無料オフィス統合環境「LibreOffice 6.3」が正式リリース ～パフォーマンスを大幅改善

The Document Foundation、「LibreOffice 6.2.5」を公開

　The Document Foundation（TDF）は8月8日（ドイツ時間）、オープンソースのオフィス統合環境「LibreOffice」の最新版「LibreOffice 6.3」を公開した。今年2月にリリースされた「LibreOffice 6.2」以来のメジャーバージョンアップとなる。

　「LibreOffice 6.3」では、ワープロソフト「Writer」と表計算ソフト「Calc」のパフォーマンスが大幅に改善。「Writer」ではブックマークの書き出し、サイズの大きな表、埋め込みフォント、ODTファイルの扱いが見直され、ファイルの読み込みと保存の処理が約50～100％ほど高速化された。「Calc」はXLSX/ODSファイルの読み込みとXLSファイルの保存、“VLOOKUP”関数の読み込みとレンダリングが改善され、こちらも50～100％の高速化を実現している。

「Writer」のパフォーマンス改善

「Calc」のパフォーマンス改善

　ユーザーインターフェイス関連では、「LibreOffice 6.2」で導入された“ノートブックバー”のうち、“タブコンパクト”と呼ばれるモードが「Writer」、「Calc」、プレゼンソフト「Impress」、ドローツール「Draw」で正式リリースされた。“タブコンパクト”は「Microsoft Office」の“リボン”とツールバーを組み合わせたようなデザインになっており、限られた面積に多くのコマンドを表示することが可能。また、「Writer」と「Draw」では、文脈によってツールバーの内容が変わる“コンテキスト シングル（状況依存 1行）”という新しいモードも導入された。

“タブコンパクト”

“コンテキスト シングル（状況依存 1行）”

　機能面では、新たに導入された“墨消し”に注目したい。これはドキュメントを保存・共有する前に、個人データをはじめとする機密情報を黒塗りする機能で、“EU一般データ保護規則（GDPR）”などの情報保護法制を守らなければいけない企業・組織に役立つ。

機密情報の黒塗りを支援する“墨消し”機能

　そのほかにも、「LibreOffice 6.3」では以下の改善が導入されている。

• 「Calc」の古い“SUM”関数ツールを新しいドロップダウンウィジェットへ置き換え
• 入力配列の離散フーリエ変換を計算するため、「Calc」に“FOURIER”関数を追加
• PDFエクスポート機能が“PDF/A-2”をサポート
• Windows版にコンソールモードを追加し、出力とエラーコードを改善。「LibreOffice」を利用した印刷・変換などのバッチ処理が容易に
• 「Microsoft Office」独自のファイル形式との相互運用性を強化
• 「LibreOffice」の使い方を教える“今日のヒント”を追加。無効化することも可能
• 更新後の初回起動時にリリースノートを参照できるバーを追加
• Windows版インストーラーのフォントを変更

　「LibreOffice」は、クロスプラットフォームで動作するオープンソースのオフィス統合環境。Windows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、本ソフトの公式サイトから無償でダウンロードできる。Windows版はWindows 7/8/10およびWindows Server 2012をサポートしており、窓の杜ライブラリからもダウンロード可能。