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変体仮名を使える「Android 15 Beta 2」が公開 ~「プライベートスペース」なども追加
今秋にも正式リリース
2024年5月21日 06:55
効率性の向上
「Android 15 Beta 2」ではフォアグラウンドサービスの扱いが変更され、新しいパーミッションが必要となる。サービスを適切にコントロールすることでリソースの消費を抑え、システム全体のパフォーマンスアップとバッテリー持続時間の改善が期待できる。
また、対応しなければならないページサイズも従来の4KBから16KBへと引き上げられる。ページサイズが大きいデバイスではメモリ集約型のワークロードのパフォーマンスが向上する可能性があるが、アプリ側の対応がなければポテンシャルを引き出すことはできない。そこで、「Android 15」で対応を促すとともに、来年には「Google Play」ストアへのアプリ掲載にも16KBページとの互換性を必須要件にするという。
さらに、AndroidのGPUアクセスがモダナイズされる。初期のAndroidは単一のCPUコア、固定関数パイプラインAPIを前提としたGPUをターゲットとしていたが、それに比べると現在のデバイスは大きく進歩した。そこで、「Android 15」には「Vulkan」の上で「OpenGL ES」を実行するためのオプションレイヤーとして「ANGLE」が含まれる。グラフィックスライブラリ「ANGLE」に移行することで、AndroidのOpenGL実装が標準化され、互換性が向上し、場合によってはパフォーマンスも向上する。
GPUスタックの合理化の一環として、今後リリースされる新しいデバイスは「Android ANGLE on Vulkan」が既定のドライバーとなる。ただし、互換性維持のため「OpenGL ES」のサポートも継続される。
そのほかにも、VideoLANの人気AV1ソフトウェアデコーダー「dav1d」がハードウェアデコーダーを搭載しないAndroidデバイスで利用できるようになる。レガシーなAV1ソフトウェアデコーダーより最大3倍のパフォーマンスでHD AV1を再生可能だ。
セキュリティとプライバシー
セキュリティとプライバシー関連では、「プライベートスペース」と呼ばれる新機能が導入される。これは、機密性の高いアプリをしまっておけるエリアで、アクセスするには追加の認証が必要となる。「プライベートスペース」をロックすれば、履歴ビュー、通知、設定、および他のアプリからも非表示となる。
そのほかにもメディアのアクセス権限、コンテンツURIのパーミッションチェック、バックグラウンドアクティビティ起動のセキュリティ、インテントの悪用防止などが改善される。
ユーザーインターフェイスの改善
「Android 15 beta 2」では大画面デバイスのマルチタスクが改善され、たとえばタスクバーを画面上に固定してアプリを素早く切り替えたり、お気に入りの分割画面アプリの組み合わせを保存して素早くアクセスしたりできるようになる。
そのほかにも、ピクチャーインピクチャー(PiP)、ウィジェットのプレビュー、プレディクティブバック(ジェスチャーによる「戻る」操作)、ヘルスコネクトなどが改善された。通知のバイブレーションもチャネルごとに指定できるようになる。
国際化対応
「Android 15 Beta 2」には、「ICU 74」「Unicode 15.1」「CLDR 44」といった国際化対応のアップデートが含まれており、新しい文字、絵文字、セキュリティ機構などが利用できる。
日本語ユーザーにとってうれしい要素は、「Noto Sans CJK」の可変フォント対応だろう。単一のフォントデータで、これまでは難しかった多彩な表現が可能となる。
さらに、「Android 15」には変体仮名フォントも含まれるとのこと。古いひらがなも表現できるようになる。
ベータ版「Android 15」は今後も開発が続けられ、2024年6月にも「Platform Stability」に到達し、追加機能は凍結される。そこから数カ月の最終テストを経て、今秋にも正式リリースされる見込みだ。