短期集中連載
10年を超える定番クリーナー「CCleaner」を10倍使いこなす 第3回
エクスプローラの不要ファイル・レジストリエントリをクリーニング
(2014/7/3 12:50)
エクスプローラの不要ファイルを削除
「CCleaner」の“エクスプローラ”カテゴリーは、カテゴリー名が示す通りエクスプローラの使用時に生成される一時(テンポラリ)ファイルや、履歴を中心とした不要ファイルを対象にクリーニングを行う。いずれの項目もエクスプローラの利便性に直結するため、過度なクリーニングは使いにくくなる結果を招くことに留意すべきだ。
以下、“エクスプローラ”カテゴリー以下の削除項目をみていこう。
最近使ったファイル
“最近使ったファイル”はWindows 9x時代から使われてきた、直近の参照ファイル・フォルダのショートカットファイルを削除するというもの。Windows 7やWindows 8.1の場合、ショートカットは“%APPDATA%\Microsoft\Windows\Recent”フォルダに作成されるが、使用する場面はほぼ皆無だろう。そのため常に削除項目として選択してよい。
ファイル名を指定して実行(スタートメニュー)
“ファイル名を指定して実行(スタートメニュー)”は、[Win]+[R]キーを押すと現れるダイアログの履歴情報を削除する項目だ。キーボードでWindowsを操作してきた方にはおなじみの機能だが、こちらの履歴情報はレジストリの“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\RunMRU”キーに格納されている。
RunMRUキーには履歴内容をデータとしてもつ文字列値が並び、文字列値“MRUList”で履歴の順番を決めるという定番の管理方法。本項目ではすべての履歴をまとめて削除するため、利便性が低下する可能性がある。筆者としては削除対象から外すべき項目と思うが、個人の使用スタイルに応じて選択してほしい。
その他の[最近使ったファイル]リスト
“その他の[最近使ったファイル]リスト”項目は、エクスプローラが作成するMRU(Most Recently Used)リストを対象に削除を行うというもの。内容はファイルの検索やネットワークコンピューターの履歴など多岐にわたる。「CCleaner」は最初に“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\ComDlg32”キーにアクセスし、CIDSizeMRUなどのサブキーを検出。そして、各キーにあるバイナリ値を削除する仕組みだ。
各履歴情報の削除も利便性の低下が発生するため、お使いのスタイルに応じて選択するのが正解だろう。削除対象となるすべてのキーは以下の表をご覧頂きたい。ただし、Windows 8.1ではコンピューターの検索履歴を格納する“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\FindComputerMRU”キーは存在しないなど、OSによって違いもある。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\ComDlg32キー以下
レジストリキー | 概要 |
---|---|
CIDSizeMRU | 最近使ったアプリケーション |
FirstFolder | 最近使ったアプリケーションで保存したファイル名およびフォルダ |
LastVisitedPidlMRU | 最近使ったファイルの一覧 |
LastVisitedPidlMRULegacy | 〃 |
OpenSavePidlMRU | 「名前を付けて保存」ダイアログで開くフォルダ |
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\キー以下
レジストリキー | 概要 |
---|---|
FindComputerMRU | コンピューターの検索履歴 |
PrnPortsMRU | プリンターの検索履歴 |
Map Network Drive MRU | ネットワークドライブの使用履歴 |
ComputerDescriptions | コンピューターの説明 |
WordWheelQuery | エクスプローラの検索履歴 |
TypedPaths | エクスプローラのアドレスバー履歴 |
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Direct3D(DirectInput)キー下、およびHKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\DirectDraw\MostRecentApplicationキー下
レジストリキー | 概要 |
---|---|
MostRecentApplication | 最近使用したDirectX関連アプリケーション |
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Applets\Regeditキー以下
レジストリキー | 概要 |
---|---|
LastKey | レジストリエディタで開いていた最後のキー |
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Wallpaperキー以下
レジストリキー | 概要 |
---|---|
MRU | 背景画像の履歴 |
Images | 直接指定した背景画像のファイル名 |
サムネイル キャッシュ
“サムネイル キャッシュ”は、画像ファイルや動画ファイルといったメディアファイルをエクスプローラで表示する際に使われるサムネイル(縮小画面)のデータを削除するための項目だ。Windows 8.1の場合、データベースファイルは“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\Explorer”フォルダに“thumbcache_{サイズを示す数字}.db”ファイルが格納されており、「CCleaner」は個別指定と共に“thumbcache_*.db”とワイルドカードを使って削除している。ただし、スタート画面に並ぶタイルのキャッシュ情報と思われる“TileCacheDefault-{数字}.dat”は削除対象外だった。
さらにサブフォルダとして存在する“ThumbCacheToDelete”フォルダも削除対象に含まれる。こちらのロジックは精査していないため推測の域を超えないが、このフォルダにはエクスプローラが生成し、既に削除したメディアファイルのサムネイルデータが振り分けられているようだ。筆者の環境では数百以上の一時ファイルが格納されていたため、ディスクの空き容量確保に大きく寄与するだろう。
タスクバー ジャンプリスト
“タスクバー ジャンプリスト”は、Windows 7以降で導入された、タスクバーにピン留めしたボタンを右クリックすると現れるジャンプリストの項目を削除するというもの。「CCleaner」の以前のバージョンではピン留めした項目も削除してしまう不具合が混入していたが、現在は履歴を元に列挙される項目のみ削除される。
「Process Monitor」で観察すると、“%APPDATA%\Microsoft\Windows\Recent\AutomaticDestinations”や“%APPDATA%\Microsoft\Windows\Recent\CustomDestinations”といったフォルダに格納されるopendlg(automaticDestinations-ms)ファイルを、“Microsoft Strong Cryptographic Provider”を使って暗号解除し、“最近使ったもの”と“ピン留め”を区別して削除しているようだ。
ネットワークパスワード
“ネットワークパスワード”は、主にSMB(Server Message Block)で他のコンピューターを参照する際に使用する、ユーザー名およびパスワードが削除対象となる。現在の格納情報はコントロールパネルの「資格情報マネージャー」で確認可能。本項目を削除対象に加えると、“Windows資格情報”および“汎用資格情報”の一部が削除される。もちろんセキュリティ的には有益ながらも、利便性の低下につながるので筆者はお勧めしない。なお、“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Ftp\Accounts”キーに格納されたFTPサーバー接続時のユーザー名およびパスワードも削除される。
次回予告
次回は11項目にもおよぶ“システム”カテゴリーを解説する。興味をもたれた方はぜひご覧いただきたい。