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「Google Chrome」から10周年、新デザインをまとった「Google Chrome 69」が正式公開
HTTPSサイトで表示されていた“保護された通信”ラベルは撤去。40件の脆弱性も修正
2018年9月5日 08:00
米Googleは9月4日(現地時間)、「Google Chrome 69」を正式公開した。初めてのベータ版リリースからちょうど10年という節目を迎えた本バージョンでは、すべてのプラットフォーム(デスクトップ、Android、iOS)で新しいデザインが導入されたほか、さまざまな機能強化や改善が行われている。
「Google Chrome 69」の新しいデザインは、丸みを帯びた形、新しいアイコン、新しい配色が特徴。たとえばタブはサイトのアイコンが見やすくなるよう角丸型に改められ、アクティブなタブ以外は縦線で区切られるだけの、タブバーに溶け込んだデザインとなった。検索機能とアドレスの表示機能を兼ねた“オムニバー”や、アイコンをマウスオーバーさせると現れるハイライトも、丸を基調としたデザインになっている。また、タブバーに飛び出していたアカウントアイコンはツールバーに移され、設定ボタン(縦に点が3つ並んだアイコン)の左隣りに配置された。
“オムニバー”のアドレス表記も、「Google Chrome 69」ではずいぶんシンプルになっている。これまでHTTPSサイトで表示されていた“保護された通信”ラベルは撤去され、鍵アイコンが表示されるだけとなった。GoogleはWebサイトのHTTPS化を強力に推し進めており、HTTPS接続を“当たり前”のものとして扱う方針を打ち出している。いずれはこの“鍵”アイコンすら廃止される見込みだ。
機能面における新要素としては、“CSS Scroll Snap(スクロールスナップ)”や“Display cutouts(画面の切り欠き)”、“Web Locks API”のサポートが挙げられる。
スクロールスナップは、要素をスムーズにスクロールして所定の位置でピタッと止める機能を実現する。こうした機能は従来JavaScriptで実装されることが多かったが、これからはスタイルシートだけで簡単に記述できるようになる。
一方、画面の切り欠きのサポートは“iPhone X”をはじめとする“切り欠き(ノッチ)”のある端末や、スマートウォッチなど角丸や円形のデバイスが増えたことをうけた動きだ。「Google Chrome 69」ではスタイルシートで環境変数を利用する“CSS env()”が実装されており、それを参照して端末独自のディスプレイ形状へWebページを最適化させることができる。
最後の“Web Locks API”は、スクリプトで非同期にロックを取得できるようにしたもの。共有リソースを扱う際に重要となる機能だ。そのほかにも“CSS4”の円錐グラデーションなどがサポートされている(参考記事)。
なお、本バージョンでは40件の脆弱性が修正されているので注意。脆弱性の深刻度の内訳は、同社基準で4段階中上から2番目の“High”が7件、上から3番目の“Medium”が13件、最低の“Low”が2件などとなっている。
「Google Chrome」はWindows/Mac/Linuxに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10で利用できる。「Google Chrome」は自動更新機能を備えているが、長期間起動したままで利用している場合や、アップデートを自分で管理している場合は、最新版への更新を怠らないようにしたい。