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最強AIスマホはiPhoneなのか? Androidと比較してわかる現時点での勝者
2025年8月29日 12:02
スマホへの生成AIの搭載が加速している。Googleは「Gemini」、Appleは「Apple Intelligence」という生成AIを積極的にアピールしており、機能の追加も急ピッチで進んでいる。今はまだユーザーが進化のスピードに付いて来られておらず、あまり重要視されていない印象もあるが、その利便性が認知されれば、生成AIの出来がスマホを選ぶ決め手のひとつになるケースも出てくるだろう。
「Gemini」はクラウド、「Apple Intelligence」はローカルで実行されるという大きな違いがあり、スピード・プライバシー・利便性の面で「Apple Intelligence」に分があるようにも思える。しかし、先行してリリースされ、すでに多くのユーザーにもまれた「Gemini」には「Apple Intelligence」にない利点も多い。
今回は、iPhoneとAndroidに搭載された生成AIの呼び出し方法、および両者に共通する機能の使い勝手を比較するほか、両者の性格がよく現れた独自機能をピックアップし、両者の方向性の違いを考察する。なお試用にあたっては、Google(Gemini)は「Pixel 9 Pro XL」を、iPhone(Apple Intelligence)は「iPhone 16 Pro Max」を使用している。
なおご存知の通り、Googleは先日新型の「Pixel 10」シリーズも発表し、Androidに搭載される生成AI「Gemini」もそれに伴って大きく進化すると予告されているほか、「Apple Intelligence」も現時点で公開待ちの機能が多数ある。本稿はそれらのアップデート前、つまり2025年8月前半時点での比較ということになるので、予めご了承いただきたい。
まずはそれぞれの生成AIの「呼び出し方法」をチェック
まずは両ツールの呼び出し方について。両者とも、電源ボタン(iPhoneはサイドボタン)の長押しを行うことで呼び出せる。生成AIが日常に欠かせないものであるという観点で、いつ何時でもすぐに使えるように敷居が低く設定されていることがわかる。
また両者ともに音声での呼び出しにも対応している。Geminiは『OK Google』や『ねぇGoogle』、iPhoneは『Hey Siri』と、従来の「Google アシスタント」および「Siri」の起動方法をそのまま継承している。これまで音声アシスタントを使用していた人は、生成AIへの進化に気づかないまま、日々使っていたというケースもありそうだ。
まったくアプローチが異なる「画像生成」
「Gemini」と「Apple Intelligence」、両者ともに搭載されている機能の一つが、画像生成だ。具体的な条件を指示することで、それに合った画像をいちから生成してくれる機能で、これを使えばプレゼン資料の挿絵が必要な場合も、お仕着せのフリー素材から探すのではなく、オリジナルのものが生成できる。
まず「Gemini」については、ChatGPTなどと同じく日本語のプロンプトが使用できる。それゆえ細かい条件指定も可能で、指示内容が具体的であればあるほど意図に沿ったものが仕上がる。今回は試しに以下のようなプロンプトで作成してみた。
部屋の中で机に向かって勉強している少年。黒髪で、タンクトップに短パンというラフな格好。机の横にはベッドがあり、足元には学校から持ち帰ったバッグが無造作に転がっている。時刻は夜で窓の外は暗い。アニメ調の画像。 以上のプロンプトに沿った画像を出力してください。
実際に出力された画像は、プロンプトの内容をきちんと汲んでおり、イメージに非常に忠実。もう少しこうであったほうがよい、と要望したい点はなくはないが、破綻している部分はなく、そのまま使えるレベルだ。難があるとすれば、クラウドで動作する関係上、条件を変えて再出力するとなると、待ち時間が発生することくらいだろう。
一方の「Apple Intelligence」では、画像生成は専用アプリ「Image Playground」を使用する。画面下に表示されるアイコンをタップして最大6つまでの条件(コンセプト)を指定すると、それに合った画像が生成される仕組みだ。前述の「Gemini」のようなテキストによるプロンプトの記述は最小限で済むのが利点だ。
もっともこれは大雑把にしか条件が指定できないことの裏返しでもあり、例えば人物のタッチを変更すると、少年が中年や老人になったり、人種が変更されたりする。きちんと条件に合わせて生成しているのではなく、すでに完成された素材の中から近そうなものを代わる代わる表示して、ユーザーの妥協を待っているかのような印象だ。
