Blender ウォッチング
アップデートされた「Tripo AI for Web」を試す ~プロンプトや画像を3Dモデル化
新機能の使い勝手は……?
2025年1月16日 06:55
本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。
以前にご紹介した、Webサービス「Tripo AI」が、昨年11月末に大幅な更新を行いました。
当時、筆者は「Blender」本体のリリース直後で忙しくて触れられなかったため、遅ればせながら再レビューしてみようと思います。
Tripo AIとは
「Tripo AI」は、機械学習により、テキストまたは画像から数秒で3Dモデルを作成するサービスです。登録やログインに関しては以前の記事をご覧ください。
- ⇨Tripo AI - Create Your First 3D Model with Text and Image in Seconds https://www.tripo3d.ai/
以前からサービスの変更の内容
では以前からどう変わったのか見ていきましょう。
更新のブログ記事による説明では以下のような変更点があるようです。
- Tripo v2.0で複数画像による生成が可能に(購読者のみ)
- 高解像度テクスチャ生成オプション(購読者のみ、Credit消費)
- インテリジェンス・リトライでアルゴリズムを選択可能に
- モデル生成ガイダンスとTIPSの強化
- プロンプトインスピレーション機能と、プロンプト最適化機能
- メンバーシップの特典の再考
- Webアプリでv1.3の廃止(APIからのみ利用可)
「購読者」とはいわゆるサブスクライバー(Subscriber)で、月額19.99米ドル(執筆時、約3,170円)のプロフェッショナル版以上を購入した人を指します(以降本記事ではインターフェイスの日本語表記に準じ、こう表記します)。
各プランは画面右上の残りクレジットの隣の[+]ボタン-[価格設定]から確認できます。デフォルトでは年払いの20%割引された価格なっていることに注意してください。
また、ベーシック版は強制的に公開モデルになります。もっとも、カタログが変わった今、学習に取り入れられているのか、生成モデルとして出てくるかどうかは不明です。画像から生成する方はご注意ください。
とりあえず購読者特典は後回しにして、無償の「ベーシック版」で利用できる機能と、実際の利用中に気づいた点とともに検証していきたいと思います。
カタログからの生成
カタログ([ホーム]タブ上部のモデル群表示)が以前とは完全に変わりました。マウスカーソルを上に重ねるとある程度プレビューでき、クリックすればダウンロード可能です。
その一方、以前のように下のプロンプト入力欄にキー入力しても、カタログに対応するモデルが表示されなくなりました。
ただ以前の記事にも書きましたが、以前のカタログには他のユーザーが生成したモデルも混じっており、生成後にリギングや再トポロジー化ができないものも多数ありました。そして現在表示されているモデルは単純にダウンロード以外できません。
さらにプロンプトによる生成時、少なくとも筆者の観測範囲ではカタログに表示されていたモデルが出現したことはなかったので、むしろユーザーが混乱しなくていいのかもしれません。
プロンプトからの生成とスタイル(New!)
次はプロンプトによる作成です。プロンプトには日本語も利用できます。早速生成……する前に、プロンプト入力欄の下にある「スタイル」を見てみましょう。
この新オプションをクリックすると、特定のジャンルに絞り込みができるようです。とりあえず筆者は「漫画」に設定してみました。
では以前試した『girl』で再び生成してみましょう。
……
…………
……なんか全部ほぼ同じモデルなんですが。
とりあえずもう一度再生成してみましたが、またもや似たような二頭身のモデルが生成されてしまいました。他にも修飾を入れて計6回試行しましたが、「漫画」スタイルの『girl』に合致するモデルはこれしかないようです。
ただし、プロンプトと[設定](後述)で、ヘアースタイルや頭身などのカスタマイズは可能です。ベースモデルが少ないのはベータ版機能ということで、今後の改善に期待しましょう……。
気を取り直し、設定した「スタイル」を外し、同じプロンプトで再び作成してみました。今度は胸像と立位のモデルの2種類に……テクスチャや髪型は違うので一応バリエーションはありますが、以前のバージョンはもう少し色んなタイプがあったように思います。
消えた[Popcorn]ボタンと[インスピレーション]ボタン(New!)
以前のバージョンでは、長いプロンプトでキャラクターの提案をしてくれる[Popcorn]ボタンがありましたが、それが消え、代わりに[インスピレーション]ボタンがプロンプト入力欄右側に出現しています。
[Popcorn]ボタンではいきなり生成に入りましたが、このボタンではプロンプトを設定してくれるだけで、ユーザーが編集できるところに進歩を感じます。ただ、筆者が試したところ『A Pikachu playing soccer』と出て困惑しましたが……。
そしてしばらく試してみて気づいたのですが、文章の種類もあまり多くないようです。いずれにせよ、商用利用する場合は提示されたプロンプトにうっかり固有名詞が混ざっていないか確認する必要がありそうです。
すでにプロンプトが入力済みの時は[クリエイティブな書き直し]となり、修飾語が増え、より具体的なプロンプトにしてくれます。ただし、漢字のみで書くと中国語になってしまうようです(ひらがなが混じると日本語で書き直してくれます)。
設定オプションによるカスタマイズとスタイルの併用
従来通り、プロンプト入力欄の下の[設定]から、排除して欲しいプロンプトや、体形、リグのタイプ、ポリゴン数の制限を設定できます。ただし一部の設定は上記の「スタイル」との組み合わせでは反映されないこともあります(下図参照)。