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Windowsの「B」、「C」、「定例外」リリースってなに? ~更新プログラムの仕組み

「B」リリースはかならず適用しよう。定例外リリースにも注意

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 Windows 10には年2回の「機能アップデート」と、毎月数回の「品質アップデート」が提供されます。Windows 11でもこれは継承され、機能アップデートが年1回に減らされるものの、それ以外は同じサイクルでアップデート(パッチ)が提供される見込みです。

 しかし、「毎月数回」行われる品質アップデートの内容をちゃんとわかっている人はあまり多くないかもしれません。あてなくてもいいパッチ、かならずあてなければならないパッチを把握して、なるべく少ない手間でPCを安全に保ちたいものです。

 今回は、Windows 11のリリースに先駆け、Microsoftが毎月の品質アップデートについてまとめてくれた記事をもとに、日本ユーザー向けに知っておいてほしいことを加えて紹介してみたいと思います。

累積的更新プログラムとは?

 その前にまず、「累積的更新プログラム」(Cumulative Update)について知っていただきましょう。

 累積的更新プログラムとは、端的に言うと「過去にリリースされた更新プログラムをすべて含んだ更新プログラム」のことです。最近のパッチは、基本的にすべて累積的更新プログラムになっています。

最近のパッチは、基本的にすべて累積的更新プログラム

 Windowsには毎月多くのパッチがリリースされていますが、それを一つ一つ適用するのは時間がかかります。また、「パッチAを適用するには先にパッチBを適用しておく必要がある」といったように、順番を守ってあてる必要のある場合もあります(これは「依存関係」と呼ばれます)。実際、Windows 7の頃までのパッチは適用するのに時間がかかったり、特定のパッチが抜けていてトラブルになるケースも少なからずありました。

 累積的更新プログラムは、Microsoft側でこれまでのパッチを全部まとめて、セットにしてくれていると思っておけばいいでしょう。基本的に「最新のパッチを当てておけばOK」なので、ユーザーは難しいことを考えずに済みます。弱点はファイルサイズが大きくなってしまうことですが、これについては差分ダウンロードなどの仕組みである程度カバーできます。

 また、この仕組みはMicrosoftにとってもメリットがあります。みんなが同じ累積的更新プログラムをあててくれているならば、パッチの適用状況がバラバラで(断片化)、さまざまなケースを考えなくてはならないという問題は避けられるからです。依存関係のトラブルを避け、OSの安定性を向上させることができます。

品質アップデートの種類

 さて、毎月リリースされる品質アップデートには、以下の3つの種類があります。

  • 「B」リリース
  • 「C」リリース
  • 定例外(Out of Bound:OOB)リリース

  「B」リリース は、毎月第2火曜日(米国時間)に公開される品質アップデートです。米国時間の火曜日にリリースされることから「パッチチューズデー」などとも呼ばれますが、日本で入手可能になるのは水曜日です。また、カレンダーによっては第2水曜日ではなく、第3水曜日になることもあるので注意が必要です。

 「B」リリースはOSの機能改善に加え、セキュリティ関係の修正が含まれており、かならず適用する必要があります(必須)。ユーザーが手動でアップデートをチェックしなくても、「Windows Update」などを介して自動で提供されます。

  「C」リリース は、「B」リリースの翌週から月末にかけてプレビュー提供される品質アップデートです。その次の月の「B」リリースに含まれる機能改善をテストするためのものですが、セキュリティ関係の修正は省かれており、必ずしも適用する必要はありません(オプション)。トラブルに悩まされており、「C」リリースにその解決がある場合などは試してみてもよいでしょう。また、IT管理者は社内のデバイスに「B」リリースが適用される前に「C」リリースをテストしておくべきでしょう。

 「C」リリースを利用したい場合は、「設定」アプリの[アップデートとセキュリティ]-[Windows Update]セクションに移動し、[アップデートを確認]ボタンを手動でクリックします。[オプションの更新プログラムがあります]というメッセージが表示されたら、[ダウンロードしてインストール]リンクから適用が可能です。

[オプションの更新プログラムがあります]というメッセージが表示されたら、[ダウンロードしてインストール]リンクから適用が可能

 ただし、Windows 10のバージョンによっては提供時期が前後することがあります。また、古いOS(Windows 8.1など)には提供されないので注意してください。

  OOBリリース は、確認されたばかりで対処に急を要する問題や脆弱性を修正するため、ときどき公開されます。緊急性の高いことが多いので、「B」リリースを待たずに適用した方がよいでしょう。来週はお盆休みをとる方もいらっしゃると思いますが、8月11日には「B」リリースが提供されるはずなので、休み明けのWindowsアップデートをお忘れなく。