Blender ウォッチング

モダンな家をパラメーター設定だけで生成! 建築物の外観専用の「Blender」アドオン

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

「Building Tools」

 今回は、Ian Karanja氏作の建築物モデリングの補助アドオン、「Building Tools」をご紹介します。

 Blenderにはすでに「家屋」を制作するための建築物モデリング用アドオン「Archimesh」がバンドルされていますが、「Building Tools」は「外観」専用で、背景に配置する家などをすばやく作成したい時に便利です。最新バージョンの「Blender 3.1」でも動作します。

アドオンのダウンロードとインストール

アドオンのダウンロード

 下記リンク先にアクセスし、上部にある[Download .zip]ボタンをクリックします。

🏠 Fast building exteriors in Blender ⚡️ | [“Building Tools”]

公式ページ

 起動した「Blender」内の[編集]メニューから[プリファレンス...]項目を選んで[プリファレンス]ダイアログを開き、[アドオン]タブから右上の[インストール...]をクリック、先ほどダウンロードしたZIPファイルを指定します。

囲み部分をクリックし、表示された[ファイルブラウザ]からダウンロードしたZIPファイルを指定

 その後[プリファレンス]ダイアログの[アドオン]タブに現れた[Mesh: Building Tools]のチェックボックスをクリックして有効化します。

チェックボックスをクリックして有効化

アドオンの使用

UIの表示

 ではアドオンを使用してみましょう。

 先に操作に必要なインターフェイスを表示します。[3Dビューポート]右上の端にある小さな「≺」型アイコンをクリックするか[N]キーを押して[サイドバー]を展開し、[Building Tools]タブをクリックします。

 必要であればデフォルトの立方体も消しておきましょう。

右側に[サイドバー]を表示し、[Building Tools]タブをクリック

「Floorplan」(平面図)の追加

 まず最初に、土台となる「Floorplan」(平面図)を用意します。

 [3Dビューポート]左上が[オブジェクトモード]になっていることを確認し、先に表示した[サイドバー]に表示されている[Building Tools]パネルから、[Create Floorplan]をクリックすると、平面オブジェクトが追加されます。

[Building Tools]パネルの[Create Floorplan]ボタンをクリック

 この「Floorplan」オブジェクトは他のオブジェクト追加時と同様、[3Dビューポート]左下に表示される、[最後の操作を調整]パネルで設定が可能です。例えば「H」形やランダムな形に変更可能です。

[3Dビューポート]左下に現れた[最後の操作を調整]パネルと「H」型の「Floorplan」

 または「平面」を追加します。これはもちろん[追加]メニュー-[メッシュ]-[平面]でも構いませんし、すべての頂点がXY軸平面上にあれば四角形でなくてもかまいません。ただしちゃんと面が張ってある必要はあります。

円で作成した例。ただしこの後、窓やドアの作成で問題が出たため、完全に自由ではないことに注意

Floor(階)の追加

 次は「Floor」(階)を追加します。

 [3Dビューポート]左上のから、または[Tab]キーで[編集モード]に変更し、前述の[Building Tools]パネルの[Add Floors]をクリックすると、土台と壁による階層が追加されます。

 以降は、[3Dビューポート]左上にある、[ビュー]メニュー左どなりのアイコンから[面選択]モードに変更し、天井の「面」を選択して[Add Floor]をクリックすれば同様に階を追加可能です。

[3Dビューポート]左上のアイコンから[面選択]モードに変更
[編集モード]にて[Building Tools]パネルの[Add Floors]をクリックすると土台と壁が追加

 もちろんこれも[最後の操作を調整]パネルで調整可能で、階数や高さ、「slab」(床板の出っ張り)の有無などが変更可能です。

「Floor」の[最後の操作を調整]パネル

 以降の追加と調整はすべて[Building Tools]パネルと[最後の操作を調整]パネルから行います。

 このパネルに行った設定のパラメーターは「Blender」を終了するまで変わりませんので、窓の規格を統一して追加することがなどが可能です。また、[オペレータープリセット]に記録しておくこともできます。

外壁にドアや窓などの装飾を追加

 ここからは階を追加したときのように[面選択]モードにしておいてください。

バルコニーの追加

 面を選択し、[Add Balcony]をクリックすると、バルコニーが追加されます。複数の面を選択した場合も機能します。

複数の面を選択した時のバルコニーの追加

 デフォルトは縦の柵ですが、横にしたり単なる板にすることもできます。

「Balcony」の[最後の操作を調整]パネル

階段の追加

 同様に[Add Stairs]で階段が追加できます。これは床から距離のある入り口への階段で、非常階段のように壁と平行には作成できません。しかし、後で編集して回転すればいいだけの話ですので大して問題にはならないでしょう。

追加された階段

 階段の段数や幅なども細かく調整できます。[深度オフセット]は奥側(建物側)に向かってずらすことができます。

「Stairs」の[最後の操作を調整]パネル

窓・ドアの追加

 もちろん窓([Add Window])やドア([Add Door])も追加できます。上側にアーチを付けることもできます。ただしバルコニーとは違い、複数の面を選択しても合わせた領域ではなく、各面ごとに追加されます。
 [Add Multigroup]は両方を一度に、[Add Fill]はフィル(後述)を追加します。

追加された窓とドア

 両方とも[最後の操作を調整]パネルの[数]を「2」にして[広がり]を小さくすると、両開きにすることができます。

 [フィルタイプ]で中身のパターンが選択可能です。

「Door」の[最後の操作を調整]パネル

屋根の追加

 天井の面を選択し、[Add Roof]をクリックすれば屋根が追加されます。屋根のタイプには「フラット」と「Gable」、「Hip」タイプがあり、「フラット」以外は以降「Floor」で階数が増やせなくなりますので注意が必要です。

「Roof」と[最後の操作を調整]パネル

要素追加後の編集

 追加した要素は編集モード中でも編集可能ですが、[最後の操作を調整]パネルによる編集はできず、単なる普通の形状としての編集になります。

 また、壁を選択して高さなどを編集した場合、その後窓やドアが追加できなくなることがあるので注意してください。

終わりに

 次回は各要素のマテリアル設定や、他のツールとの連携について解説したいと思います。

 ではまた。