Blender ウォッチング

無料の3DCG統合環境「Blender 5.2」は作業効率がアップする改善がたくさん!

オンラインアセットに対応、シーケンサーもコンポジターによるエフェクトが可能に

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

今回も盛りだくさん

 7月14日(中央ヨーロッパ夏時間)、「Blender 5.2」が公式リリースされました。

 本リリースはメジャーアップデートの後であるためか、新機能の追加や変更が減った代わりに、修正や改善が多数あります。

 今回はその他の機能の改善や変更をご紹介します。

5.2.1LTSアップデート

 8月25日付(中央ヨーロッパ夏時間)にメンテナンスリリースが行われ、「v5.2.1」にアップデートしました。

 RTX50シリーズでレンダリング時に輝点が生じる問題や、保存時に.blendファイルを壊してしまうヤバいバグなど、重要な修正がたくさんあります。ぜひ更新を。

モデリング

「Looptools」エクステンションの一部ツールがネイティブ化

 「Looptools」エクステンションの[Circle](円)[Flatten](フラット化)[Space Edge Loops Evenly](辺ループの間隔を均等に)ツールが公式に本体に取り込まれました([メッシュ]メニュー-[トランスフォーム])。

[辺ループの間隔を均等に]ツール使用例。“選択中の辺と交差する”辺ループの間隔を均等化することに注意

裏面からの選択の改善

 [ソリッド]モードの[裏面の非表示]オプションを有効化した場合でも[編集モード]でビューと裏向きの面を通した選択ができるようになりました。

 これは長年待ち望まれていた修正の1つで、例えば、面の方向を内側に向けた立方体で部屋を作る時に楽になります。

[裏面の非表示]オプションで非表示になった裏向きの面を通して奥の頂点を選択した時の挙動の違い

UVの選択の強化

 選択が大幅に強化され、リンク選択オペレーターに[区切り]が設定できるようになっています。[面の向き]による選択や、アイランドの[オーバーラップ]の選択が可能になりました。

リンク選択([L]キー)を[区切り]の[マテリアル]で、違うマテリアル(くちばし)部分の選択を除外

配列モディファイアーの変更

 v5.0で追加された、ジオメトリノードによる新しい[配列]モディファイアーの[回転を揃える]オプションが、上向きの軸と前方の軸の指定から、ローカル軸に変更され、柔軟性が向上しました。

 以前のバージョンでこのモディファイアーを使用したファイルでは、モディファイアー自体がジオメトリノードによる実装であるため、動作に変更はありません。新規追加した場合はこちらの新しい指定方法になります。

個人的には前の方が直観的だったような……とはいえ柔軟な指定ができるのはありがたい

スカルプト

 スカルプトモード内でのプリミティブ追加ツールや、ボクセルリメッシャーのカラー属性の補間の改善、他のオブジェクトに形状を投影できる、新しい[Scene Project]ブラシなどの改善があります。

[Scene Project]ブラシ。シーン内の他のオブジェクト形状にカーソル下のオブジェクトを投影する

グリースペンシル

 グリースペンシルは[フィル]ツールのアルゴリズムが変更され、以前はエラーになっていた隙間がある領域でも塗りつぶしできるようになりました。

v5.1でフィルできない形状でもv5.2LTSではフィル可能に

インターフェイス

 インターフェイスにも数えきれないほどの改善があります。

アウトライナーの[アクティブにスクロール]オプション

 3Dビューポートで選択中(アクティブ)のオブジェクトの項目が、アウトライナー内に表示されるよう自動的にスクロールされます。デフォルトで有効です。

アウトライナー中に3Dビューポートで選択したオブジェクトがビュー内に表示されるよう自動的にスクロールされる

ワールドへのHDRファイルドロップ時の挙動の改善

 従来は[ワールド]マテリアルにハイダイナミックレンジ画像ファイルの「.hdr」ファイルや「.exr」ファイルをドロップしても[画像テクスチャ]ノードとして追加されていましたが、「Blender 5.2」ではちゃんと[環境テクスチャ]ノードに変換されるようになりました。

 交換([Shift]+[S])オペレーターがあるので、ありがたみはあまりないかもしれませんが、個人的には今回の改善のNo.1に挙げたいぐらいです。

「ワールド」ノードツリーへのHDR画像のドロップで直接「環境テクスチャ」ノードに変換されるように

オンラインアセットとアセットブラウザー

 エクステンション同様、オンラインのアセットライブラリが利用可能になりました。「Blender」同梱の「エッセンシャル」アセットも更新され、一部はオンラインからアセットブラウザーでダウンロードできるようになりました。

 [プリファレンス]画面の[システム]タブにある[ネットワーク]-[オンラインアクセスを許可]が有効化されている必要があります(デフォルトは有効)。

[オンラインアクセスを許可]有効時、アセットブラウザーで[エッセンシャル]グループを選択すると、オンラインアセットのサムネイルが自動的にダウンロードされる。実際に利用するには中央のアイコンをクリックして本体をダウンロードする必要がある

コンポジター

 コンポジターは反応が改善し、アニメーション再生中も操作できるようになりました。さらに行列や回転、文字列などの他のノードタイプで対応しているソケットタイプやノードにも対応し、多くの部分が改善されています。

エフェクトノードアセットの追加

 フィルムの粒子感を与える[Film Grain]や、画像をディザー表示にする[Dithering]、水彩や油彩風にする[Paint Filter]、縁へのライトを当てた効果を与える[Rim 2D]、白飛び部分を視覚化する[Exposure Visualization]などのエフェクトアセットが追加されました。

[Film Grain][Dithering][Paint Filter]エフェクトノードアセットの使用例
[Rim2D]の使用例

[文字列の画像化]ノード

 タイトルどおり、文字列を画像にするノードです。フォント周りには黒い枠が付きます。現時点では枠はカスタマイズできず、一部フォントでは枠の上下に寄ってしまったり、カーニングや行送りがないなどの不便な点もあります。

 一方、画像としてエフェクトを与えたり、フレームによって文字列を変更するなど、様々な利用方法が考えられます。文字や枠の色の変更や枠自体の消去も[カラーランプ]ノードなどと組み合わせることで可能です。

[文字列の画像化]ノードと、前掲の[Exposure Visualization]エフェクトアセットの使用例。フォントによってはこのように中身が枠の上下に寄ってしまう

シーケンサー

 シーケンサー内でコンポジターをエフェクトとして利用できるようになりました。他にもストリップのサムネイルをストリップ開始と終了位置へ表示したり、テキストストリップのプリセットが追加されるなどの改善があります。

シーケンサーコンポジター

 シーケンサー内でコンポジターによるエフェクトが作成可能になりました。もちろん上記のエフェクトノードアセットも利用可能です。

シーケンサー内でコンポジターノードによるエフェクトを行った例(画像クリックで拡大)

テキストストリップのプリセット

 テキストストリップに、フォントサイズと位置、行揃えのプリセットが付きました。[メインタイトル][字幕][コーナータイトル]の3種類から選択できます。

テキストストリップの[メインタイトル][字幕][コーナータイトル]プリセットの使用例

終わりに

 他にもアニメーションの再生モードや、終了時の未保存画像用の確認ダイアログ、VRアドオン内での写真撮影ツールなど、紹介しきれなかった機能がたくさんあります。日本語版リリースノートでチェックしてみてください

 ではまた。