でんこと旅するメタバースの世界
メタバースなら「ぼっちテーマパーク」も恐くない!「サンリオVfes」のバーチャルパレードを観て涙腺崩壊した話
物理的な制約に縛られないバーチャルイベントならではの魅力
2023年2月9日 07:00
少し時間が経ってしまったのですが、1月13日から1月22日にVRChat上で開催されていたイベント「SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland(サンリオVfes)」に遊びに行ってきました。
「SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland」は、ハローキティやシナモロールといった人気キャラクターで知られるサンリオがメタバースプラットフォーム「VRChat」上で開催されたバーチャルイベントです。バーチャルパレード「Musical Treasure Hunt」をはじめ、バーチャル空間はもちろん現実世界で活躍するアーティスト、そしてDJによる音楽ライブなどが行なわれました。
サンリオによるバーチャルイベントは2回目ということなのですが、筆者は初参加。とりあえずお試しに無料のエリアで観られるバーチャルパレードを見てきたのですが、その内容が大変素晴らしかったのでご紹介します。
「サンリオバーチャルパレード」でエンタメ表現のさらなる可能性を感じた
まず最初にお伝えしたいのがメタバース空間で行なわれたパレード自体の素晴らしさです。
パレードといえばキャラクターたちが歌い、踊り、パフォーマンスをしてくれる、素敵なエンターテインメント体験だと思います。現実空間でもサンリオピューロランドはもちろん、さまざまなテーマパークなどで楽しめますよね。
今回ご紹介する「Musical Treasure Hunt」は、サンリオの仲間たちがバーチャル空間で躍動するVRキャラクターパレードです。いまこうして感動をお伝えすべく原稿を書いていますが、実を言えば最初は全く期待していませんでした。もちろん3Dで表現されたバーチャル空間、このメタバースという世界で過ごすのは好きですし、この世界で行なわれている多彩なパフォーマンスも大好きです。ですが「さすがにパレードは現実世界で見たほうがもっと楽しめるだろう……」と思っていました。ただこれはいい意味で裏切られる経験となりました。
パレードのストーリーは起承転結型の王道展開。ハローキティやポムポムプリン、リトルツインスターズといったサンリオお馴染みのキャラクターたちが登場して歌を披露してくれた後、悪役的なキャラクターが登場します。最初は打ち解けられないかと思いきや、音楽の力でお互いが共感し、感動的なエンディングへ向かう……という流れでした。
この王道ストーリーが音楽と相まってまた鳥肌モノです。子供にもわかりやすい物語で流れをすっと理解でき、サンリオキャラクターたちが作る世界観にどっぷりと入り込むことができましたし、音楽やビジュアルの表現に集中することができました。この感動は私の涙腺を崩壊させるには十分なぐらいだったと表現すれば、このとき抱いた幸せな感情が伝わるでしょうか。ビジュアルや表現が凝っている分、ストーリーはシンプルというのが逆によかったのかもしれません。
このバーチャルパレードで、私が感動したのはビジュアル表現です。もちろん現実世界でのパレードでも光や音の表現にこだわった演出や、スモークや炎といった特殊効果を巧みに使った演出をしているパレードはあります。それでも現実には表現に制約がありますよね。バーチャル空間では、例えば世界全体を暗くしたり、逆に明るくしたり、空に映る景色または地面を変化させることもできます。メタバース空間上のバーチャルパレードであれば、現実世界では困難な表現が可能になるのです。
「ぼっちテーマパーク」も恐くない! 物理的な制約に縛られないのはメタバースイベントの魅力
現実世界のさまざまな制約に縛られないことは、メタバース上で実施されるイベントならではのメリットであると言えます。
もしこのようなパレードを見たいとふと思っても、なかなかそう簡単に近くで楽しめるものではないと思います。もちろんテーマパークへ遊びに行く必要がありますよね。しかしバーチャル空間であれば、もっと気軽に見に行くことができると考えると、それは素晴らしいことではありませんか。
例えば、いまは目的のテーマパークから距離のある地域、あるいは海外で暮らしている方が「あの人気パレードを見てみたい、パフォーマンスを見たい」と思っても、そのための移動にかかる時間や宿泊費といったコストがかかりますよね。メタバース空間ならこれらのコストはほとんど必要ありません(もちろん機材準備の初期費用は必要になりますが……)。VRヘッドセット(HMD)を被ってアプリケーションを起動すれば、すぐ目の前にテーマパークが広がります。もちろんデスクトップモードであっても、すぐにテーマパークへ遊びに行けるという体験は変わりません。
さらに、これは自分自身が楽しむのはもちろんですが、友達を誘うときのメリットでもあります。バーチャル空間なら移動にかかるコストが低く抑えられるので友達を誘いやすいのです。実際に私も当日に思い立って、メタバース上でできた友達を誘って一緒に見に行くことができました。現実では弾丸旅行的に当日誰かを誘ってテーマパークに行く、パレードを見に行くというのはなかなかハードルが高いことでしょう。
しかも観客は、簡単にいろいろな場所に移動できるので「パレードやパフォーマンスをはしごしてみたい」なんてこともできますよね。現実では考えられないような体験ができる、これがメタバース空間ならではのメリットの1つだと思っています。
また意外な利点だと思ったのが、1人でも気軽に遊びに行けることです。
せっかくテーマパークへ遊びに行くなら誰かと遊びに行きたいところですよね。そうはいっても、現実世界では日程調整なども必要になりますし、そもそも「おひとりさまなんだよ……」という事情もあるかもしれません。ワイワイ盛り上がっている雰囲気の中で「ぼっちテーマパーク」するのは周りの目が気になってちょっと恥ずかしいし、何より寂しいですよね。メタバースイベントならそういった人の目を気にすることはありません。
ところで、今回は私が感動したパレードをピックアップしてお伝えしましたが、今回の「サンリオVfes」では、ほかにも現実世界で活躍するアーティスト出演のライブだけでなく、バーチャル空間で活躍中のアーティストによるライブも行なわれました。特に後者のライブでは「パーティクル」という効果を使ったバーチャル空間ならではの「パーティクルライブ」を見ることができました。
このパーティクルライブも素晴らしいものですよ。音楽にあわせて世界が変わり、オブジェクトが飛び出して光ったり、暗くなったりするなど、さまざまな演出を見せてくれます。現実世界におけるコンサート会場で照明や特殊効果を使った演出でライブを楽しめるように、音楽と演出がマッチした圧巻のライブパフォーマンスを満喫できました。
その一方で「バーチャル空間上のエンターテインメント、パフォーマンスは現実世界のものを越える」ということは、この世界の住人であってもさすがにまだ言えません。ですが「バーチャル空間上でエンターテインメントを楽しんでみる」という選択肢があるのは間違いないでしょう。
バーチャル空間は、音楽をはじめとした新たなエンターテインメント表現に興味がある方にとって、これまでもこれからも注目すべき空間であると私は思います。改めて読者の方にもこのバーチャル空間、メタバースという世界の可能性が伝わると嬉しいです。
著者プロフィール:でんこ
バーチャルに活動の場を移したゲームライター。得意分野はビデオゲーム全般だが、最近はメタバースへの関心が強い。
ライターとしてさまざまなメディアで執筆する一方、メタバース内ではラジオパーソナリティや、DJなどの活動を通して、メタバースの魅力を多くの人に伝えるべく活動中。
・著者Webサイト:https://note.com/denpa_is_crazy/