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3週間ぶりの「Windows 11」Devチャネル更新は内容盛りだくさん

新しい「Outlook」を同梱、ローカルファイル共有・OOBEを改善したBuild 23506

「Windows 11 Insider Preview」Build 23506(ni_prerelease)がDevチャネルでリリース

 米Microsoftは7月19日(現地時間、以下同)、「Windows 11 Insider Preview」Build 23506をDevチャネルでリリースした。ISOイメージファイルARM64仮想マシン、対応する開発キット(SDK)もダウンロード可能。先月29日以来のリリースとなる本ビルドでは、多くの新機能や改善が導入されている。

「Windows Hello for Business」によるパスワードレス体験

 「EnablePasswordlessExperience」ポリシーを設定すると、デバイスのログオンだけでなく、Webブラウザーのパスワードマネージャーやユーザーアカウント制御(UAC)のようなセッション内の認証シナリオでパスワードが不要に。ユーザーはパスワードの代わりに「Windows Hello for Business」(WHFB)で認証を行える。

 ユーザーがサインインに失敗した場合はPINリセットなどのリカバリーメカニズムが利用可能。ITヘルプデスクが関与しなくても、ユーザー自身で認証情報をリカバリーできる。

安全でないパスワードのコピー&ペースト警告

安全でないパスワードの取り扱いを警告

 「Windows 11 バージョン22H2」以降、「Microsoft Defender SmartScreen」には強化されたフィッシング保護が導入されており、ユーザーをだましてWebサイトやアプリへ職場や学校のパスワードを入力させようとする攻撃を防いでくれる。

 本ビルドでは、「Windows セキュリティ」アプリの[アプリとブラウザー コントロール]-[評価ベースの保護]-[フィッシング保護]ページに新しいオプションが追加されており、入力だけでなくコピーと貼り付けも警告できるようになった。

「Windows セキュリティ」アプリの[アプリとブラウザー コントロール]-[評価ベースの保護]-[フィッシング保護]ページ

ローカルファイル共有の改善

 ローカルファイルで[共有]コマンドを実行した場合にあらわれる共有ウィンドウと、その仕様をいくつか改善。

  • 共有ウィンドウのデザインをアップデート。Windows 11のデザインとマッチするように
  • 「Outlook」共有を追加
  • 検索ボックスで「Outlook」の連絡先を検索できるように。提案される連絡先の候補も増加
  • [近距離共有]のコントロールはドロップダウンではなく有効化ボタンに
  • [近距離共有]で検出されたデバイスは自分のPCが優先掲載される
  • Wi-Fiダイレクトで高速な共有が可能に
  • 「エクスプローラー」のファイルコンテキストメニューに[共有]が追加

 これらの改善はデスクトップ、「エクスプローラー」、「写真」、「Snipping Tool」、「Xbox」、その他Windows内蔵の共有ウィンドウを使用するアプリでローカルファイルを共有する際に体験できる。

ローカルファイル共有の改善

新しい「Outlook for Windows」がインボックスアプリに

 以前よりアナウンスされていた通り、Windows 11標準の「メール」「カレンダー」アプリは2024年に終了し、新しい「Outlook」アプリへと置き換わる。

 本ビルドではそれに先駆け、新しい「Outlook for Windows」アプリがシステムに同梱された。旧アプリも依然利用できるようだ。

OOBE後の体験

 本ビルドより「OOBE」(Out of Box Experience)の終了後に新しいエクスペリエンスを追加するテストが実施される。以下の3つが自動で起動されるとのこと。

  • エクスペリエンスのカスタマイズページで「開発」を選択すると、OOBEセットアップ後に初めてデスクトップへ到達した際、「Dev Home」アプリが自動で起動する
  • エクスペリエンスのカスタマイズページで「開発」を選択すると、OOBEセットアップ後に初めてデスクトップへ到達した際、「Get Started」アプリが自動で起動する。「Dev Home」アプリの使い方を学ぶことが可能
  • OOBE中にデバイスのリストアを選択した場合、OOBE終了後、デバイスに2回目のログインをすると、「Get Started」アプリが自動で起動する。[スタート]メニューやタスクバーで復元されたアプリにアクセスする方法などを案内

 これらのエクスペリエンスは、一部のユーザーのみに展開される。また、今後さまざまなバリエーションがテストされる可能性があるとのこと。

オートカラーマネージメント(Auto Color Management:ACM)の拡張

 昨年秋に一部の認定ディスプレイと特別にプロビジョニングされたSDRディスプレイで有効化されていたオートカラーマネージメントが拡張され、DevチャネルのユーザーはSDRディスプレイでACMを有効化できるようになった。Windowsアプリケーションが色管理されているかどうかにかかわらず、サポートされているすべてのディスプレイ上で正確かつ一貫して表示されるようになる。

そのほかの変更

 そのほかにも、多くの変更が行われている。

  • Build 23493でロールアウトを開始した「Windows Copilot」プレビューをすべてのDevユーザーに開放。ただし、OSの再起動が必要なことも
  • カラーフォントフォーマットを「COLRv1」へアップデート。3Dのような外観を持つリッチな絵文字を表示できるように
    カラーフォントフォーマットを「COLRv1」へアップデート
  • ロック画面のアクセシビリティのフライアウトからも音声アクセスが利用可能
  • セカンドチャンスアウトオブボックスエクスペリエンス(SCOOBE)でバックアップの環境設定が行えるように
    セカンドチャンスアウトオブボックスエクスペリエンスでバックアップの環境設定
  • Build 23493で導入された「設定」アプリのホーム画面は安定性に欠けるため、一時撤回。不具合が修正され次第、再度有効化される
  • 「エネルギーに関する推奨事項」(Energy Recommendations)を拡充。ダークモードを有効化するオプションと、リフレッシュレートを調整するオプションを追加
    「エネルギーに関する推奨事項」を拡充

 「Windows Insider Preview」は、製品としてリリースされる前のプレビュー版のOSを試すことのできるパイロットプログラム。なかでもDevチャネルは開発チームのアイデアを試す場となっており、さまざまな新機能に触れることができる。

 ただし、ここで試される機能はあくまでも実験的なもので、製品版に導入されるとは限らないほか、製品ビルドに比べると不安定なので、利用の際は注意したい。また、機能の一部は段階的に展開されるため、すぐには利用できない可能性がある。