山口真弘のおすすめ読書タブレット比較

新「iPad Air」と「iPad mini」は見た目がそっくり! 電子書籍を読むならどっちを買う?

両製品の使いやすさの違いを比較

 iPadのミドルクラス「iPad Air」に、新しく第5世代モデルが登場した。従来の第4世代モデルの外観を踏襲しつつ、CPUやメモリの強化を図ったモデルだ。

 この「iPad Air」は、現行の第6世代「iPad mini」とほぼ同じデザインを採用している。画面サイズは前者が10.9型、後者が8.3型と大きく異なっているが、使い勝手は酷似している。「iPad Air」を買うと決めていたのに、土壇場になって「iPad mini」のほうが自分に合っているのでは? と悩み出すケースは、その逆も含めて、意外とありそうだ。

 この両製品は、電子書籍ユースで、それぞれどのような使い方にマッチするのだろうか。今回はこの両製品の違いについてチェックしていきたい。なお表示サンプルには、「Kindle Unlimited」で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第6巻』を、許諾を得て使用している。

左が「iPad Air」、右が「iPad mini」。サイズは違うものの、デバイス自体の外観は酷似している

外観のデザインはそっくり。パフォーマンスには差あり

 まずはこの両製品の共通点について見ていこう。指紋認証センサーと一体化した電源ボタン(トップボタン)を採用しており、画面は上下左右のベゼル幅が均一のデザインを採用している。音量ボタンが電源ボタンと同じ面にあるか、違う面にあるかという違いはあるが、これは些細な差だろう。

本体を横向きにした状態で、「iPad Air」(左)はトップボタンが左側面、音量ボタンは上面にある。一方の「iPad mini」(右)はトップボタン、音量ボタンともに左側面にある

 ディスプレイの仕様も似通っている。どちらもLiquid Retinaディスプレイを採用するほか、輝度は最大500ニト、反射防止コーティング、フルラミネーションディスプレイ、True Tone テクノロジー対応といった仕様はまったく同一だ。

 CPUは、登場したばかりの「iPad Air」は最新のM1チップを搭載するほか、メモリ容量も多いことから、パフォーマンスについては「iPad Air」のほうが有利だ。とはいっても、「iPad mini」もそれまでの最上位であるA15チップを搭載しているので、エントリーモデルのiPad(A13チップ)と比べるとグレードははるかに上だ。

ベンチマークでの比較。Wild Life Extremeでは、「iPad Air」が「5026」、「iPad mini」が「2889」とかなりの差がある

 ストレージはどちらも64GBと256GBの2択で、12メガピクセルのカメラ、Wi-Fi 6対応、USB Type-Cコネクタ搭載といった仕様は共通している。バッテリーの持続時間もともに最大10時間と横並びだ。

 カラーバリエーションは、「iPad Air」のほうが一色多いものの、それぞれ4色、5色と、どちらもiPadの中では豊富なカラーバリエーションを備えている。これだけのバリエーションを持つモデルは他にないので、色にこだわって選ぶのならば、この「iPad Air」と「iPad mini」はどちらも適したモデルということになる。

 以上のように、パフォーマンスに若干の差はあるものの、画面サイズを除けば、外観はもちろんその仕様までも、共通する部分が多いことがわかる。むしろユーザーにとって気になるのはカラーバリエーションだったりするかもしれない。

コミック、雑誌……表示する内容によってどう違う?

 そんな両製品のいちばんの違いはなんといっても画面サイズだが、それによって使い勝手にどのような差が生じるだろうか。

 10.9型の「iPad Air」であれば、コミックの見開き表示も余裕で行えるほか、縦向きにすれば、雑誌の単ページ表示も行える。これより上のサイズとなると候補は12.9インチiPad Proしかなく、価格は10万円をオーバーするので、雑誌表示においては「iPad Air」は現実的な選択肢と言える。さらに技術書などの表示にも向いている。

「iPad Air」でコミックを見開き表示したところ。原寸大とまでは行かないが、かなり近いサイズで表示できる
「iPad Air」で雑誌を表示したところ。単ページ表示であれば、細かい文字も問題なく読める

 一方の「iPad mini」もコミックの見開き表示は可能だが、1ページのサイズが文庫本より小さくなってしまう。スマホで表示するのに比べると1ページあたりのサイズははるかに大きく、解像度も326ppiと高いためクオリティ自体は問題ないが、10.9型の「iPad Air」と並べると小さい印象は否めない。見やすさを優先するならば「iPad Air」だろう。

「iPad mini」でコミックを見開き表示したところ。ページのサイズは文庫本並になるが、クオリティ自体は問題ない
単ページ表示にすると、見開き表示した「iPad Air」(左)よりもページのサイズがひとまわり大きくなる。原寸大にこだわるならばこちらだろう

 もっとも「iPad Air」は重量が461gあるのに対して、「iPad mini」は293gと、スマホ約1台分もの重量差がある。「iPad mini」であれば、片手で長時間持っていても苦にはならないが、「iPad Air」はそうはいかない。画面が多少小さくても軽さを優先したい場合は、「iPad mini」のほうが向いている。

「iPad mini」はテキストコンテンツの表示にもぴったりだ

電子書籍ユースでは「画面サイズの差」だけと考えてよい

 このように両製品の差は、少なくとも電子書籍ユースでは、画面サイズの違いと、それに伴う重量差に限定されると言っていいだろう。細かい相違点をあれこれと探すのは簡単だが、この2製品については、ほかに決定的となる違いはない。パフォーマンスの差も、電子書籍ユースで気になることは少ないだろう。

 従って画面サイズだけで選んでしまって差し支えないわけだが、大きければ大きいほどよいわけではないことには注意したい。小さいほうが軽くて済むのはもちろんだが、電車の中などで使う場合、コンパクトなほうが周りから覗き込まれずに済むという利点もある。

 その一方で、どれだけ軽くて持ち歩きやすくても、老眼ゆえ「iPad mini」の画面サイズはきついという人もいるはずだ。こうした用途の違いや個人の特性に応じて、「iPad Air」か、それとも「iPad mini」かという最適解は変わってくる。

上が「iPad Air」、下が「iPad mini」。サイズ以外の差はそれほどないだけに、用途や個人の特性に応じて選びたい

 ただし同じ容量で比較した場合、両製品の価格差は1万5千円と無視できない差があるので、最終的にこれが決め手になる可能性はあるだろう。もし「iPad Air」を選ぶつもりでいながら価格がネックになる場合は、エントリーモデルのiPadも検討したいところ。これについては別の機会にあらためて紹介したい。