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マイクロソフト開発統括部門プロマネが生成AIのプロンプト作成のコツを伝授!

日常生活に役立つ使い方を解説する報道者向けイベント「Café Copilot」を実施

Microsoft Copilot

 2024年3月5日、日本マイクロソフト株式会社は生成AI「Microsoft Copilot」について、最新情報と活用方法を紹介する報道者向けイベント「Café Copilot」を実施した。

 同社は、2024年は日常生活において、AIの利点を最大限に活用し始める年だとしている。同社の調査によると、回答者の約8割はAIが日常生活をより快適にすると回答、個人用途で利用するZ世代は7割弱とのこと。2月時点で「Copilot」(コパイロット)を含むBingのデイリーユーザーが全世界で1億人を超えたとも発表されている。

 実際、AIを活用する機会は増えており、日常生活でも、ビジネスシーンでもAI時代に適したスキルが求められるのは確かだ。ただ、新しい技術ゆえに手探りのところも多い。具体的にAIをどのように活用するべきか? マイクロソフト ディベロップメント株式会社 WWE Japan 開発統括本部 プロダクトマネージャーの篠塚祐紀子氏が語った「Copilot」の利用シーンと具体例を紹介したい。

Copilotのメリット

 「Copilot」(コパイロット)について簡単におさらいしておこう。Copilotは、Bingの検索アルゴリズムと、ChatGPTを提供するOpenAIの最新言語モデルを組み合わせた同社独自のAIモデル「Prometheus」(プロメテウス)で構築されている。

 より新鮮な情報に対応し、不正確な情報や有害なコンテンツを減らした適切な回答を生成することを目指している。Copilotは、Windows 11やOfficeアプリ向けにも提供されており、ビジネスシーンでスムーズに活用できるのがCopilotの強みだ。

 キーワードを入力してインターネットを検索、意図に合いそうなタイトルのWebページをクリックするといった作業を省略でき、無償で利用可能だ。ざっくりと「○○について教えて」「このWebページを要約して」などと質問すれば、会話形式で自然な回答が得られる。

 一般的なユーザーが利用する場合は、Webブラウザーの「Microsoft Edge」からサイドウィンドウを呼び出すか、CopilotのWebページにアクセスするのが簡単だ。スマートフォン用のアプリを利用して、音声入力でのやり取りもできる。

Webブラウザーの「Microsoft Edge」の画面右上にあるアイコンからサイドウィンドウを呼び出した状態。このまま、Webページを要約することも可能
CopilotのWebページ。調べたい内容を会話形式で質問できる
Microsoft Copilotアプリ。画面下部のマイクのアイコンをタップして、音声でのやり取りも可能

Microsoft Copilot

iPhone版

Android版

「Copilot in Windows」。OSの設定変更などの指示が可能
「Copilot for Microsoft 365」をWordで利用する
指示に沿ったテキストを自動生成してくれる

 ただし、個人ユーザーがOfficeアプリでCopilotを利用する場合は、「Microsoft 365」Personal/Familyの契約に加えて「Copilot Pro」(月額3,200円)の契約が必要。安くはないが、ExcelやPowerPoint、Outlookなどでも利用できることを考えると、活用頻度によって価格以上の効果はあるはずだ。

想定するCopilotの利用シーン

 Copilotが便利なシーンは多岐にわたるという。提示された利用シーンを見てみよう。普段から会話型AIを利用している人も気付きがあるかもしれない。

日常生活

  • 旅行や休日の計画:おすすめの旅行先や穴場スポット、バリアフリーに対応しているかどうかなど、知りたい情報をピンポイントで収集する
  • 趣味に活用:筋トレのメニューや散歩コースの提案。おすすめ動画のまとめなどに活用する
  • 生活や日頃の悩み相談:料理やお菓子作りのレシピの提示、子どもからの素朴な質問への回答、話題のニュースなどをまとめてもらう
  • 画像検索:特定の画像に似た画像や、自分のイメージから食べ物や服、風景画像を探してもらう
  • 創作作業:メールやスピーチ原稿を下書きしてもらう
  • パーソナライズされたおすすめ情報:飲食店や書籍、映画、マンガなど、自分の好みに合うおすすめ情報を提示してもらう
  • 画像作成:SNS用のアイコンなどを作成してもらう

ビジネス

  • 要点のまとめ:欠席した会議やグループチャットなどの要点をまとめてもらう
  • 書類の自動作成:Word文書からプレゼン資料を作ってもらう
  • 文書の要約:長い文書から要点を箇条書きしてもらう
  • 考察の取得:大量のデータから要点を押さえた情報を取得して洞察してもらう

効果的なプロンプトの書き方

 Copilotなどの会話型AIに対する指示を「プロンプト」と呼ぶ。適切なプロンプトによって意図する回答が得られる可能性が高まる。3つのポイントが提示されたが、気軽に何度でもやり取りして回答にたどり着くのも正解と篠塚氏は語った。

目的を説明する

 何を解決したいのか、知りたいことを具体的に示すことが大切とのこと。複雑な指示は「利点を3つ」「欠点を3つ」などと、ステップを分けるのも効果的という。

「Microsoft Edge」でPDFファイルを表示した例。PDFの要約を指示した

場面と役割を設定する

 Copilot、もしくは自分の役割に沿って回答してもらう。例えば「先生のように」「マネージャー職として」といった具合だ。関連する具体的な状況を補足するのもおすすめとのこと。役割や状況は箇条書きにしてもいい。

Copilotで質問した。小学校の先生の役割を演じてもらった

回答の表現や出力方法を伝える

 かしこまった形式の挨拶やカジュアルなトーンの文章など、Copilotの回答の表現やトーンを指示できる。直前に生成された回答のトーンを整えてもらうこともできる。回答を表にまとめて出力するといった使い方も便利だ。

カジュアルな文体でメールの下書きを書いてもらった
Windows 10とWindows 11の違いを表にまとめてもらった。引き続き、生成された表をExcelで編集するコトも可能

仕事で活用するイメージ

 長い文書やPDF要約、Webサイトや動画のまとめ、翻訳、グラフの分析など、ビジネスでの活用シーンが数多く提示された。ただし、Copilotはあくまでも“副操縦士”の位置付けとのこと。専門家の知見に基づくような回答も得られたとしても、生成された回答の扱いは利用者の責任になることに注意したい。

アイデア出しの相手として利用するのも便利
テキストから画像を生成した例。無償のCopilotでは商用利用不可とのこと