではないかと思いました。とはいえ、見慣れた世界観でなじみやすいです。
自分を好きに表現できる「Bondee」の基本システム
「Bondee」をダウンロードしたら、まずは電話番号を利用して認証コードを入力し、アカウントを作成した後、誕生日を設定します。それから名前を決定し、アバターの作成に移ります。アバターに男女の別はなく、また皮膚の色には、リアルな人類の肌の色だけでなく、黄色やピンクも選べます。「Bondee」は『自分の再定義』を特徴の1つとして挙げていて、それが叶うような、多様性を持たせた選択肢が用意されています。
ほかのユーザーとコミュニケーションをとるには、まず自分の空間に「友だち」を招く必要があります。QRコードやID、リンクの送信で友だちの招待が可能です。ただし、友だちになれる人数には50人までという制限があります。そうやって招いた友だちとは、24時間以内に撮影した写真や動画、文章を投稿できる「ステータス」や、「チャット」機能を使って交流できます。
初期の「Bondee」はこれらの機能だけだったそうですが、1月18日に大規模なアップデートが行われ、いくつかの機能が追加されました。その1つが「スペース」という、いわゆるマイルーム機能です。自分だけの部屋をアバターと同じように自由に作成でき、友だちのスペースに遊びに行ってメモを残すことで、非リアルタイムな交流もできるようになっています。
同アップデートで、友だち以外のユーザーと交流できる「航海」も追加されました。航海を開始すると、まれに「メッセージボトル」が流れてきます。これは見知らぬユーザーへの質問を流すことができる機能で、まれに返信がきたり、逆にランダムに流れてきたメッセージボトルに返信したりすることで交流ができます。また、「航海」を行うことでアバターやスペースで利用可能な、週替わりの限定アイテムが手に入ることもあります。
現在はスマホアプリでのみ使用可能で、無料で楽しむことができます。課金要素はないものの、アバター作成に「Limited Free Trial」と書かれているアイテムがあることから、今後課金要素が追加されると思われます。
リアルの友人とのやり取りにちょうどいい
私が「Bondee」をはじめたのは、単純に「メタバース」というものに興味があったからです。私がメタバースについて抱いていたイメージは、映画「レディ・プレイヤー1」のような、複数の仮想空間に見知らぬ人がたくさん集まっているものでした。
そこから考えると、「Bondee」は少々イメージと違っていました。しかし、すぐに操作に慣れたのは、やはり「アメーバピグ」に触れていたからでしょうか。
「Twitter」のように複数のアカウントを持つこともできるSNSでは、アカウントごとにネット用、リアル用と違う自分を無意識に使い分けている気がしていました。しかし、「Bondee」のように1つしかアカウントがないSNSでは、ネットの友人とリアルの友人が混在すると、どの自分でいればよいのかわからなくなる気がします。そこに不安を覚えたため、「Bondee」では今のところリアルの友人数人とのみ繋がっています。
「Twitter」や「Instagram」は、広く浅い友達付き合いの方法として使用しています。多くの友人らと繋がって情報を発信したり日常の記録を残したり、あるいは普段は話さない知人の様子を伺い知ったりと、広いコミュニティの中で大勢に向けて自分を発信しているような感覚です。
しかし、「Bondee」では、友だちの人数に制限があることもあって、気心の知れた友人数人だけとコミュニケーションするのが落ち着きます。
繋がっている範囲によって、投稿する話題は変わります。たとえば、友人に共有して雑談したい事柄があったとします。「LINE」で誰かに送るには小さい事柄だけど、「Twitter」でつぶやくには身内ネタすぎるし、「Instagram」に投稿するような写真はない。かと言って文字だけの(「Instagram」の)ストーリーだと真剣さが出て面白味に欠ける。そんなときに、「Bondee」のステータスやスペースでのメモ機能を活用すると、ちょうどよいニュアンスで共有できるのです。
Twitterで「Bondee」の友達募集を行っている友人もいるので、私のような使い方がすべてだとは思いませんが、閉じた狭いコミュニティとしての使い方がメインであるのが、「Bondee」の魅力のひとつだと思います。
狭いコミュニティでの交流に魅力を感じる一方で、「次世代メタバースSNS」としては、やはり自分のコミュニティ外の人との関わりも楽しみたいところです。実装されたばかりの航海のメッセージボトルを通じて見知らぬ人との交流ができるようになってはいますが、あくまで相手が返信をくれなければ交流は生まれません。
そのため現状、「Bondee」内で知らない人と交流するのはちょっとハードルが高いように感じます。トラブルを予防するためかもしれません。
「Twitterの代替」ではないけど、別の楽しみ方ができるSNS
今のところ、「Bondee」はフォローやリプライで見知らぬ人と気軽に交流できる「Twitter」の代わりという感じではありません。むしろ、SNSとしては「Twitter」と対極の位置にあり、そこにメタバースが加わっていることから、全く別の存在であると言えます。
「Twitter」に万が一のことがあったときのために、多くの人と気軽に交流しやすいテキスト中心のSNSをこれからも探すつもりではありますが、「Bondee」は「Bondee」で、「身近なメタバース」として楽しんでいこうと考えています。