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国土地理院が最新の航空レーザーによる1m間隔の標高データの無償提供を開始

まずは東北地方太平洋沿岸部の約2,000㎢

 国土交通省の国土地理院(GSI)は11月30日、最新の航空レーザー測量データを基に作成した「基盤地図情報(数値標高モデル)1mメッシュ(標高)」の提供を開始した。国土地理院の基盤地図情報ダウンロードサイトから、誰でも無償で入手できる。

 国土地理院は、2008年から航空レーザー測量データを基にした基盤地図情報(数値標高モデル)5mメッシュ(標高)を整備・提供してきた。基盤地図情報(数値標高モデル)は、洪水、津波などの浸水被害の予測や土砂災害の危険性の調査、まちづくりなど、さまざまな分野で活用されているという。

 例えば、基盤地図情報(数値標高モデル)を用いて浸水範囲における水深を算出し、ハザードマップにおける洪水浸水想定区域や、災害時の浸水推定図が作成されている。

基盤地図情報(数値標高モデル)を用いた洪水浸水想定区域(左)と浸水推定図(右)

 また2021年7月に土石流が発生した静岡県熱海市における、盛土前・盛土後・発災後の基盤地図情報(数値標高モデル)を比較することで、標高の変化を定量的に示した。

静岡県熱海市における盛土前(a)・盛土後(b)・発災後(c)の基盤地図情報(数値標高モデル)の比較

 1mメッシュ(標高)は5mメッシュ(標高)に比べて25倍の標高点密度を持ち、細かな起伏の表現力が増しているため、より精度の高いシミュレーションが可能となる。これにより、ハザードマップの浸水想定や土砂災害警戒箇所の抽出精度の向上などが期待されるとしている。

1mメッシュと5mメッシュの標高点密度の違い(イメージ)
1mメッシュと5mメッシュの陰影段彩表示での見え方の違い

 11月30日に提供を開始する範囲は、国土地理院が2020年に航空レーザー測量を実施した東北地方太平洋沿岸部の約2,000㎢。なお今後も航空レーザー測量データが得られた地域で順次整備していく予定だとしている。

11月30日に提供を開始する範囲