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Googleが世界初となるFHEの汎用トランスパイラーをオープンソース化 ~暗号データを復号せずにそのまま処理

ユーザーのプライバシーを保護しつつ、データを加工できる

Google、世界初となる「完全準同型暗号」用の汎用トランスパイラーをオープンソースで提供

 米Googleは6月14日(現地時間)、世界初となる「完全準同型暗号」(Fully Homomorphic Encryption:FHE)用の汎用トランスパイラーをオープンソースで提供すると発表した。開発者は、個人を特定できる情報にアクセスすることなく、暗号化されたデータ上で計算を行うことができるようになる。

 最近はデータのやり取りや保管に暗号化技術が広く用いられるようになり、プライバシーの保護が進んでいる。しかし、データを利用する際は復号の必要があるのが一般的で、第三者にデータの加工を任せる際のネックとなっているのが実情だ。

 その点、FHEは復号することなくデータを処理することが可能。暗号化されたデータを暗号化されたまま扱うことができるため、データの内容を秘匿しつつ、分析処理だけを専門家に任せることができる。機密データで機械学習モデルをトレーニングするといったこともできるだろう。

 同社のFHEトランスパイラーは「Apache License 2.0」ライセンスのオープンソースプロジェクトとして「GitHub」で公開されている。HTTPSが普及するまでに時間がかかったように、すぐに広まるものではないが、同社はユーザーのプライバシーを保護しつつデータを安全に保つ有用な製品を提供するための重要な一歩だとしている。