山口真弘のおすすめ読書タブレット比較

目が疲れにくい端末はどっち? 「iPad Air」vs 電子ペーパーAndroid

 電子書籍を読むにあたって懸念されるのは、目が疲れることだ。スマホやタブレットの画面を長時間見ていると目が疲れやすいという人にとって、紙から電子への移行はどうしてもネックになる。

 こうした場合、目に優しいことを最優先に、デバイスを選ぶのもひとつの方法だろう。今回は、目が疲れる要因をリストアップしつつ、それらに効果的な端末を考えてみたい。

 なおコミックのサンプルは、「Kindle Unlimited」で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第5巻』を許諾を得て使用している。テキスト本のサンプルに使用しているのは、夏目漱石著『坊っちゃん』だ。

今回は目に優しい読書端末として、Appleの「iPad Air」(奥)、Onyxの「BOOX Note Air」(手前)の2製品を中心に紹介する

10型クラスの画面サイズは最低限必要

 ひとくちに「目に優しい」といっても、その意味は千差万別だ。端末のメーカーがアピールする「目に優しい」機能が、自分にとってまったく効果を感じられないこともあれば、自分にとって「目に優しい」と感じられた方法が、他の人にとっても有効とは限らない。よかれと思って取った対策が、逆効果になることもありうる。

 このように一概に「これがいい」と言える方法がない中、比較的多くの人から同意を得られやすいであろう条件が「一定以上の画面サイズを備えること」だろう。もともと電子書籍は、文字サイズを見やすいように変更できるため、スマホであっても見やすいサイズに調整するのは容易だが、とはいえ一画面にたった数行しか表示できないようでは、快適な読書は望めない。

 またページ全体が画像化されたコンテンツとなると、文字サイズを大きくするにはページ全体を拡大しなくてはならず、全体を一画面に収めるには、どうしても一定以上の画面サイズが必要になる。単行本を見開きで表示できるサイズを基準にするならば、10型前後がひとつの目安になるだろう。12.9インチiPad Proのような13型クラスも魅力だが、重すぎるという別の問題が発生するので、万人には勧めにくい。

文字サイズを大きくするだけならば一般的なスマートフォン(右)でも可能だが、さすがに一画面あたりの文字数が少なすぎて読みづらい。できれば10型クラスのタブレット(左)を選びたいところ

 こうした条件に、動作のスムーズさや、価格などの条件を加味して考えると、現時点でお勧めの筆頭に挙げられるのは「iPad Air」だろう。iPadの下位モデルにはない反射防止コーティングも施されているため目に優しく、指紋認証を用いて休止状態からすばやく読書を始められるのも利点だ。このサイズのタブレットとしては軽量(458g)なのもよい。

 価格は69,080円からと決して安くはないが、ほぼ同じ外観の上位モデル「11インチiPad Pro」が94,800円からと高価で、主な違いがカメラ機能であることを考えると、こちらのほうが電子書籍向きだろう。ただし電子書籍のある用途においては、このiPad Airよりも、上位の11インチiPad Proのほうがおすすめできる部分もある。のちほど詳しく紹介する。

「iPad Air」。現行モデルは第4世代に相当する
10型クラスともなると、コミックの見開き表示も問題なく対応できる
電源ボタンと一体化したTouch ID(指紋認証)によってすばやくロック解除が行えるのはiPad Airの利点の一つだ

目が疲れるなら是非試してみたいE Ink電子ペーパー端末

 画面サイズや文字の大きさとは無関係に、光を発している画面をずっと見続けていると目の奥が痛くなるということであれば、iPadのような液晶タブレットではなく、E Ink電子ペーパー端末を選択するのもひとつの方法だ。

 Amazonの「Kindle」に代表されるE Ink電子ペーパー端末であれば、紙のような質感で、印刷物に近い感覚で読書を楽しめる。画面がカラーではなくモノクロであること、また定期的にリフレッシュと呼ばれるページ全体の白黒反転が挟まるといった独特の挙動はあるが、初期のモデルに比べてこれらはかなり控えめになっており、目への負担は液晶タブレットと比べて明らかに軽い。

 また最近のE Ink電子ペーパー端末は、フロントライト機能を搭載しており、暗い場所での読書も楽しめる。液晶タブレットが採用するバックライトは、画面の裏から目に対して光がダイレクトに照射されるのに対して、E Inkのフロントライトは画面の上下からスクリーンだけを照らすので、まぶしく感じることがない。

 前述のiPad Airと同等の画面サイズを備えつつ、こうしたE Inkならではのメリットを享受したければ、Androidを搭載したE Inkタブレット「BOOX」の10.3型モデル「BOOX Note Air」がおすすめだ。一般的なAndroidタブレットと異なり、Google Playストアを使うためのセットアップはやや難解だが、Androidアプリがリリースされている電子書籍ストアのほとんどが利用できる。

「BOOX Note Air」。前述のiPad Air(6.1mm)よりも薄い5.8mmのボディが特徴だ
こちらもコミックの見開き表示に問題なく対応できる。もちろん縦向きでの表示も可能だ

 画面サイズと解像度、重量は前述のiPad Airとおおむね同じであるほか、2色のフロントライト(寒色・暖色)を切り替えられる。価格は59,800円と、こちらも決して安価ではないが、前述のiPad Airよりはリーズナブルで、かつスタイラスペンが標準で付属するなどの付加価値もある。目への負担に加え、複数の電子書籍ストアを使いたい場合は、魅力的な選択肢だ。