そこで試しに前述の「Gemini」と同じプロンプトを説明として読み込ませてみたが、こちらも意図とはかけ離れた画像が出力された。きちんと条件を守っている箇所もあることから、プロンプトを完全無視しているわけではなさそうだが、タッチにもかなり癖があり、日本人の好みに合うかは微妙なところ。評価できるのは、ローカルで動作することから、条件を変更すると即反映されることくらいだ。
ちなみに「Apple Intelligence」ではもうひとつ、メモ帳で大まかなスケッチを描くと本格的なイラストとしてクリーンナップしてくれる「画像マジックワンド」という機能もある。融通の効かなさは相変わらずで、かつ人物の生成に対応しないという弱点もあるが、「Image Playground」でそのまま出力するよりは実用的で、プレゼンのカット程度であれば十分使える。
両者ならではの実用性が高い機能をチェック
続いてはそれぞれの生成AIの機能の中から、実際に使ってみて実用性が高いと感じられた機能を紹介する。
まず「Gemini」については、同社製のWebサービス、具体的には「Gmail」や「Google カレンダー」との連携に強みがある。例えば「Gmail」で予定が送られてきた場合、それを「Google カレンダー」に自動的に転記する、といったことができる。
この場合、元のスケジュールが箇条書きで複数にわたっていて、スケジュールの具体的な内容が先頭行にしか書かれていなくても、各項目の意味が通るようにきちんと書き足してくれる。ビジネス用の「Google Workspace」でなくとも、一般的な「Gmail」と「Google カレンダー」との連携で実現できるので、手軽さはお墨付きだ。
このほか返信文面の作成、文章の要約、次なるタスクのリストアップなど、実用的な作業に強みを持つ。「Apple Intelligence」も要約を始め文章の加工機能を備えるが、くだけた口調に変換したりと、試すには面白いが実際にはあまり使わなさそうな機能がプッシュされている。それに対して、「Gemini」のそれは実用性に全振りしている印象だ。
「Apple Intelligence」は、前述の「Image Playground」のように、見た目は派手ながら使いどころがわからない機能が多いのだが、中には実用的な機能もある。例えば、カメラロールの写真をテキストで検索できる機能がそれだ。
従来も、例えば『ラーメン』などと大雑把なテキストで検索することはできたが、現在はこれがさらに進化して『ラーメン 味玉』などという細かい条件を指定できるようになった。車の種類、例えば『ミニバン』で検索してから『青』『白』などの色で絞り込むといったこともできる。
この機能、カメラロールの検索機能として完全に一体化しており、一見すると生成AIが関係しているとはわからないほどなのだが、真に役立つのはこうした地味なところだ。「Gemini」ではすでにきちんとできていることだが、「Apple Intelligence」もこのレベルで、さまざまな機能の端々に生成AIならではの機能を落とし込んでいってほしいというのが個人的な願いだ。
現状では「Gemini」のほうが実用性ははるかに上だが……
以上ざっと比較したが、「Gemini」は既存のスマホの機能と区別がつかないほど溶け込んでいる場合が多いのに対し、「Apple Intelligence」」は今回紹介した「Image Playground」のほか、オリジナルのジェン文字を作成する機能など、どんな使い道があるのか首をひねりたくなる機能が多く、既存機能とのシームレスな連携にも欠けている印象が強い。
iPhoneに関しては「Apple Intelligence」以外に、OpenAIの「ChatGPT」を呼び出して使うこともできるが、実際のところ最初からそちらを使ったほうが、結果的に納得の行く結果を得られることも少なくない。こうしたことからも、現状では「Gemini」に大きく水を開けられているという評価になる。さらに「Gemini」は「Pixel 10」シリーズの発売と連動し、大型のアップデータが控えていると来ている。
もっとも「Apple Intelligence」もiOS 26で実装予定の機能は少なくなく、それらがきちんと実装されれば、これから年末にかけて状況が変わっていく可能性は大いにある。ローカルで動作するため「Gemini」に比べてレスポンスが高速という利点をうまく活かせば、今後の巻き返しも有り得るはずだ。両者ともに進化し、1年後2年後にはいい意味で違った状況になっていることを期待したい。