やじうまの杜
Setting「設定です」 Configuration「設定です」 Preference「設定です」
Options、Flags、Properties「俺が、俺達が設定だっ!」
2023年2月21日 06:55
「やじうまの杜」では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
ちょっと前の話になりますが、「Twitter」でこんなツイートを見かけました。
setting「設定です」
— ((🐑++)) (@Sheeeeepla)December 20, 2022
configuration「設定です」
preference「設定です」
確かに一口に「設定」といっても、その英語の訳語は結構あって面白い……というか、翻訳するとみんな「設定」になってしまって、細かいニュアンスの違いがわからなくなっちゃいますよね。
たとえば、筆者は日頃「EmEditor」で記事を書いているのですが、「EmEditor」の[ツール]メニューには「設定」や「カスタマイズ」、「プロパティ」といったコマンドが並んでいて、目的の「オプション」がどこにあるのかちょっと悩んだりもします。
同じような疑問を持つ人は多いようで、Q&Aサイト「Quora」にはすでにこんなトピックがありました。
configとsettingの違いは何ですか? - Quora
ネイティブの方でもとらえ方は一様でないようですが、言葉の「粒度」に差があるのは確かのようです。
まず、「Option」(オプション)は特定の「選択肢」を指します。設定項目(キー)と値のペアになっており、ユーザーインターフェイスにおいては2択(Yes/No、ON/OFFなど)の場合はチェックボックスやトグルスイッチ、3択以上の場合はプルダウンメニューで表されることが多いです。
また、こうしたキー・値のペアは「Flag」(旗、目印)と呼ばれることもあります。身近な例でいえば、「Google Chrome」の試験運用機能画面は「chrome://flags/」ですね。しかし、ゲームの進行でイベント発生条件がONになることを「フラグが立つ」などと表現するように、本来は「特定の処理が実行される条件」を指し、ユーザーが選ぶというニュアンスはやや薄目です。
どちらのせよ、こうした選択肢の集合体が「Options」や「Flags」であり、同じような意味の言葉として「設定」(Setting、Options、Flags……)があります。「設定」のなかにさまざまな「オプション」や「フラグ」があるというわけ。
一方、「Setting」や「Configuration」、「Preference」という言葉のニュアンスに関しては、ネイティブの方の間でも意見が分かれているようです。「Quora」に寄せられている意見をもとに、個人的な印象も交えながらまとめてみました。
Setting
セットできるものの集合。「Options」や「Flags」とほぼ同じ。比較的カジュアルに用いられている。
setting の「設定ぃんぐ」感好き
— はるさめ (@HarusameTech)December 20, 2022
Customize
メニューコマンドとしては「Setting」とほぼ同義だが、単なるオプションの集合という「状態」よりも、それらのオプションを用いてアプリの外観や挙動を変更する「行為」を指している。
Configuration
最近は「構成」と訳されることも多い。ハードウェアの選択とそれを動作させるための調整、サーバーを最適に動作させるためにセットされたパラメーターの集合、アプリケーションを開発する際に指定するビルド方法や基本的な動作といった文脈で使われることが多く、より「低レベル」「(複数のカテゴリにわたる)大規模」な印象がある(このような設定は「.config」ファイルにまとめられていることが多い)。
また、セットアップ中に選択肢を選びながら、アプリの動作を決めていくのも「Configuration」と呼ばれることが多い。その意味では「Customize」に近いが、ユーザーの好みや自由度の高さといったニュアンスは薄まり、あくまでも必要に応じて行う設定という印象が強い。
個人的には「実行する前に指定しておくもの」「途中で変更した場合に反映させるには再起動が必要」なものが多いようにも感じる……が、例外も多い。
Preference
「(選択の)好み」を表す語。「Configuration」のあとにユーザーインターフェイスのデザインなど、機能には直接関連のない、ユーザーの好みで選んでよい設定に用いられる傾向があるが、「Setting」とほぼ同義で用いられていることも少なくない。
「Configuration」に関しては、「You can configure settings but you can't set a configuration.」(setting を configure することはできるが、configuration を set することはできない)という表現もヒントになりますね。「setting」も「configuration」もオプションの集合ですが、「setting」はよりバラバラな感じ、「configuration」はオプション同士の関連性も考慮して固められた感じがします。
あと、もうひとつわからない言葉として「Properties」(プロパティ)がありますね。
これは「ファイルのプロパティ」などと用いるように、「特定のオブジェクト(モノ)の状態、属性をまとめたもの」です。プロパティにはモノの状態から導かれるもの(たとえばファイルサイズなど)、ユーザーが編集可能なもの(ファイルの作成者などのメタデータ)があり、後者は「設定」の文脈でときどき「オブジェクトに関するSetting」のような意味で用いられることがあります。
また、最近よく聞く言葉としては「Profile」(プロファイル)があります。これは複数の設定を切り替えられるようにしたもの。たとえば仕事用の設定(プロファイル)と自宅用の設定(プロファイル)を分けておけば、同じデバイスを使っていても双方が混ざってしまうことはありません。複数のユーザーを作成して切り替えるのと近い(ほぼ同じ)ですが、それよりはカジュアルな感じでしょうか。
頑張って説明してみましたが、もし「こう考える方がわかりやすいよ!」という意見がありましたら、「Twitter」などで教えてくださいね。「インストール」と「セットアップ」はどう違うのよ! なんて疑問も受け付けています。