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Microsoft、「Excel Labs」を発表 ~開発初期のアイデアを詰め込んだ実験アドイン

カスタム関数の管理ツールと生成AIを呼び出すカスタム関数が利用可能

Microsoft、実験的アドイン「Excel Labs」を発表

 米Microsoftは4月11日(現地時間)、「Excel Labs」を発表した。「Excel」への追加を検討している新機能をテストするための「Excel」用「Office アドイン」で、同社の公的な実験的プロジェクト「Microsoft Garage」の製品としてリリースされる。

 「Excel Labs」アドインに含まれる機能はあくまでも初期段階のアイデアであり、製品版に組み込まれるとは限らない。しかし、興味深いものも含まれているので、気になるユーザーはぜひ試してみよう。「GitHub」でホストされているオープンソースプロジェクト(ライセンスは「MIT」)なので、アドイン開発者であれば新機能の改善を提案することも可能だ。

 「Excel Labs」アドインに含まれる機能は、今のところ以下の2つとなっている。

Advanced formula environment

 「Advanced formula environment」(AFE)は「Excel」に「LAMBDA」関数が導入されたときに「Microsoft Garage」製品の1つとしてリリースされた機能。ユーザー定義関数の作成と管理を容易にするために開発されたもので、今回「Excel Labs」に統合された。

 「Excel」には「名前の管理」というツールが付属しており、セル(範囲)や数式に任意の名前をつけて管理できる。しかし、このツールにはインラインエラーやシンタックスハイライトといったプログラミング支援機能が一切ついていない。

「名前の管理」ツール(左)と「Advanced formula environment」サイドパネル(右)

 この問題を解決したのが、「Advanced formula environment」だ。本機能を利用すると、以下のようなメリットが得られる。

  • インラインエラー、入力補完機能「IntelliSense」、コメントなどをサポート
  • 数式をインデントして読みやすく
  • 1つのコードエディターで名前付き数式のモジュールを管理
  • 「GitHub」のコードスニペット共有サービス「Gist」から関数をインポートしたり、他のワークブックにコピーして、「LAMBDA」数式を手軽に再利用

 「名前の管理」のようなダイアログではなく、「Excel」のサイドパネルとして利用できるのもメリットといえるだろう。

ユーザー定義関数の作成と管理を容易にする「Advanced formula environment」
セルの編集、関数の管理、関数の編集という3つの機能を1つに

「LABS.GENERATIVEAI」カスタムファンクション

 「LABS.GENERATIVEAI」は、「Excel」から生成AIを利用できるようにしたカスタム関数。Microsoftは「Copilot」という生成AIを「Microsoft 365」へ導入し、生産性の劇的な向上を狙っているが、これとは別に、「Excel」と生成AIを使って遊んでみようというのがこのカスタム関数のコンセプトだ。

 この関数を使うと「Excel」グリッドから生成AIモデルにプロンプト(指示)を送り、モデルから得られた結果をワークシートへ埋め込むことが可能。たとえば、以下のようなことが行える。

  • 公開情報を取得・分析
  • パブリックデータをインポートし、見やすく整形
  • 事実ベースまたは創造的な受け答え
  • サンプルに基づいて回答を作成する
「Excel」と生成AIで遊べる「LABS.GENERATIVEAI」カスタムファンクション

 「Excel Labs」アドインは現在、「Microsoft AppSource」からダウンロード可能。「Office 2016」以降の環境と「Microsoft アカウント」さえあれば無償で利用できる。