やじうまの杜

[印刷...]メニューの「...」は、別にエリカさまを気取っているわけではない!

ちゃんと意味があるのだが……

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[ファイル]-[印刷 (P)...]メニューなんかにある、あの「...」ってなんぞ?

 Windowsアプリのメニューでたまにある「...」という省略記号。アレにどんな意味があるのか気になったことはありませんか? そう、[ファイル]-[印刷 (P)...]メニューなんかにある、あの「...」です。

 以前、沢尻エリカさんが初日舞台のあいさつで「印象に残ったシーンは?」と聞かれて「別に……」と答え、炎上したことがありましたが、この省略記号は別にそういうものではありません。

 実はこれ、 「即座にコマンドが実行されるのではなく、続きの操作があるよ」 ということを知らせるものなのだとか。たいていはダイアログが表示されます。

たいていはダイアログが開く

 たとえば[ファイル]-[印刷]メニューを選んだら、なんの確認もなしに印刷が始まってしまった……なんてことになったら厄介ですよね。でも、「...」があることで そうはならないよ、ちゃんと確認ダイアログがでますよ というのがわかるというわけです。安心ですね!

 このルールは、元々Macのヒューマンインタフェースガイドラインで定められていたのだとか。

 確かにAppleのヒューマンインタフェースガイドラインに記述がありました。開発者ならだれもがお世話になっているであろうQ&Aサイト「Stack Overflow」でもそのような回答複数あったので、おそらくその通りなのでしょう。MicrosoftのWin32アプリのデザインガイド(Windows 7世代)にも、

Proper use of ellipses is important to indicate that users can make further choices before performing the action, or even cancel the action entirely. The visual cue offered by an ellipsis allows users to explore your software without fear.

省略記号の適切な使用は、ユーザーがアクションを実行する前にさらに選択できること、あるいはアクションを完全にキャンセルできることを示すために重要です。省略記号が示す視覚的な合図によって、ユーザーは安心してソフトウェアを探索することができます。

Windows 7 Menus (Design basics) - Win32 apps | Microsoft Learnより引用

と書かれています。

 これはあくまでもユーザーが「このコマンドはキャンセルできないかも?」という不安を抱くのを防止するためなので、ダイアログが開くからといって[バージョン情報]や[プロパティ]といったメニューに省略記号を付ける必要はありません。また、権限昇格を求めるUACダイアログが表示される場合は、省略記号ではなくUACの「盾」アイコンを付けるのがルールです。

MicrosoftのWin32アプリのデザインガイド

 もっとも、これは比較的古いお作法で、とくに省略記号に関してはもはやあまり守られていないようです。実際、最新のデザインガイド(Windows 10/11世代)でこれに関するルールを見つけることはできませんでした。また、Microsoft純正の「メモ帳」アプリも、Windows 11向けのモノに省略記号は使われていません。

Windows 11向け「メモ帳」アプリのメニューには省略記号がない

 もう誰も意味を理解していないのだから要らないだろう……ということなのでしょうか。「追加のアクションがあるときはメニュー末尾に省略記号を付けるのは当たり前」と思っていた筆者にとっては、時代に取り残されたみたいでなんか寂しい気分にさせられることですが、新しいやり方にも馴染んでいこうと思います。