Blender ウォッチング
VRMモデルの服から体がはみ出す現象を「Blender」で解決!
ウェイトペイントモードでの「ウェイト転送」と「編集」の使い方
2022年2月18日 06:55
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
今回は前回装着したエプロンと下の制服との干渉を減らすため、ウェイトペイントモードで調整を行います。
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作業ファイルには、プロ生ちゃんこと「暮井 慧」をサンプルファイルに使用されていただいています。許諾をいただいたPronama LLC様、VRMモデルを公開されている120様に感謝いたします。
このサンプルファイルは120様作成のVRMモデルを.blendファイル化した物に少し手を入れているため、公式の.blendファイルとは差異があります。使用条件については下記をご覧ください。
「サンプルキャラクターモデル」のblendファイルをダウンロード(※)
※ダウンロード数が少ないため、Webブラウザーによってダウンロードがブロックされる場合があります。その場合はリンクの右クリックメニューからファイルの保存を行い、警告が表示されても[継続]などの項目を選択して保存してください。
「Blender」のバージョンは以前と同様「Blender 2.93LTS」を使用します。
ウェイトの転送
上ではウェイトを調整すると書きましたが、Blenderでは確認できないスカート周りの調整は地獄になること必至なので、「キャラクターモデル」にすでに設定済みの「ウェイト」をコピーすることにします。これにはスカートの下に隠れる衣服との干渉がほぼなくなるメリットもあります。
画面左上のプルダウンリストが[オブジェクト]モードになっていることを確認し、まずプロ生ちゃんをクリックして「PronamaChan.baked」という キャラクターメッシュオブジェクト を選択します。今回は アーマチュア ではないことに注意してください。
次に[Shift]キーを押しながら「エプロン」をクリックし、追加で選択します。
[3Dビューポート]左上から[ウェイトペイント]モードに入ります。この2つは前回も行いましたね。
モードを切り替えるプルダウンリストの右側にある[ウェイト]メニューから[ウェイトを転送]を実行します。
[3Dビューポート]左下に[メッシュデータの転送]と書かれたバーが表示されますので、クリックして展開します。
これは以前にも書きましたが、[最後の操作を調整]パネルといい、直前のツールの設定やオプションを変更して再実行できる機能です。
ここの[転送元レイヤーの選択]プルダウンリスト(画面では「転送元レイヤーの…」)を、[名前]に変更します。
これで「キャラクターモデル」の全頂点グループのウェイトが、「エプロン」に転送されます。
ちなみに前回の「自動ウェイト設定」は無駄ではありません。もし「ウェイト転送」のみを行った場合はスカートより丈の長いエプロン先端にウェイトが転送されず、エプロンの裾が動かなくなります。
頂点グループの確認と整理
これでウェイトの転送はできましたが、その確認はどうすればいいのでしょう。前回の「自動ウェイト設定」で設定した分も残っているため、単純にボーンで確認してみても意味はありません。そこで、各頂点を直接確認してみます。
[Tab]キーまたはモードを選択するプルダウンリストみから[編集]モードに変更し、隣のアイコンから[頂点選択]を選びます。
[3Dビューポート]右上の端にある小さな「≺」型アイコンをクリックして左の[サイドバー]を展開します。
左クリックで図の頂点を選択します。すると、[サイドバー]から伸びる[頂点ウェイト]パネルに、現在の頂点に設定されている「頂点グループ」とその「ウェイト」が表示されます。
このように大量の頂点グループが表示されていれば、転送は成功しています(なお「Blender 3.0」では「0.0」のグループが作成されないため、違う結果になります)。
この頂点グループの大半は「ウェイト」が「0.0」の不要な頂点グループで、動作には支障はないものの、綺麗にしておいた方がいいでしょう。
[Tab]キーなどで[ウェイトペイント]モードに戻し、[ウェイト]メニュー→[クリーン]を実行し、[最後の操作を調整]パネルの[使用部分]を[All Groups]にすれば消すことができます。
VRMエクスポートと「3teneFREE」での確認
早速VRMエクスポーターで出力し、「3teneFREE」で確認してみましょう。全体的に改善されましたが、「お願い」などの一部のモーションで裾が変になっていますので、これを直してみます。
エクスポートには「VRM Addon for Blender」を使用しています。スクリプト作者の皆様に感謝いたします。
アドオンの導入方法については以前の記事でご確認ください。
ウェイトペイントモードによる調整
「アーマチュア」と連携してウェイトの編集を行う準備をします。
- [3Dビューポート]左上から[オブジェクトモード]に戻します。
- 「アーマチュア」を選択します。
- 左側の[プロパティエディター]を[アーマチュアプロパティ]タブに切り替えます。
- [ビューポートの表示]エリアの[最前面]チェックボックスをONにします。
そして再び[Shift]+クリックで「エプロン」を選択し、[ウェイトペイント]モードに切り替えます。
下図のように画面右の太ももの「ボーン」(Foot.L)を[Ctrl]+クリックします。
裾の部分が少しだけ色が変わっていますね。太もものボーンの影響がここにあるのが原因なので、画面上部の[ツールの調整]バーの[ウェイト]を「0」にし、この部分をドラッグで消してしまいしょう。
同様に反対側のボーン(Foot.R)も選択し、こちらのウェイトも消してしまいましょう。
ではいったん保存後、再びVRMエクスポーターで出力し、「3teneFREE」で確認します。今度は問題ないようです。
終わりに
ほかにもエプロンと脚とのコリジョン(衝突判定)もどうにかしないといけないのですが、ひとまずはこの辺で終わりにさせていただきます。コリジョンについては機会があれば解説してみたいと思います。お疲れさまでした!