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【Excel】図形を使った引き継ぎ書を作りたい!エクセルでわかりやすい業務フロー図を作る方法

わかりやすい引き継ぎ書を作るために図形を活用しよう

 業務を引き継ぐ時、後任者と打ち合わせを行うことはよくありますが、作業の内容や流れについて口頭で説明しただけでは、後任者が後で実際に作業を行う時にわからないことが出てきたり、作業の正しい流れが伝わらなかったりすることがあります。

 業務を正しく引き継ぐためには引き継ぎ書を作成しておくのが良いですが、単に文章で作業内容が書かれているだけでは作業上のポイントが伝わりづらいだけでなく、書面の雰囲気が単調で後任者のモチベーションも上がりにくくなってしまいます。

 わかりやすい引き継ぎ書を作るために、図形を使った業務フロー図を作ってみませんか。今回は、Excelの図形を活用して、業務の流れがわかりやすい引き継ぎ書を作る方法を解説します。

SmartArtと図形を組み合わせてわかりやすい引き継ぎ書を作ってみよう

 ある職場では、打ち合わせや出張などで社員が交通機関を利用した場合、社員はExcelで作った「交通費申請書」(①)を印刷したものに交通費を記入して総務の担当者に申請しています。年度末で総務の担当者が異動することになり、この業務を他の人に引き継ぐことになったとします。

 あなたが後任者で、これまで総務の仕事の経験が全くなかったとしたら、引き継いだ申請書のシートにメモやコメントで記入上の注意などがきちんと記入されていたとしても、交通費の支払いをどのような流れで行えばよいかがわかりませんよね。

 このような時は、実際に記入して使うシートとは別に、業務全体の流れをまとめたシートを作っておくと親切です。今回は、「交通費申請書」ブックの中に新しく[引継ぎ用]シート(②)を作成し、業務の流れをフロー図でまとめ、補足説明をテキストボックスで挿入してみましょう。[引継ぎ用]シートに業務フロー図のタイトルなどを入力しておきます。

 まず、業務のおおまかな流れを表した図表を作成します。図表の作成には、SmartArtが便利です。SmartArtは、フローチャートや組織図などの図表をテンプレートから簡単に作成できる機能です。[挿入]タブ(③)→[図](④)→[SmartArt](⑤)をクリックします。

 [SmartArtグラフィックの選択]ダイアログボックスが表示されます。左側のメニューにいろいろな図表の種類が表示されます。業務の流れを表すのに適した図表は[手順]に含まれているので、[手順](⑥)をクリックします。ダイアログボックス中央に図表の一覧が表示されるので、使いたい図表をクリックします。ここでは[プロセス](⑦)を選択してみます。図表が選択できたら、[OK](⑧)をクリックします。

 選択した[プロセス]のSmartArtのテンプレートとテキストウィンドウがシートに表示されます(⑨)。

 図表のテンプレートの左側に表示されている[ここに文字を入力してください]という欄がテキストウィンドウです。ここに入力した内容が図表の上に表示されます。一番上の箇条書きの項目に「申請書の提出」(⑩)と入力すると、その内容が図表の一番左の矢印の上に表示されます(⑪)。長い文字列を入力しても、文字の大きさなどは図表の大きさに合わせて自動で調整されます。

 同様にして、3つ目の項目まで内容を入力します(⑫)。この業務はさらにもう1ステップあり、実際にはもう1つ矢印の図が必要だとします。このような場合は、テキストウィンドウで3つ目の項目を入力した後で[Enter]キーを押します(⑬)。

 すると、テキストウィンドウ上にもう1つ箇条書きの項目ができ、[プロセス]の図表の一番右に矢印の図が1つ追加されます(⑭)。

 4つ目の項目を入力したら、フロー図への文字の入力は完了です(⑮)。テキストウィンドウの右上の[×]をクリックしてテキストウィンドウを閉じておきましょう。

 フロー図を作成できたら、図表の色を変更して、カラフルで明るい雰囲気にしてみましょう。[SmartArtのデザイン]タブ(⑯)→[色の変更](⑰)をクリックして表示される色の一覧から適用したい色(⑱)を選択すると、図表の色が変わります。

