レビュー

プログラミング向けフォントの新しい選択肢「0xProto」

トレンドを押さえつつも、可読性とデザインに独自の工夫。控えめな合字活用もちょうどいい

「0xProto」v1.000

 「0xProto」は、プログラミングに適した等幅の欧文フォント。「GitHub」でホストされているオープンソースプロジェクトで、現在プロジェクトのリリースページから無償でダウンロードできる。

 ソースコードやターミナルでの可読性を重視した等幅フォントとしては「FiraCode」「Cascadia Code」「Ricty」などが知られる。それぞれに一長一短があり、どれを選ぶか悩ましいが、そこに加わった新しい選択肢が「0xProto」だ。

 「0xProto」はリリースされたばかりの後発フォントだけに、最近のトレンドをきっちり押さえている(日本語での利用を除き)。「I」(iの大文字)「l」(Lの小文字)「1」(数字)といった形がよく似た文字は、ヒゲを強調するなどして見分けがつきやすいようになっている。

紛らわしい文字も見分けがつきやすいデザイン

 また、外に向かって少し丸みを帯びたデザインになっているのも特徴。これは文字の内側により広い空間を確保することで、小さな文字サイズでもできるだけ視認しやすいように意図したものだ。小さな画面により多くのテキストを表示したいとフォントサイズを小さめにしているプログラマーにはうれしい配慮といえるだろう。ところどころユニークなデザインが採用されているのは、等幅フォントは通常の書体に比べて字画の密度が不均一で、ターミナルなどに表示したときに明るいとことと暗いところのバランスがとれていないという問題意識から。視覚的なバランスにも配慮されている。

少し丸みを帯びたデザインが可読性の向上につながっている

 一方、「合字」(リガチャー)を活用した演算子の表現に関しては少し保守的だ。たとえば「FiraCode」は「!=」や「=>」といった演算子を、意味を考慮して「≠」「⇒」と合字レンダリングする。最近のバージョンでは、テキストで表現したプログレスバーやプログレスリングを本物のコントロールかのように描画することさえできるが、「0xProto」ではこれを行き過ぎた合字の活用であると否定。最近のトレンドとして受け入れてはいるものの、本来の字形を失わない程度にとどめている。

「合字」(リガチャー)の活用は控えめ。元の文字がわからなくなるほどには使わない

 「0xProto」の魅力は、プログラミング向けフォントのトレンドを押さえつつも、可読性とデザインに関し独自の工夫を凝らしていることだ。また、流行を取り入れつつも、行き過ぎている部分に関しては拒否するバランスの良さも好印象といえる。ライセンスは比較的縛りの緩い「OFL-1.1」なので、これをベースにした日本語向けのフォントが登場することにも期待したい。

ソフトウェア情報

「0xProto」
【著作権者】
0xType
【対応OS】
(編集部にてWindows 11で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.000(23/05/29)