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「WSL 2」は「Windows 10 バージョン 2004」で正式リリースへ ~Microsoftが発表
Linuxカーネルの同梱はやめて、手動セットアップする方式に改められる
2020年3月16日 11:00
米Microsoftは3月13日(現地時間)、「Windows Subsystem for Linux(WSL) 2」を次期OS「Windows 10 バージョン 2004」の一部として正式リリースすると発表した。併せて、インストールプロセスにも1つ改善が加えられるという。
「WSL 2」は、LinuxのELF64バイナリをWindows 10上で直接実行するための機構。現行の「WSL 1」と異なる点は、LinuxのシステムコールをWindowsのAPIへ逐次変換して実行する仕組みから、軽量な仮想マシン(VM)ユーティリティでLinuxバイナリを実行する方式に改められたこと。これにより、以下のメリットが得られる(参考記事)。
- 互換性の向上:「FUSE」や「Docker」など、これまで未対応だったツールも利用可能に
- 仮想ハードウェアディスク(VHD)にファイルを格納:「WSL 1」で問題となっていたディスクアクセスのパフォーマンスが大幅に改善(参考記事。ただし、OS間のファイル転送は遅くなる)
- LinuxカーネルをまるごとOSに内蔵:カーネルはWSL向けに最適化。“Windows Update”で自動更新される
- Windows 10 Homeでも利用可能:「Docker Desktop」も対応予定n
「WSL 2」は現在“Windows Insider Program”でプレビュー版としてテストされているが、その間に最大の課題であった“localhost”の問題などが解決された。また、ARM64デバイスのサポートや仮想マシンに追加で割り当てられたメモリ管理の改善なども行われている。
加えて、「Windows 10 バージョン 2004」ではLinuxカーネルをOSに同梱するのをやめ、初回利用時にセットアップする方式に改められるとのこと。MSIインストーラーを利用してLinuxカーネルをインストールする手間は増えるものの、「WSL 2」を利用しない環境でディスクの空き容量を節約できたり、常に最新版のカーネルを入手できるなどのメリットがありそうだ。
この変更は、“Windows Insider Program”の“Slow”リングでテスト可能。OSをBuild 19041.153に更新したあと、初めて「WSL 2」を利用する際、シェルにダウンロードリンクが案内される。
なお、「WSL 1」には「WSL 1」のメリットがあるため、廃止の予定はない。今後も提供される。