いまさら聞けないExcelの使い方講座
【Excel】「エクセルも使えます!」と言うために絶対覚えておきたい関数のテクニック
2023年4月26日 06:55
エクセルのスキルを聞かれて、「(関数に自信がないから)表の作成くらいはできます……」と消極的に答えていませんか? 学生時代はスマホ中心だったからパソコンは苦手と感じている方、安心してください。諸先輩方もすべての関数は覚えていません。実際の業務で使う関数は20個程度でしょう。
欲張らずに四則演算と基本関数の扱いに慣れておくほうが将来的に時短につながります。また、初めは難しいと感じる関数でも、業務で使っているうちに自然と覚えるはずです。今回は、関数の入力の基本と絶対に覚えておきたい関数ワザ5つをまとめて紹介します。
関数の基本と効率的な入力方法を覚えておこう
関数を利用した式は「関数式」や「数式」と呼ばれます。単純な足し算「=A1+B1」も「数式」です。「=」から始まる式をまとめて「数式」と呼ぶことが多いですね。数値を合計するSUM関数なら「SUM関数の数式の引数を修正して~」などと説明されます。「引数」(ひきすう)は、関数が演算に利用するための情報です。SUM関数なら足し算の対象とするセルやセル範囲が引数になります。
関数によって引数が異なりますが、追々覚えればいいでしょう。それより、数式の効率的な入力方法をマスターするのが先です。例えば、以下の表でセルF2~F11の値を合計する時、どのように操作すると効率的でしょうか? 「=SUM(F2:F11)」と手入力は避けたいですよね。
[関数の挿入]ダイアログボックスが簡単に思えますが、あまり効率はよくありません。入力補助の機能を利用することをおすすめします。
先頭に半角の「=」を入力すると、エクセルは「このセルには数式が入力される」と認識します。続けて、関数の数文字を打ち込むとリストが絞り込まれます。関数名をすべて入力する必要はありません。目的の関数名が出現したところでカーソルキーの[↓]で関数名を選択し、[Tab]キーを押します。
SUM関数なら「=su」と入力して、[↓]キーで[SUM]を選択して[Tab]キーを押します。この操作により「=SUM(」まで入力されます。続けて引数にするセル範囲をドラッグして選択。そのまま[Enter]キーを押せば数式の入力完了です。数式の終わりの「)」も自動的に補完されます。
複数の関数を組み合わせていると「)」の数が合わない旨のメッセージが表示されますが、その時は注意深く数式をチェックしましょう。まずは自動補完の機能があることを覚えておいてください。
①合計、カウント、平均はセットで覚える
数値を合計するSUM関数
以下の例で「販売数」を合計する数式は「=SUM(E2:E11)」となります。なお、[Shift]+[Alt]+[=]のショートカットキーでSUM関数を入力することも可能です。ただし、隣接するセル範囲を自動的に引数と認識するため、正しく引数が指定されたかどうかをよく確認しましょう。
SUM関数の引数には、複数のセル範囲を指定することも可能です。列単位で複数のセル範囲を指定することはありますが、以下のように「上野店」を選択した合計を出したい場合は効率が悪くなるので、後述のSUMIF/SUMIFS関数を利用しましょう。
データを数えるCOUNTA関数
データの個数を数えるときはCOUNTA関数を使います。COUNTではなく、COUNT「A」です。COUNT関数で数えられるのは数値のみ、文字列や数式の結果の空白は無視します。数式の結果の空白とは、条件分岐の結果として表示する空白文字("")のことです。以下の例ではセルB4に空白文字が含まれています。
一方、COUNTA関数はデータであれば何でも数えます。数式の結果の空白("")も数えることを覚えておいてください。引数の指定方法はSUM関数と同じなので覚えやすいと思います。
②条件を指定できる「IF」付き関数
条件を指定して合計するSUMIFS関数
条件を指定して数値を合計する場合は、SUMIFS関数を利用しましょう。条件をひとつ指定可能なSUMIF関数もありますが、SUMIFS関数に条件をひとつ指定した結果と同じです。SUMIFS関数だけ覚えておけば事足ります。ただし、引数の[合計対象範囲]と[条件範囲]の行または列の数が一致していないとエラーとなります。
なお、Google スプレッドシートで条件を指定できる関数については以下の記事にもまとめてあります。
③数値の四捨五入、切り捨て、切り上げ
小数点以下を四捨五入したり、百円未満を切り捨てて千円単位に揃えたりすることがありますよね。このような数値の「丸め」は、ROUND/ROUNDDOWN/ROUNDUPの3つの関数で簡単に処理できます。引数の指定方法は共通なので、よく使う四捨五入を覚えれば、切り捨て(ROUNDDOWN)と切り上げ(ROUNDUP)も同時に使えるようになります。
ROUND/ROUNDDOWN/ROUNDUP関数の詳しい使い方は以下の記事を参考にしてください。
④同じ数式で結果が異なるのはなぜ? IF/IFS関数
受け取ったファイルに含まれている数式はどれも同じように見えるけど結果が違う? IF/IFS関数をはじめて見たときに疑問に思う人もいるでしょう。条件によって処理が分岐されているため、数式が同じでも結果が切り替わるのです。
IF関数は「もし~」なら「A」、そうでないなら「B」と条件を分岐できます。以下は簡単な使い方です。実務で利用される場合は、IF関数の引数としてIF関数を指定した複数の条件分岐や、ほかの関数と組み合わせたエラー処理などに使われます。
3つ以上の条件を指定するならIFS関数がおすすめです。例えば以下のような処理では、IF関数よりIFS関数のほうが簡単に記述できます。
IF関数やIFS関数の詳しい使い方は以下の記事も参考にしてください。
⑤検索して必要な値を取り出すVLOOKUP/XLOOKUP関数
「ブイルックアップ」という単語を聞いたことがあるかもしれません。VLOOKUP関数のことです。表を縦方向に検索して、指定したデータに対応する値を取り出します。例えば、顧客Noから氏名や住所を取り出す、商品IDから商品名や単価を取り出すなどの処理に利用します。
想像してみると、このような処理は実務でよくありますよね。以下は顧客Noから氏名を取り出すVLOOKUP関数の利用例です。数式が長くなりがちで、はじめての人は難しく感じるかもしれませんが、どのような動きをしているのかは把握しておきましょう。
VLOOKUP関数の後継として登場したXLOOKUP関数もあります。VLOOKUP関数が強化された新しい関数です。利用できるのは、本稿執筆時点でExcel 2021やMicrosoft 365のExcelのみですが、今後は使う機会も増えるでしょう。
両関数とも、使い込むと複雑な処理も可能になります。以下の記事もぜひ参照してください。
便利な関数はほかにもたくさんある
ここで紹介した関数以外にも、文字列の結合・分割する文字列操作、ある期間の日数を求めるといった日付の処理など、便利な関数はたくさんありますが、すべての関数を覚えてから使うわけにはいきません。簡単な関数から慣れていきましょう。