ニュース

「Visual Studio 2022」v17.8が公開 ~「GitHub Copilot」も一緒にセットアップ可能

C++ゲーム開発、F#、.NET/C#などで多くの機能改善

「Visual Studio 2022」v17.8

 米Microsoftは11月14日(現地時間)、統合開発環境「Visual Studio 2022」の最新版v17.8を公開した。本バージョンでも多くの改善が行われている。

生産性の向上

 「Visual Studio 2022」v17.8では、「GitHub Copilot」自動補完がオプションのコンポーネントとして利用できるようになった。「Visual Studio 2022」を新規インストールする際、一緒に導入できて便利だ。「Visual Studio Installer」を使って、既存の「Visual Studio 2022」へ追加することもできる。

「GitHub Copilot」自動補完がオプションのコンポーネントとして利用できるように

 なお、「GitHub Copilot」を有効化するにはサブスクリプションの購入が必要。

 さらに、比較と差分(Diff)機能に概要(サマリー)ビューが追加された。このビューを利用すれば、前後数行の文脈とともにファイルの変更点のみをコンパクトに表示できる。コミットで変更点をレビューしたい場合や、差分を大量にチェックしなければならないときに役立つだろう。

比較と差分(Diff)機能に概要(サマリー)ビューが追加

 そのほかにも、以下の機能が導入されている。

  • プルリクエストの作成:「Visual Studio」内でプルリクエストを作成。レビュアーを追加し、Markdownで説明を編集できる
  • 大文字小文字を保持した検索・置換
  • マルチリポジトリの上限増加:アクティブなリポジトリの数が10では足りないというフィードバックに応え、ソリューションで一度に最大25のリポジトリを扱えるように
  • リモートLinuxユニットテストのサポート:テストエクスプローラーからリモートLinuxマシンの「CTest」および「GTest」テストをローカルテストと同じように実施
  • グローバル関数のstatic化を提案
  • 「include」ディレクティブのクリーンアップと並び替え:未使用のディレクティブは淡色表示に。カーソルオーバーで電球メニューが表示され、削除が可能
  • Visual Studioのアップデート通知:タスクバーアイコンにアップデートがあることを知らせるインジケーターアイコン
  • 「GitHub」アバターを「Git」リポジトリウィンドウのマルチブランチグラフで確認
  • 「Teams」アプリ開発の改善。「Echo Bot」やカスタム検索結果など、より多くの種類のアプリを開発可能に
大文字小文字を保持した検索・置換

C++ゲーム開発

 最近の「Visual Studio 2022」では、C++言語を利用したゲーム開発で多くの改善が行われている。これにはゲームエンジン「Unreal Engine」向けの強化も含まれる。

  • 出力ウィンドウと新しい問題の詳細ウィンドウで構造化された診断を表示。エラーがわかりやすく
  • 「CMake」ターゲットビューの改善
  • コードをコンパイルすることなくクラス、構造体、共用体、基底型、列挙型などのデータ型のサイズとアライメントをツールチップで表示
  • メンバー関数をconstにするヒント
  • C++23で標準化された標準ライブラリモジュールがC++20モードで利用できるように
  • 「Unreal Engine Test Adapter」でIDEを離れることなくテストプロセスを効率化
  • 「Unreal Engine」コードスニペット
  • 「Unreal Engine」マクロのサジェスト。まだ実験的な機能だが、要望の多さに応えて実装、順次提供へ
  • 「Build Insights」が「Visual Studio 2022」に統合。関数生成に関連する追加情報を確認したり、新しい関数ビューでコンパイルにかかる時間や関連する「ForceInlines」の数が表示される
  • C11スレッドのサポート
  • リモートファイルエクスプローラーの更新。通常のソリューションエクスプローラーに近い挙動に

F#

 F#言語ではオートコンプリートの改善に注力されており、入門者がよくやりがちなミスを指摘したり、不要な情報を減らす工夫が凝らされている。開いていないファイルの診断を有効化するオプションも導入されているが、これはパフォーマンスを考慮し、既定では無効となっている。

.NET/C#

 .NET/C#言語関連では、以下の改善が行われた。

  • .NET カウンター ツールが診断ウィンドウで利用できるように。デバッグセッションでもパフォーマンスの測定と分析が可能に
  • HTTPリクエストで秘密キーを安全に扱う機能
  • Meters APIを介した.Net カウンターをサポート
  • 「Visual Studio Profiler」で「BenchmarkDotNet IDiagnosers」をサポートするよう

JavaScript/TypeScript

 JavaScript/TypeScriptに関しては、「launch.json」がサポートされた。ワークスペースの「.vscode」フォルダーに配置すれば、デバッグターゲットのドロップダウンメニューで選べるようになる。

そのほかの改善

 そのほかにもデバッグと診断、テストプロファイリング、Razorツール、エンタープライズ向けのアップデート管理などで多くの改善が盛り込まれた。.NET コードを調査してコードカバレッジの高いテストスイートを生成する新しい「IntelliTest」(プレビュー)も含まれている。

 「Visual Studio 2022」は現在、「visualstudio.microsoft.com」からダウンロード可能。大規模チーム向けの「Enterprise」、小規模チーム向けの「Professional」、学生・入門者・オープンソース貢献者向けの「Community」といった3つのエディションが用意されており、エンタープライズ組織(PCが250台超または年間収入が100万米ドル超)でなければ「Community」版は無償で利用できる。