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少しの配慮で誰でも見やすく ~「Microsoft 365」アプリに3つのアクセシビリティ機能

既存機能を新しい「アクセシビリティ アシスタント」に置き換えへ

公式ブログ「Microsoft 365 Blog」におけるアナウンス

 米Microsoftは3月8日(現地時間)、「Microsoft 365」アプリの新機能「アクセシビリティ アシスタント」(Accessibility Assistant)を発表した。既存の「アクセシビリティ チェッカー」(Accessibility Checker)を拡張したもので、今後数週間以内に展開を開始するとのこと。まずは「Word」でテストしたのち、他の「Office」アプリの「アクセシビリティ チェッカー」を置き換えていくという。

 オフィス文書を作成する際、つい見栄えを優先して忘れがちになるのがアクセシビリティだ。たとえば柔らかい印象を与える淡い配色は最近流行りだが、色の判別が難しかったり、人と色の見え方が異なる人にとっては識別がむずかしいかもしれない。健康なユーザーであっても、残業続きで目が疲れているときは見づらく感じることもあるだろう。

 こうした問題はちょっとした配慮で避けることができるが、業務に追われるなか、アクセシビリティへ留意しながらドキュメントを作成するのも負担が大きい。そこで同社は「Word」をはじめとする「Microsoft 365」アプリに3つのアップデートを投入する計画だ。

新しいカラーピッカー

 1つ目は、アクセシビリティに配慮した色を選びやすい新しいカラーピッカーだ。このカラーピッカーは従来とほぼ同じ外見をしているが、色にマウスオーバーすると、ツールチップが表示され、コントラストなどの情報を表示してくれる。

新しいカラーピッカー

 さらに、このカラーピッカーはコントラストを重視したモードを搭載。このハイコントラスト限定モードを選択すれば、選択できる色をコントラストが強いものに絞り込み、追加でテーマやデザインに合わせて見やすい色を表示することができる。ここで提示された色の組み合わせであれば、視覚上問題がないことが保証されるわけだ。

アクセシビリティ問題を指摘するフラグ

 2つ目は、文書の作成中に問題箇所を指摘してくれるアクセシビリティフラグだ。これはスペルミスをその場で指摘し、修正候補を表示するスペルチェッカーをヒントに開発されているようで、ドキュメントを作成している最中にアクセシビリティへの影響が懸念される問題が検出されると、注意を喚起する「ヒト」型のアイコンが現れる。これをクリックすると複数の修正候補が提案されるので、好みのものを選択するだけで問題を解決できる。

アクセシビリティ問題を指摘するフラグ

ドキュメントが完成してから問題点をチェックする

 アクセシビリティフラグは作業を妨げないように設計されているが、なかには集中がそがれるとしてそうしたリアルタイムチェック機能を好まないユーザーもいる。同社の調査によると、スペルや文法のチェックを「作業中に行う」のを好む人は28%、「最後に行う」方針の人は19%、「作業中と最後の両方で行う」人は31%で、作業中に行うか、最後に行うかはほぼ半々だという。

 そこで、ドキュメントが完成してから問題点をチェックしたいユーザーのため、2023年後半に新しいパネルが新設されるとのこと。このパネルは文章校正ツール「Microsoft エディター」のようなものになる見込み。アクセシビリティ上問題となりうる箇所をカテゴリ別に提示し、リストをクリックすると問題点にジャンプして修正できるようになるだろう。問題点の解説も平易な言葉で行うとのことで、専門的な知識がなくても使いこなせるものになることが期待される。

ドキュメントが完成してから問題点をチェック