 最後に図表の位置や大きさを調整すれば、業務フロー図の完成です(⑳)。通常の図形の場合と同様に、図表全体を選択した時に図表の周囲に表示されるハンドルをドラッグすれば図表の大きさの変更や移動ができます。

図形を使って追加の説明文を見やすく配置する

 図表だけでは業務上の細かい注意点などがわかりません。そこで、図形を使って先程の業務フロー図に補足をしてみましょう。ここでは、テキストボックスを挿入して業務の各ステップに説明を追加します。

 [挿入]タブ(①)→[図](②)→[図形](③)をクリックし、表示される図形の一覧から[テキストボックス](④)を選択します。ここでは[最近使用した図形]欄にテキストボックスが表示されていますが、ここに表示されない場合は[基本図形]欄から選択できます。

 マウスポインターの形が変わるので、テキストボックスを挿入したい位置でドラッグ(⑤)します。

 テキストボックスが挿入できたら、このステップに関する補足説明をテキストボックスに入力します(⑥)。

 他の項目にも同様に、補足説明のためのテキストボックスを追加しましょう。同じサイズのテキストボックスを追加するには、コピペを活用します。先ほど作成したテキストボックスをコピペして、それぞれの矢印の下に配置します(⑦)。配置はこのあと整えるので、今はおおまかな位置にドラッグして配置しておけばOKです。

 テキストボックスの配置を整えます。最初に、テキストボックスをすべて選択します。テキストボックスなどの図形を複数選択したい場合、[Ctrl]キーを押しながら選択しても良いですが、[オブジェクトの選択]機能を使うとドラッグ操作で簡単に行うことができます。[ホーム]タブ(⑧)→[検索と選択](⑨)→[オブジェクトの選択](⑩)をクリックします。

 配置を整えたいテキストボックスが全て選択されるようにドラッグします(⑪)。

 4つのテキストボックスが選択された(⑫)ので、配置を整えていきます。まずは、均等な間隔で並ぶようにします。[図形の書式]タブ(⑬)→[配置](⑭)→[左右に整列](⑮)をクリックします。

 テキストボックスが等間隔で配置されました。次に、上端を揃えて配置しましょう。[図形の書式]タブ(⑯)→[配置](⑰)→[上揃え](⑱)をクリックします。

 テキストボックスの上端が揃いました(⑲)。

 テキストボックスの配置の調整が終わったら、[オブジェクトの選択]モードを解除しておきます。先ほどと同様の手順で[ホーム]タブ→[検索と選択]→[オブジェクトの選択]をクリックすれば、[オブジェクトの選択]モードが解除されます。最後に、すべてのテキストボックスに補足説明を入力すれば、図入りの引き継ぎ書の完成です(⑳)。

 これなら、業務の流れがパッと見でわかりやすく、業務上の各ステップでの注意事項も見やすく整理されていて、引き継ぐ人も安心して業務に取り掛かれますね。

図表を活用してわかりやすい引き継ぎ書を簡単に作ろう

 今回は、SmartArtを使って業務の流れをフロー図で表現し、テキストボックスを使って補足説明を追加する方法を解説しました。

 業務を引き継ぐ時、つい業務で必要になるファイルやブックを残すことばかりに注力しがちですが、今回作成したような引き継ぎ書が添えてあれば、後任者は安心して業務を引き継ぐことができ、その後任者が次の人に引き継ぐ時にさらにブラッシュアップすることもできます。

 今回の記事を参考に、直後の後任者だけでなく、もっと先に業務を引き継ぐ人にも喜んでもらえるような引き継ぎ書を作ってみてくださいね。

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