フロントライト機能により、暗所での読書にも対応する。液晶のバックライトと違って目に優しいのが特徴だ
フロントライトは暖色にも切り替えられる。この写真では最大値にしているが、スライダで自由に色合いを調整できるので、目に負担が少ないと感じる色で固定しておくとよい
左がiPad Air、右がBOOX Note Air。画面サイズはほぼ同等だ
コミックでの比較。黒の深みについては液晶に軍配が上がる

「ダークモード」と「リフレッシュレート」はチェックすべし

 続いては「目に優しい」をもう少し突き詰めて、機能別に見ていこう。

 目への負担を軽くする機能として、最近のスマホやタブレットで搭載例が増えつつあるのがダークモードだ。ページ全体を白ではなく黒を基調としたデザインに置き換えることで、画面の眩しさを抑え、さらに画面の消費電力を抑えられるメリットもある。

 就寝前に枕元などで読書するにあたり、画面が眩しくて困るようであれば、これを用いてみるのはひとつの手だ。最近はOS側でなく、電子書籍アプリ側でもこのダークモードに相当する機能を備えていることが多いので、探してみるとよい。

 なお言うまでもないが、コミックなどでは白黒を反転させると読めなくなってしまうので、対象となるのは基本的にテキストコンテンツのみだ。また前述の「BOOX Note Air」のようなE Inkデバイスは、ダークモード自体の表示はサポートしていても、画面が光を発するわけではないので、目への負担の軽減という点ではあまり意味がない。

iPad AirのKindleアプリで、ページの色を黒に指定した状態。このほかセピア調などへの切り替えも可能。多くの電子書籍アプリでは、こうした背景色の切り替えに対応している

 もうひとつ、目の疲れに影響している可能性があるのが、ディスプレイのリフレッシュレートだ。リフレッシュレートは画面の書き換えの頻度を表したもので、60Hzであれば1秒に60回、120Hzであれば1秒に120回、画面の内容が書き換わる。書き換わる回数が多ければスクロールは滑らかになるし、少ないとカクついた動きになる。アニメのコマ数と同じだ。

 電子書籍の場合、ライブラリの中から本を探す時はページめくりではなくスクロールを行うことになるが、リフレッシュレートが高いと表紙の内容を保ったままスクロールできるのに対し、リフレッシュレートが低いとスクロール中は表紙の文字を読み取れないばかりか、目に負担がかかり、あまり画面を注視しすぎると、乗り物酔いに似た症状が出たりもする。

 一般的に低価格のスマホやタブレットはリフレッシュレートが低いため、結果的に目が疲れやすくなりがちだ。電子書籍でページをめくる動きでは画面全体がいちどに書き換わるのであまり影響はないが、ライブラリをスクロールする場合や、さらに最近増えつつある、縦スクロールのコミックは要注意といえる。

 ちなみにこのリフレッシュレートの違いは、実物だと一目瞭然なのだが、動画ではなかなか違いを伝えにくいのが難しいところ。以下の動画は、左がiPad Air(60Hz)、右がiPad Pro(120Hz)で比較したもので、左はスクロールが終わるまで書影やタイトルが読み取りにくいのに対して、右はある程度は判別できる。どのくらい伝わるかは定かではないが、ニュアンスは汲み取れるはずなので、参考までに見てほしい。

【【動画】左がiPad Air(60Hz)、右がiPad Pro(120Hz)で、同じページをスクロールしている様子。左がややカクついているのに対して右は滑らかなのだが、違いがおわかりいただけるだろうか】
iPad Air(60Hz)とiPad Pro(120Hz)の差を同じページをスクロールして確認する

E Inkならば各電子書籍ストアの専用端末という選択肢も

 最後に、「iPad Air」と「BOOX Note Air」以外の選択肢も紹介しておこう。

 E Ink電子ペーパー端末は魅力的だが、10型ほどのサイズは求めないというのであれば、7型のスクリーンを備えたKindleの最上位モデル「Kindle Oasis」が候補になる。Kindleストアに特化しているぶん動作は高速で、ことレスポンスだけでいえば、前述のBOOXよりも圧倒的に速い。またコストも、29,980円からとやや控えめだ。

「Kindle Oasis」。タッチやスワイプのほか、専用ボタンでページがめくれるのも利点だ

 利用している電子書籍ストアが楽天Koboであれば、この6月に登場した10.3型の「Kobo Elipsa」という選択肢もある。専用機でありながらページめくりボタンがないのはマイナスだが、画面サイズを優先するならばありだろう。動作速度も、ほかのKobo端末に比べるときびきびしている。価格は46,990円と安くはないが、スタイラスペンおよびケースが付属するので、電子ノートなどの機能も併用する前提であれば、割高な印象はない。

「Kobo Elipsa」。画面サイズはiPad AirやBOOX Note Airとほぼ同等。フロントライトは1色(寒色)のみ

 前述の「BOOX Note Air」のような汎用タイプで、画面サイズがもう少しコンパクトでよければ、BOOXの7.8型モデル「BOOX Nova3」も選択肢に入ってくる。こちらは電子書籍ストアを問わず使えるのが利点だが、チューニングが行き届いた専用機に比べるとレスポンスは劣る。Kindleまたは楽天Kobo「だけ」を使っているのであれば、前述のKindle OasisやKobo Elipsaのほうが、満足度は高いはずだ。

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