Blender ウォッチング

新たな3Dモデル生成AI「Hunyuan3D」をローカルで動作させてみた ~形状はいい感じに

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

今回はモデル生成のみ

 2025年1月21日、ゲームなどで有名なTencentから、3Dモデルを作成するAIモデル「Hunyuan3D 2.0」がリリースされました。ローカルに構築可能で、Blenderアドオンも用意されているということで、使用してみました。

「Hunyuan3D」とは

 「Hunyuan3D」は、3Dモデルを生成可能なオープンソースのAIモデルです。画像やプロンプトからテクスチャ付きの3Dアセットが生成できます。

公式紹介ページの一部。ここでは後述のGitHubなどのへのリンクと、「Hunyuan3D」のブロック図やサンプルモデルなどの紹介が見られる

 実際のコードの配布はページ内のリンクから飛べる、GitHubにあります。こちらは日本語で読めるページがあります。

公式のGitHubページ。日本語によるドキュメントが用意されている。

Webページからの試用

 上記のGitHubには、公式のサービスページへのリンクがありますが、執筆時点では、「WeChat」または「QQ.com」のアカウントが必須になっており、日本人にはハードルが高いものと思われます。

 Hugging Face Spaceにあるページはログイン不要なので、こちらから試してみましょう。

Hugging Face Spaceのページ。以前紹介したTripoSRと似たようなデザインで、とまどうことはないだろう

Windows Portable版によるローカルでの構築

 YanWenKun氏がフォークした「Windows Portable版」は簡単にローカルにインストールできるので、今回はこれを利用してローカルで動作させてみます。上の公式GitHubページや他のWindowsフォークと間違えないようにしてください。

 ローカルに構築する場合の最小環境は、上記Windows Portable版のページによると次のようになります。メインメモリは16GB以上あった方がよさそうです。

 なお、次回解説予定のテクスチャ付きのモデル生成では、さらに要求が高くなります。

  • VRAMが6GB以上のNVIDIA GPU(4GBでも動作する可能性はあるが遅くなる)
  • GPUドライババージョンが550以降

 筆者がインストールに使用した環境は、Windows 10 Pro x64、i5-12400F、GeForce RTX 2060 12GB、メインメモリ32GBです。

 まずはリリースページから、「Hunyuan3D2_WinPortable.7z」をダウンロードします。1.71GBあり、中にはPythonのスタンドアロン版と、必要なライブラリが入っています。

「Hunyuan3D-2-WinPortable」のリリースページ。「Hunyuan3D2_WinPortable.7z」をダウンロードする

筆者はすべてのファイルに目を通したわけではなく、安全性の保証はできません。使用は自己責任にてお願いします。また、後日別のリリースが追加される可能性があります。

 ダウンロードが終わったら、ファイルを展開します。展開には「7-Zip」などの7Z形式に対応した解凍ツールが必要です。「7-Zip」は、先日脆弱性が報告されたため、すでに利用されている方もこれを機にアップデートすることをお勧めします。

 後で学習モデルもダウンロードして格納しますので、展開先には34GB以上ディスクスペースのある場所を指定しておいてください。

形状のみ生成するモデルによる構築

 まずは形状のみを生成するモデル(Hunyuan3D-DiT)で構築してみます。

モデルのダウンロード

 最初に学習モデルをダウンロードします。

 展開したフォルダー内の「2-download-models.bat」をダブルクリックして実行します。上記アーカイブ内にある、Hugging faceとやり取りするツール(huggingface-cli.exe)が実行され、45個のファイル(計26.3GB)がダウンロードされます。

 途中でエラーが出て止まったり、中断した場合は、再実行すれば途中から再開します。

 なお、ユーザフォルダー(%USERPROFILE%)にも、「.u2netu2net.onnx」がインストールされますが、これは入力画像の背景を削除するのに必要な物です。

「2-download-models.bat」を実行すると、コマンドウィンドウが開き、ダウンロードの進捗が表示される。『Fetching 45 files: 100%』になれば完了

ローカルサーバの実行とブラウザ表示

 同じフォルダー内の「3-run.bat」をダブルクリックで実行します。
 しばらくしてから画面に『INFO: Uvicorn running on ~』と出れば成功です。下図のようにエラーがいくつか出てくるかもしれませんが、正常に動くなら気にしなくてもかまいません。

同様に「3-run.bat」を実行。少ししてから図のように『INFO: Uvicorn running on ~』と表示されれば成功

 URLが表示されますが、これではなく「http://localhost:8080/」をWebブラウザーのアドレスバーに指定するなどしてアクセスしてください。上図のHugging Face Spaceのような画面が出てくれば成功です。

 まずは右または下の方にあるサンプルを実行してみましょう。サムネイルをクリックし、上まで戻り、[Generate Shape Only]ボタンをクリックします。

 少ないVRAMの環境で動作するように調整されているため、あまりVRAM使用量は増えませんが、代わりにメインメモリを消費します。調整については次回に解説します。

右または下側(画面幅に依存)のサンプルから作成した例。形状のみの生成なので[Generate Shape Only]ボタンしかない

 次にローカルの画像を読み込ませてみます。ハトの画像を読み込ませると、下図のような感じになりました。頭部や胴体は左右対称に、脚もそれなりの位置に生成されています。

ハトの画像で生成した例。右脚が少し不安定だが、他は左右対称でいい感じ

 終了は[Ctrl]+[C]キーです。

「Blender」で形状の構造をチェックしてみる

[Generate Shape Only]ボタンの下から「white_mesh.glb」をダウンロードできます。下図では「Blender」に読み込ませてみました。お世辞にも綺麗な構造ではないように思います。

上記の形状を「Blender」で確認。正直あまり綺麗な構造ではない

終わりに

 次回はテクスチャ付きのモデルの出力と、Blenderアドオンに挑戦します。

 ではまた。