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「Microsoft Edge 92」が安定版に ~新しい[拡張機能]メニューが追加。パスワードの健全性を一目でチェック可能に
セキュリティ関連の修正は、CVE番号ベースで27件
2021年7月26日 12:00
米Microsoftは7月22日(現地時間)、「Microsoft Edge」の最新安定(Stable)版v92.0.902.55を公開した。本バージョンでは、新しい[拡張機能]メニューがツールバーで利用可能になるなど、さまざまな新機能が導入されている。
[拡張機能]メニュー
「Edge」では最近、[お気に入り]や[ダウンロード]、[履歴]、[コレクション]といったUIがポップアップ化され、ツールバーから手軽にアクセスできるようにつつある。ちょっとした操作はツールバーで、どっしり腰を据えてアイテムを整理したい場合などには専用のタブUIでといった使い分けができて便利だ。
今回導入された[拡張機能]メニューも、そうした改善のその一環といえるだろう。このメニューでは、インストール済みの拡張機能へアクセスしたり、ツールバーにボタンを表示(ピン留め)しておく拡張機能をトグル(切り替え)することが可能。拡張機能ストアや専用のタブUI(edge://extensions/)へアクセスするのも簡単だ。
また、[お気に入り]や[コレクション]といったサイドパネルへピン留めできるツールバーボタンに関しては、表示方法が記憶されるようになった。次にツールバーボタンを利用すると、前回の表示方法(ポップアップまたはサイドパネル)が復元される。
そのほかにも、リリースノートへの記載は確認できなかったが、編集部にて確認したと心、スクリーンショットを[コレクション]へ保存する機能、[数式ソルバー]機能などが利用可能になっているようだ。
パスワードの健全性
パスワードを安全に運用するには、それぞれのサイトで固有のパスワードを利用する(使いまわしをしない)こと、そして他のユーザーから推測されにくい・複雑なパスワードを利用するのがよいとされている。しかし、急いでアカウントを作成しなければならず、やむを得ず簡単なパスワードで済ませてしまうことだってあるだろう。
「Edge 92」では、パスワードの管理画面(edge://settings/passwords)にパスワードの「健全性」を示すインジケーターが追加されており、弱いパスワードが利用されていることが一目でわかるようになっている。他のサイトでパスワードが使いまわしされていないかどうかもチェックしてくれるので、あとでパスワードを更新する際に役立てたい。
なお、この「健全性」はあまり他のユーザーに見せてよいものではないので、トグルスイッチで簡単に無効化できるようになっている。
自動再生
「Edge 92」以降、Webページにおけるメディア(オーディオ・ビデオ)の自動再生が[許可]から[制限]に変更される。よく使われるWebサイトに関しては、これまでの利用状況をもとに自動再生が許可されることもあるが、Webページを開くといきなりメディアが再生されて驚くといった体験はこれから減っていくことだろう。
MHTMLファイルのハンドリング
MHTML形式はWebページを保存する際に使われるファイルフォーマットで、HTMLファイルだけでなく、そのWebページでつかわれているコンテンツもまとめて単一のファイルとして保存できるのが特徴。従来はダブルクリックすると「Internet Explorer」で開かれていたが、「Edge 92」からは既定のプログラムが「Edge」に変更され、「IE モード」で開かれるようになる。
これは来年、Windows 10で「Internet Explorer 11」デスクトップアプリケーションが無効化されることに伴う変更だ。
フォントレンダリングの改善
Windows版「Chromium」では「DirectWrite」がフォントの列挙やグリフ情報の検索、グリフビットマップの生成といったテキストレンダリングパイプラインの一部でしか利用されておらず、ユーザーが調整したOSの「ClearType」設定が反映されていなかった。そのため、「Edge」でテキストをレンダリングすると、Windowsのシステムデフォルトより微妙に明るかったり、かすれて見えることがある。
「Edge 92」ではこの問題が改善され、とくにCJK(日中韓)文字のアンチエイリアス処理が改善された。この成果はいずれ「Google Chrome」にももたらされるだろう。
なお、この機能は段階的にリリースされているため、まだ利用できないこともあるので注意。
そのほかの改善点
「Microsoft Edge」向けの拡張機能「Microsoft Outlook」がプレビュー公開され、わざわざ新規に「Outlook」のタブを開かなくても、その場で新着メールやスケジュール、タスクを確認できるようになった。
また、法人向けに「IE モード」のためのポリシーがいくつか追加。米国ではクレジットカード情報の同期がサポートされ、段階的に有効化される。
セキュリティ関連の修正は、CVE番号ベースで27件。内容は「Google Chrome」vv92.0.4515.107と基本的に同じだが、「Edge」にのみ影響するセキュリティ欠陥が3件(深刻度:Important)含まれているとのこと。
「Microsoft Edge」はWindows/Macに対応しており、現在公式サイトから無償でダウンロード可能(Linux版もベータテスト中)。すでに「Microsoft Edge」を利用中の場合は、自動で更新されるため何もする必要はない。手動で更新したい場合は、画面左上のメニュー(“…”アイコン)から[ヘルプとフィードバック]-[Microsoft Edge について]画面(edge://settings/help)へアクセスするとよい。すぐにアップデートを受け取れない場合もあるので、その場合は時間をおいて再度試してみてほしい。