使ってわかるCopilot+ PC

第10回

「Copilot」をただの検索AIにしないコツとは? 楽しく便利なコンシェルジュにしよう

検証に使用した「Copilot+ PC」、「Surface Laptop 13.8インチ(第7世代)」

NPUは使わないけれど

 「Copilot+ PC」には40TOPS以上のNPUが搭載されており、ローカルでAIを動作させる能力が高いPCとなっている。これまで本連載では、NPUを使って何ができるのかを紹介してきた。

 しかし冷静に考えてみると、「Copilot+ PC」なのに「Copilot」の説明をしてこなかった。なぜなら「Copilot」はNPUを使用しない、クラウドベースのAI機能だからだ。とはいえ、「Copilot+ PC」という名前を名乗っておいて「Copilot」を活用しないのもおかしな話だ。

 今回はNPUから離れて、「Copilot」の初歩について解説していく。検証にはSnapdragon X Plusを搭載した「Copilot+ PC」の1つ、「Surface Laptop 13.8インチ(第7世代)」を使用した。

「Copilot」をただの検索と思うなかれ

「Copilot」を起動した画面

 そもそも「Copilot」がどんなものであるか、理解されているだろうか。Windows 11に搭載されたことで、試しに使ってみた方も多いと思うが、その多くは「対話型で使える検索機能」という印象だったのではないかと思う。

 これは決して間違いではないのだが、「これなら使い慣れたインターネット検索機能で十分」と考えた方も相当多いと思う。これまでどおりの使い方で不満がないなら、わざわざ新しいものに手を出す必要はない、と考えるのが人間というものだ。

 「Copilot」を理解する上で重要なことは、対話型AIであることを意識して使うことだ。いくつか具体例を示そう。

文章で質問できる

 従来のインターネット検索では、わからないことを調べる時、キーワードを並べるようにして調べると効率的だ。例えば「CopilotはNPUを使用するのか?」を調べたい時は、「Copilot NPU 使用」などと単語で区切る方が精度が上がる。

 しかし「Copilot」では、「CopilotはNPUを使用するのか?」と文章のまま入力すればいい。より人間的、直感的な検索ができる。しかも回答も文章で表示されるので、リンク先を辿って欲しい情報を探すという手間も減る。

「CopilotはNPUを使用しますか?」と質問したら、「いい質問ですね!」と人間的な返答から始まった

会話の流れを理解してくれる

 「Copilot」を含む対話型AIで最も重要なのは、会話の流れを理解してくれる点だ。従来型の検索であれば、入力した言葉に対して一問一答で検索結果を返すだけだが、「Copilot」はその前の質問や回答をふまえて次の回答を出してくれる。

 例えば、じゃがいもの簡単な料理法を聞いてみると、いくつかのレシピを提示してくれる。ここまでは当然の内容だ。

簡単なじゃがいも料理のレシピを出してくれた

 しかしその中に好みのレシピがなかったら? 「酒の肴になりそうなのが欲しい」と尋ねてみると、じゃがいもを使ったツマミっぽいレシピを出してくれた。前の会話を踏まえて次の質問に答えている。

 「欲しいのはその答えじゃなくて、もうちょっとこう」みたいな対話で目的に近づいていけるのが、「Copilot」ならではの使い方だ。

前の質問を踏まえての追加注文も受け付けてくれる

 ここで「ピリ辛な味付けのものはある?」と聞いてみると、じゃがいもから離れたレシピを出してしまった。しかし改めて「じゃがいも料理の話だ」と言えば、話の流れが戻ってくる。こういう意図のすれ違いは人間同士の会話でも起こり得るし、それを指摘すればまた元の話に戻れる。質問者も間違いを恐れず会話するという姿勢が大切だ。

質問の仕方が悪いと、意図しない回答もあるが……
改めて聞き直せばいい。人間同士の会話と同じだ

 実際に筆者が使った例としては、病気の症状を入れて原因が何かを聞いてみたことがある。与えられる情報が断片的で、かつ筆者自身も素人なので、医師の診断ほど的確なわけではない。それでも複数の病気の可能性をぱっと提示してくれるので、現時点ですべき対応やどの医者にかかるべきかなどの検討にはとても役立つ。

 この時は全身に薄い発疹があり、微熱と咳があったので、これで何が推測されるかと聞いたところ、「手足口病、風疹、帯状疱疹」が考えられるという回答だった。

症状から考えられる病気を答えてもらう

 風疹で弱めの発症ならあり得るかなと思い、「最近の流行状況は?」と聞くと、参照可能なデータを提示してくれた。その結果、風疹患者はほぼいないと判明。では別の病気なのでは、と改めて尋ねると、「ウイルス性発疹、アレルギー性発疹」という回答が。

提示された病気ではなさそう

 ウイルス性発疹も色々あるものの、そこまで重篤な病気ではなさそうということで、皮膚科を受診。結果、伝染性紅斑(リンゴ病)と診断された。「Copilot」の言うことを丸々信じるのは危険だが(インターネットで検索した情報も同様に)、情報源の1つとして活用するなら、従来型の検索よりも早く情報を得られ、なおかつわかりやすい。

 もっと重篤な症状でも情報源として活用はできると思うが、その時は救急安心センター(#7119)に電話するなど、プロの意見を頼ることをおすすめする。「Copilot」は汎用的な対話型AIであり、医療の専門家ではない。

一応、「Copilot」にもリンゴ病でしたと伝えておいた。リンゴ病も原因はウイルスなので間違いではなかった

情報検索をもっと楽しくする

 「Copilot」は対話型AIなので、こちらの指示に従って回答してくれる。例えば天気を聞く時、ただ「明日の天気を教えて」とするだけでは面白くない。「明日の天気をテンション高い関西弁で教えて」と伝えてみると、ちゃんと対応してくれる。

確かにテンション高い

 もちろん、その後も会話を続けられる。関西弁でと言ったため関西の天気を教えてくれたが、場所が違うと伝える。ついでに、こちらも関西弁で話してみよう。

場所が違うと伝える

 ばっちり返事をしてくれた。さらに会話っぽい感じで尋ねてみる。

無茶ぶりもしてみる

 んんー? もう一声?

「Copilot」は結構がんばったと思う

 最後の挨拶も含め、ちゃんと意図を理解してくれた。なかなかに賢い。……といった遊び心も加えてやると、無機質なPC生活にちょっと潤いが出てくるかもしれない。

 これが無料で使えるのだから、何ともすごい時代になったものだ。ぜひ皆様も「Copilot」を便利に楽しく活用してみていただきたい。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/