ニュース

Google、「Android 12」のベータ版をリリース ~史上最大となるデザイン変更

PixelデバイスやシャープなどのパートナーデバイスでOTA導入が可能

Google、「Android 12」のベータ版をリリース

 米Googleは5月18日(現地時間)、モバイル向けOS「Android」の次期バージョン「Android 12」をベータ版として公開した。ベータ版のリリースは今回が初めて。このあと数回のアップデートを経て機能が確定されたのち、今年後半にも正式版となる見込みだ。

「Android 12」のリリーススケジュール。8月に機能が確定されたのち、安定性向上のテストが行われ、製品版としてリリースされる

 「Android 12」では、史上最大ともいわれるアグレッシブなデザイン変更が行われる。色、形、光、動きといったすべての要素が見直され、これまで以上に表現力豊かで、ダイナミックで、パーソナルなデザインになるという。

 なかでも注目は、色抽出(color extraction)とよばれるパーソナライズ機能だ。ユーザーが壁紙を選択すると、システムはそこからキーとなる色を自動で抽出し、それに合う色を選ぶ。それらの色は通知シェードやロック画面、音量コントロール、新しいウィジェットなど、OSのあらゆるコンポーネントに適用され、デバイス全体が調和のとれたカラーテーマで彩られる。このデザインシステムは「Material You」と呼ばれており、ソフトウェア、ハードウェア、マテリアルデザインの各チームが深く協力して実現されたとのこと。通知パネルやウィジェットも以前より余白が大きく、角が取れたものになっており、システム統一のカラーテーマも相まって親しみやすく、遊び心のあるデザインになった。

新しくなったウィジェット

 また、使い勝手の面でも多くの改善が行われている。たとえばタップ、スワイプ、スクロールの際のアニメーションは滑らかになり、インタラクションが簡素化された結果、よりスムーズで効率的な操作性が実現された。ストレッチ スクロールが導入され、端に達したことがわかりやすくなったほか、アプリがオーディオフォーカスを失うと自動でフェードアウトするため、オーディオ再生アプリの切り替えがスムーズに感じられる。

 パフォーマン面ではコアシステムサービスに必要なCPU時間が22%短縮され、デバイスの応答速度が向上した。これは前述のアニメーションの改善にも役立っている。また、システムサーバーによるビッグコアの利用が15%削減されたことにより、電力効率も向上。バッテリー持続時間も延びている。

 さらに、「Android 12」ではプライバシー保護にも注力されている。たとえば、新しいプライバシーダッシュボードでは、アクセス権限の設定だけでなく、アプリがアクセスしたデータやその頻度などを単一のビューで確認可能。アプリの権限を取り消すのも簡単だ。位置情報へのアクセス許可に関しても、厳密な位置ではなく、おおよその位置だけに情報を制限する機能が追加された。たとえば天気アプリはどの地域にいるかがわかれば十分で、緯度経度までを詳細に教える必要はない。仮に天気アプリを装って位置情報を得ようとする悪質なアプリがあっても、正確な位置情報を与えなければ被害は軽減できる。

新しいプライバシーダッシュボード
厳密な位置ではなく、おおよその位置だけアプリに教える機能

 そのほかにも、ステータスバー右上にマイクとカメラへのアクセスを知らせるインジケーターが新設された。システム全体でカメラとマイクをオフにするスイッチも、クイック設定に追加されている。

ステータスバー右上にマイクとカメラへのアクセスを知らせるインジケーターが新設

 ベータ版「Android 12」を利用するには、Pixel 3/3 XL以降の「Pixel」シリーズの場合、開発者プログラムに登録することでOTAアップデート(インターネット経由の更新)が可能。これはASUS、OnePlus、OPPO、realme、シャープ、TECNO、TCL、Vivo、Xiaomi、ZTEなどのパートナーデバイスにも提供される。対応する実機がない場合は、「Android Studio」のシミュレーターで64bitシステムイメージを利用することも可能だ。